マッスルに大仁田登場 邪道流で坂井の引退を阻止=マッスル・ハウス

高木裕美

マッスル坂井に邪道流で喝を入れた大仁田 【高木裕美】

 DDTのマッスル坂井がプロデュースする“演劇型プロレス”「マッスルハウス7」が3日、後楽園ホールで行われ、超満員札止めとなる1800人を動員した。
 母体であるDDTが昨年12.28後楽園で8.23両国国技館大会の開催を発表。DDT初の大会場進出に伴い、坂井はこれまで所属していた選手部から演出部に転出することになった。
 これを知った「マッスル」の選手たちは「つまり引退だな」と勝手に納得。今大会は「マッスル坂井引退記念大会」として行われることになった。

新春タッグTに豪華ゲストが続々参戦

杖にアルゼンチンバックブリーカーを仕掛ける本多 【高木裕美】

 しかし、その直後、大会2日前となる元日に坂井は失踪。とりあえず、坂井が残した企画にのっとって16チーム参加の「第1回新春ニューイヤータッグフェスティバル2009」(テーマソングはオリンピア)が行われた。
 1回戦8試合では波乱の展開が続出。第1試合ではトーナメントにエントリーされなかった大家健と浪口修が乱入し、竜剛馬&DT−YUTAの東大コンビに突っかかるも、高木三四郎、吉江豊組が2組まとめてKO。第2試合ではモンゴルマンとバッファローマンに扮した趙雲子龍&ケニー・オメガの2000万パワーズがペドロ高石&矢野啓太組をダブル波動拳で仕留めた。

 第3試合ではバラモン・シュウ&ケイの双子がそれぞれサソリとDJニラという別のパートナーを従えて激突……かと思われたが、試合前の握手をかわした瞬間、両チームとも「争う必要などない」ことを瞬時に悟ってしまい、共に試合を棄権。新たな境地に達したバラモン兄弟は、虫やお告ゲルをリングに撒き散らしながら喜びをあらわにした。第4試合では日本人プロレスラー第1号であるソラキチ・マツダ氏が降臨し、Mr.マジック&Miss.マジックを下島家に入籍させて一件落着。こちらも両チーム試合棄権となる。
 第5試合では、普段はうどん屋の店長を務める726の商売道具ともいえる右腕を徹底的に痛めつけたヤス・ウラノ&澤宗紀組が、澤のシャイニング・ウィザードで勝利。第6試合では酒井一圭のタッグパートナーの「杖」(松葉杖)を相手にアントーニオ本多&GENTARO組が人とも思わないような厳しい攻撃を浴びせた末、GENTAROが垂直落下式ブレーンバスターで杖から完璧な3カウントを奪った。

 第7試合ではDDTの現KO−Dタッグ王者組である大鷲透&HARSHIMA組が藤岡典一&長井満也組と対戦。場外での藤岡のまさかの誤爆により長井がダメージを追った上、倒れた藤岡が放送席にまで突っ込む大惨事になってしまい、王者組が難なく勝利を収めた。

NOSAWAがノア・青木に反則負け

ノア・青木がディーノとタッグ。京平レフェリーが勝ち名乗り 【高木裕美】

 そして1回戦ラストとなる第8試合では、プロレスリング・ノアからも青木篤志がエントリーし、男色ディーノとタッグを結成。東京愚連隊のNOSAWA論外、そして和田京平レフェリーのコンビと対戦した。
 11日の丸藤正道興行(ディファ有明)で王者・丸藤の持つ世界ジュニアヘビー級王座に挑戦するNOSAWAは、この日の昼の全日本プロレス・後楽園大会で日本最古のベルト、アジアタッグ王座を奪取したばかり。「WJの和田」こと京平レフェリーを連れて意気揚々と入場してくるも、京平氏は試合を裁く予定であった松井レフェリーの態度にブチ切れ、自らレフェリーに就任した。

