岡見勇信インタビュー=Fight&Life発

ファイト&ライフ

日本を飛び出し米国のUFCで活躍している岡見勇信(写真は06年6月D.O.Gディファ有明) 【田栗かおる】

 世界最高峰の舞台となったUFCにおいて、2006年の初参戦以来、世界を相手に対等に戦い続ける岡見。海を渡った日本人選手の苦戦が続く中で、当たり前のように結果を出している岡見のキャリアは世界に誇れるものだと言っていいだろう。

 そんな“格闘技のメジャーリーガー”岡見はいかにして生まれたのか。幼少期から現在までその軌跡を振り返ろう。

「中3の終わりには184cmになった」

――今回のインタビューでは岡見選手の幼少期から現在まで、その軌跡を振り返ってもらおうと思います。まず岡見選手は小さい頃はどんな子供だったんですか?

岡見 活発な子供だったと思います。家にいるよりも、外で遊ぶ方が好きな子供でしたね。小学校の頃はサッカー、野球、水泳、剣道。色んなことをやってたんですよ。一番長く続いたのはサッカーだったんですが、団体競技は苦手でした(笑)。チームプレイを無視して、勝手にドリブルしてしまうような選手でしたから。

――当時から今のように背も大きかったんですか?

岡見 小学校の頃は普通でしたね、列の中でも真ん中くらいの。それが中学2年の頃から急激に伸び始めて、入学した時は160cmくらいだったのが、中3の終わりには184cmになったんですよ。

――たった2年間で20cm以上も伸びたんですか! 柔道を始めたのも中学に入ってからですか?

岡見 いえ、柔道を始めたのは高校からで、中学時代は陸上をやってました。実は僕、小学生まではすごく足が速くて、短距離では誰にも負けない自信があったんです。それで陸上部に入ったんですけど、新入部員はその選手がどんな競技に向いているのか適正を見るために、全部の種目を一通りやらせるんですね。その中にも短距離走があって、僕は当然のように「楽勝で1位を取って、短距離の選手になるんだ」と思っていたんですけど、実際に走ってみたら、4位くらいだったんです。

――それだけ周りの新入生が速かったんですか?

岡見 いや、決してそういうわけでもなくて、突然、速く走ることが出来なくなってしまったんですよ。自分では速く走っているつもりなんですけど、それに体がついてこないというか。すごく変な感覚だったんです。今思うと、すでに身長の伸び始めだったのかなぁ(笑)。骨の成長に筋肉が追いついていなかったような気がします。結局、短距離走の花形選手になる予定だったのが、入部した時点でその夢は潰えてしまい、全くなる気がなかった長距離の選手になってました。

――ではそこまで目立った成績を残す選手ではなかったわけですか?

岡見 練習は続けていたんですが、タイムも伸びず、中堅選手止まりでした。ただうちの学校は女子の陸上部がものすごく強くて、練習で一緒に走らなきゃいけないことがあるんですね。いくら強いとは言っても、女子に負けるのは微妙じゃないですか。だから女子に負けたくない一心で必死に走ってました。しかも陸上部の女子にものすごく可愛い子がいて、学校のマドンナ的な存在だったんです、今でも名前をはっきり覚えてますけど。そういうことを練習のモチベーションにしてましたね(笑)。陸上以外にもスポーツは好きで、プロレスや格闘技に興味を持ち出したのもこの頃です。

――では陸上をやりながらも、高校で始めることになる柔道を意識するようになったんですか?

岡見 柔道部に友達がいて、そいつが結構強かったんですよ。学校で表彰されている姿を見て、「いいなあ」と思ってました。

――「俺がやればもっと強いのに」と思ったりはしませんでした?

岡見 はい。普通に俺だったらオリンピックで金メダルが取れると思ってました(笑)。

――ええっ!? なんでそんなに自信満々なんですか。

岡見 子供の頃ってそういう無茶な発想しません? オリンピックを見ながら「俺がちゃんとやれば、金メダルは取れるだろう」とか。

――さすがにそれは岡見少年だけだと思いますよ(笑)。

岡見 そうですかね(笑)。でも子供の頃の僕は何をやるにしても、そうでしたよ。陸上をやる時もオリンピックで金メダルを取れると思っていたし。僕の場合は「これをやったら世界で一番になれる」と思わなかったら、始めないんですよ。

(以下、Fight&Life vol.11に続く)

取材・文_中村拓己(GBR)
撮影_寺澤有雅

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<コンテンツ>
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