高校生のラストゲームと卒業生の思い=天皇杯・皇后杯バスケ 第2日

北村美夏

3年間でたたき込まれた土台が生き、卒業後も活躍する選手が多い洛南高。明治大の岩澤や田村(写真左)はその一例と言える 【(C)JBA】

 天皇杯・皇后杯全日本バスケットボール選手権(通称・オールジャパン)は2日に大会2日目を迎えた。この日は高校の4チーム、男子の洛南高・明成高・延岡学園高と女子の小林高が出場。それぞれ“先輩”となる大学生に敗れてしまったが、1月2日となるこの日までプレーした学校は、「日本で1番長くプレーした高校生」といえる。長かった今シーズンに幕を閉じたこの4つのラストゲームでは、いずれも高校生らしい頑張りと、卒業後も受け継がれる選手の“原点”が見られた。

卒業生をも緊張させる洛南高での日々

 4校のうち最初に登場したのは、全国高校選抜(ウインターカップ)男子覇者の洛南高(近畿)だ。タフなシーズンをくぐり抜けた選手たちは、学生5位の明治大相手にもひるむことなく伝統のパス&ランプレーを繰り出した。だが、結果は69−121と、兄貴分の明治大に跳ね返されてしまった。
 
「大学生だから当然」という明治大には、洛南高の卒業生が2人いる。岩澤裕也(3年)と田村晋(1年)だ。母校との対戦は、2人とも「意識してしまってやりづらかった」と苦笑い。
 特に田村は昨年、ウインターカップチャンピオンという同じ立場でこの大会に出場している。恩師である吉田裕司コーチに成長したところを見せたかったが、「見せようとして逆に硬くなったのか、全然だめでした」と残念そうだった。
 一方、3年生の岩澤は「1本目のシュートが入ったのでその後は普通にやれた」と上級生らしく対応してみせた。
 岩澤は、現在の高3生とちょうど入れ替わりで卒業したが、練習で胸を貸したり、大会の応援に駆けつけたりと、かかわりは続けていた。
「僕達のときはセネガル人留学生のいるチームに負けてしまったけれど、今のメンバーはそれに勝って優勝したのですごいですよ」
 ウインターカップの時、洛南高の谷口大智は「3年間死ぬ思いでついていった」と高校での練習の日々を振り返っている。その積み重ねを知っている卒業生だからこそかけられる、ねぎらいの言葉だった。

 明治大の次の相手はJBL1位のアイシン。洛南高の大先輩、竹内公輔もいる。「今日の洛南高が僕たちにやったみたいに、思い切りやりたい」と洛南高の分までぶつかるつもりだ。

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著者プロフィール

 1983年生まれ。バスケットボール男子日本代表を中心に、高校、大学からJBL・WJBL、ストリートや椅子バス、デフバスまで様々なカテゴリーのバスケットボールを取材。中学・高校バスケットボール(白夜書房)などの雑誌、「S−move」「JsportsPRESS」等のウェブ媒体で執筆。2009年末に有志でポータルサイト・「クラッチタイム」創設

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