フィンランド代表バクスター監督「豪州と同じスタイルを提供できる」=前日会見

スポーツナビ

オーストラリアと同じスタイルを提供できる

かつて広島、神戸を率いたバクスター監督がフィンランド代表の指揮官として前日会見に臨んだ 【スポーツナビ】

 皆さん、こんばんは(日本語で)。明日の試合はサッカーを大事にする両方の国にとって、非常に重要な試合となる。岡田監督にとっては、重要な試合(11日のワールドカップ=W杯=・アジア最終予選のオーストラリア戦)を控えていることも理解している。われわれはオーストラリアと同じスタイルを提供できると思っている。組織力、攻撃、そしてフィジカルの強さもある。われわれにとっては、経験のある年齢の高い選手から、経験のあまりない若い選手を連れてくることができた。試合を通じて、いろいろなことを学ぶことができると思っている。両方の代表にとって意義のある試合だ。

 また個人的にも、今回来日できて大変楽しく、うれしく思っている。日本サッカー協会の皆さんはいつも通りプロの仕事をしてくれて、物事はすべてスムーズに進んでいる。(広島、神戸で指揮を執った経験があり)友達にも会えるので、本当に日本に戻って来られてうれしい。家族も友達に会えるので楽しんでいる。

――日本はオーストラリアとの対戦を控えている。監督なりにオーストラリアの試合を研究して、オーストラリアをイメージしたような戦い方を考えているか?

 あえてオーストラリア風にプレーしようとは思っていない。ただ、ピム監督やオーストラリアの選手についてはよく知っているので、どういうプレーをするかは分かっている。オーストラリアがどのようなスタイルかを理解した上で、そういうプレーになるかもしれない。だが、これはわざとそうすると言うよりも、自分たちが自然にプレーすることによってオーストラリアに近いスタイルになり、岡田監督が十分価値を見いだしてくれる試合ができると考えている。ただ、無理にそうしようとは思っていない。

――1日の湘南との練習試合では、意識してやりたい目的があったようだが、明日の試合ではまた違った試合内容、違ったチームが見られるのか?

 湘南との試合には若い選手を投入した。若い選手に経験を積ませるのは非常に大事なことだからだ。ただ、明日は代表チームがプライドをかけて挑む試合であり、勝つことがゴールになる。選手を育てたいという育成の目的もあるが、より競技性の高い試合になる。勝つことを目的に試合をすることを考えると、負けるかもしれないという犠牲を払ってまで若い選手を投入することはない。

今の日本代表に与えられるプレッシャーは少し荷が重い

――岡田ジャパンの率直な印象は? それまでのトルシエ、ジーコ、オシムをそれぞれ知っているかと思うが

 岡田監督はいつも正しいやり方で物事を進める印象がある。つまりプロのやり方だ。すべての監督は1人1人スタイルが違う。ベンゲル監督もモリーニョ監督もファーガソン監督も、そしてジーコ監督も、みんなやり方は違うものだ。また、日本人監督と日本人の選手の組み合わせで成功しない理由はない。もしかしたら少し時間はかかるかもしれないが、こういうチャンスを岡田監督がものにして成功する可能性は大いにあると思う。これは選手も同じ意見だと思う。

――岡田監督はW杯での準決勝進出という目標を掲げているが、現実味はどれくらいあると思うか? また今の日本代表と今までのチームを比べてほしい

 これはどこの国でも同じだ。問題は昔のチームと比較され、前のチームが基準となってしまうこと。そうすると、今のチームにプレッシャーがかかる。そのときに現実を見つめ、「今の選手の経験はどうなのか?」「中田英寿選手レベルの選手はいるのか?」「いるとしたら昔ほどたくさんいるのか?」ということを検討しなければならない。そういうことを考えると、今の日本代表に与えられるプレッシャーは少し荷が重いかもしれない。

 ただ、岡田監督がW杯で準決勝に行くんだと言うのは、監督としては必要なことだ。例えば、監督が「予選で負けるよ」「決勝トーナメントの初戦で負けるよ」と言ってしまったら、みんなやる気がなくなってしまう。監督が持つ非常に重要な役割とは、選手と国民の皆さんと夢を分かち合うことだ。ただし、そこにはリスクがある。それがかなわなかったときに、ばかじゃないのかと言われてしまう。だが、退屈で安全なことばかりを言って過ごしていくか、もしくは夢がかなわなくてそのときにガッカリするかは監督の選択と言える。夢を大きな声で言うことは大事だ。現実的かどうかは分からない。ただ、監督としてみんなと同じ夢を共有することは大事だと思う。

――日本にまた監督として戻ってくることは考えているか?

 日本は本当に仕事場として正しい場所だし、日本の皆さんの仕事のやり方をとてもリスペクトしている。選手とも仕事をするのを楽しんだ。プロのコーチとして「絶対ない」とは言わない。どういう仕事をオファーされ、どういう状況かによって決めていくが、もしオファーがあったらもちろん検討するつもりだ。日本は住んでいて楽しいし、戻ってくることに関してはまったく問題ない。

 現実的かという質問が先ほどあったが、今日新宿を通ってきたときに、「新宿駅では毎日200万人が行き交う」と聞いた。フィンランドは人口が600万人にも満たない。そのフィンランドのチームが、南アフリカのW杯本大会を目指して(昨年9月に)ドイツと3−3で引き分けた。夢か現実的かということを考えると、われわれにとっても同じことだと思う。

<了>
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