高校生のラストゲームと卒業生の思い=天皇杯・皇后杯バスケ 第2日

北村美夏

“4年前の自分”を迎え撃った国士舘大の主将

楽しみながらも要所を締めた国士舘大に軍配が上がり、笑顔が印象的な和田力也(背番号6)のプレーも延岡学園高では見納めとなった 【(C)JBA】

 続く第2試合では、明成高(東北)が天理大(学生6位)、延岡学園高(高校総体)が国士舘大(学生2位)と対戦した。
 国士舘大の主将・寺嶋徹と副将・立花大介は、北陸高3年だった4年前に北信越代表としてオールジャパンに参加し、高校生として初のベスト8を達成している。元祖「1番長くプレーした高校生」なのだ。
 その時もこの東京体育館のDコートで延岡学園高と対戦しているという不思議なめぐり合わせだったが、4年前に続き寺嶋率いる国士舘大が93−62で勝利をあげた。

「僕が高校生だったときは、最後だし楽しくやろうって感じでした。今日の延岡学園高も楽しもうとしているように見えたので良かったんじゃないかな」と寺嶋。確かに、両チームのメンバーが笑顔で言葉を交わすシーンもあった。大学生になっても楽しむことを忘れずプレーする国士舘大の姿は、延岡学園高のメンバーにいい刺激を与えたのではないだろうか。

「年明けまでシーズンが続いて疲れましたけど、いい経験になったので今後に生かしたい」と延岡学園高の和田力也は話す。彼を含め、今年卒業していくメンバーが、数年後には国士舘大の寺嶋のように高校生を迎え撃つ立場になっているかもしれない。

小林高の“19人娘”が見せた、変わらない頑張り

 最後に登場したのは女子の小林高(九州)だ。今シーズンは18年続けていたウインターカップ出場を惜しくも逃してしまったが、繰り上がりでオールジャパンの出場権を得て、大会は違えど冬の東京体育館にやって来ることができた。

 試合ではウインターカップの分まで、とばかりに応援メンバーが40分間立ちっぱなしで声援を送り、コートに立つメンバーもそれに応えるようにボールを追いかけた。しかし、学生5位の筑波大に64−101と力負け。
「同じ九州の鹿屋体育大とよく練習試合をさせてもらうのですが、筑波大はインカレでその鹿屋体育大に30点以上差をつけて勝っているということで、気持ちで負けたかな」と西田次良ヘッドコーチは振り返った。

 そんな強さを誇る筑波大には、小林高OGの宮本理沙がいる。「ちょっとうちに味方してくれたんじゃない?」と西田ヘッドコーチはジョークを言ったが、「コツコツと頑張るのは変わっていない」とうれしそうだった。
 西田ヘッドコーチによれば、宮本を含めて7人の卒業生が今年のオールジャパンに出場しているという。高校時代から地道な努力を続けているからこその活躍といえる。
「卒業生の7人と現役の12人を合わせた19人で、小林高の“頑張り”を見せられたんじゃないかと思います」。

 その原点の7分の1を引き継いだ筑波大は、3回戦で第1シードのJOMO(WJBL1)と対戦するが、どこまでその頑張りを見せられるかが注目だ。

<了>

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著者プロフィール

 1983年生まれ。バスケットボール男子日本代表を中心に、高校、大学からJBL・WJBL、ストリートや椅子バス、デフバスまで様々なカテゴリーのバスケットボールを取材。中学・高校バスケットボール(白夜書房)などの雑誌、「S−move」「JsportsPRESS」等のウェブ媒体で執筆。2009年末に有志でポータルサイト・「クラッチタイム」創設

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