 NOSAWAは1対2のハンディキャップ戦の状況ながら8日後の決戦を前にしてマッスルの舞台で早くもノアに触れるが、このシリアスな状況をブチ壊したのがディーノ。青木がノアの所属選手だとういうことに気づかず、技をかけている最中に股間をもんだり、尻をなでたり、誤爆ついでにディープキスをしたりとやりたい放題。このハチャメチャな展開に業を煮やしたNOSAWAがリング上に凶器を投げ入れたため、反則攻撃をパートナーの京平レフェリーに裁かれて黒星を喫した。
 一方、試合後に総合演出の鶴見亜門の指摘によってようやく青木の正体を知ったディーノは、亜門の「オレに謝るなよ。プロレス界に謝れよ」という声に応じて平謝りすると、青木は「いや、ちょっとしか気にしてないですよ」と団体の規模同様、スケールの大きな心を見せ、無事に2回戦進出となった。

後楽園ホールで立てこもり事件が発生?

 トーナメント2回戦第1試合では高木がオメガのハリケーンミキサーを食らいながらも、吉江がダイビングボディープレスで趙雲を圧殺。第2試合では、ともにリザーバー同士となるNEOマシンガンズ(宮崎有妃、タニー・マウス)と、まさだまさだ(MAZADA、MASADA)の対戦となるも、またも試合前の握手で互いに何かを悟り、両チーム共に試合放棄となる。

 第3試合では澤と本多の間に知られざる因縁が明らかになるが、突然試合スクリーンに「ニュース速報」が入り、なんと後楽園ホールの控室で立てこもり事件が起きていることが発覚。急遽中継がつながると、先ほどの1回戦で誤爆によって敗れた藤岡が実況陣人を人質にとって、「オレを試合に出場させろ」と要求。これを聞いていた大鷲が、自らのタイツを手渡し、藤岡に大鷲透として出場するよう呼びかけた。

 心だけは大鷲になり切った藤岡に対し、大鷲(本物)も藤岡の身代わりとしてメガネをかけ、映像班としてビデオカメラで試合を撮影する。HARASHIMAと青木は激しいエルボーの打ち合いを繰り広げ、青木がアームロック、バックドロップを放てば、HARASHIMAもファルコンアローで応戦。団体の未来を担う者同士の熱い戦いを繰り広げるが、やはり藤岡では大鷲の代わりが勤まるはずはなく、ディーノのダブルリスト式アームロックに藤岡が無念の敗北を喫した。

大仁田のイス攻撃で酒井が大流血

勝利はしたものの、たっぷり大仁田に説教された坂井たち 【高木裕美】

 惨敗した藤岡は「マッスル坂井に追いつきたいですよ」と号泣。この声を聞いた坂井がようやく会場に現れるも、互いのテションの差について亜門と口論になってしまう。
「テンションの上がらないヤツが引退するなよ」と主張する亜門が「この人にテンションの上げ方を教えてもらうんじゃー!」とある人を呼び込むと、「ワイルド・シング」に乗ってくわえタバコ姿の“邪道”大仁田厚が登場した。

 大仁田はそのまま場外戦に突入するとイス攻撃で坂井が顔面から大流血。その上に赤い毒霧を浴びせ、邪道流を体に叩き込むが、突如会場に「エトピリカ」が流れ、会場内の空気がスロモーションに変化。このスキに坂井は仲間5人のアシストを得てトレイン攻撃を浴びせると、さらに大仁田に対して掟破りの逆毒霧噴射。そのまま首固めで丸め込むと、仲間たちとと共に6人がかりで大仁田から3カウントを奪った。

毎月29日にマッスル開催を決意

 乱入してきた仲間たちと共に大仁田から強烈なビンタを浴びせられ、たっぷりと邪道の洗礼を浴びた坂井は、大仁田の「引退するのか」という問いかけに「続けます」とあっさりと引退を撤回。DDT本隊では選手としての活動には一線を引くものの、「マッスル」主宰者としては恒例となった5月の後楽園ホールでの「マッスルハウス」開催に加え、「自分に限界を作らない」ため、なんと“肉の日”である29日に毎月「マッスル」を行うことを発表した。

 8月の両国大会を前に、その無謀ともいえる計画に客席からは驚きの声も上がる中、坂井は「今年頑張ってダメだったら抑えます」とあえてこの2009年に勝負をかける熱い意気込みを激白。さっそく1月29日からスタートさせる予定の“毎月マッスル”についても「今までやってきたことをやればいいだけ」と、やり遂げる覚悟を語った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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