新生JBLは、若手選手の台頭に注目!

鈴木栄一

竹内兄弟は、1年目から主力

11日に開幕する新生JBL。注目は即戦力の“黄金世代”ルーキーだ 【鈴木栄一】

 スーパーリーグから日本バスケットボールリーグへと名称を変更したJBLのシーズン開幕1週間前となった10月4日、全8チームのヘッドコーチが参加した開幕記者会見が実施された。まず、リーグを代表したあいさつを行った民秋史也理事長が、「日本バスケット界のすべての方々に協力していただいて世界に通じるバスケットボールの確立を目指す」と意気込みをコメント。そして、来季2009−10年シーズンの新加入チームの公募、JBLスーパーリーグ時代のアイシンがリーグ優勝するまでを描いた書籍「ファイブ」がNHKにて来年の正月放送予定でドラマ化されることが発表された。また、新しいマスコットとして、アフロヘアーのバスケットボールの姿をした「フーピー」が紹介された。

 新生JBLが開幕するに当たり、最も注目したいのは、若手選手の台頭。特に今年の新人選手たちは、ともに205センチの双子の竹内兄弟(公輔、譲次)を筆頭にバスケットボール界の黄金世代と呼ばれるようにタレントぞろい。8月にタイのバンコクで行われたユニバーシアードは彼らが中心選手として出場し4位に入る健闘を見せた。竹内兄弟の起用について、公輔の所属するアイシンの鈴木貴美一ヘッドコーチ(HC)は、「今までチームには200センチを超える日本人選手がいませんでした。多少のミスも見守って使い続けなければいけない選手。JBLの水に慣れるために練習試合から積極的に起用し、(シーズン前に行われた全チーム参加のトーナメント)チャレンジカップでは、結果を出してくれた。日本の宝なのでたくさん使っていきたい」とコメント。譲次を指導する日立の小野秀二HCも、「彼は新人だが、経験はベテラン並みに積んでおり、世界のレベルを体験している。チームにはビッグマンが不足しており、日本人の柱として活躍してもらいたい。3番、4番、5番のポジションでずっとコートに立ってもらいたいくらい」と述べ、両チームともに1年目から、チームの主力選手として起用していく予定だ。

竹内兄弟と並ぶ注目株、東芝の石崎、菊地

 今年の新人選手は黄金世代と書いたように、竹内兄弟以外にも才能溢れる選手たちがそろっている。中でも注目なのは、東芝に加入した石崎巧、菊地祥平の2人だ。身長188センチと日本人の司令塔としては恵まれたサイズと卓越したゲームメーキングを誇る石崎は、東海大学では大学ナンバー1PGとして竹内譲次とともにインカレ2連覇の立役者として活躍。左利きから独特のシュートモーションで次々とシュートを決める菊地は、去年の大学界を代表するスコアラーとして名門・日本大学をインカレ3位に導いた。2人ともに、今年の夏はアジア選手権の日本代表候補に選出されていた。

 そして2人ともシーズン前のチャレンジカップでは、竹内兄弟と同じくそろって先発出場。東芝の鎌田光顕HCは、「2人がチームに来た時からスタートで使うことを考えていた。石崎はクレバーな選手。菊地は得点力に優れている。彼らはこれからもどんどん使っていくべき選手で、経験を積ませていきたい。レギュラーシーズンでも開幕から先発で使っていきたいと考えている。プレータイムに関しては、ベテランの節政貴弘、北卓也(ともに35歳)らとの併用になると思う。勝負所ですべてを任せられるような選手になってもらいたい」と、チームの将来を担う選手として大きな期待を寄せている。彼ら以外にもトヨタに加入した岡田優介は、スリーポイントを武器にしたシューターであることに加え、ユニバーシアードのブラジル戦でブザービーターを決めるなど勝負強さが光る選手として見逃せない。

王者トヨタの3連覇を止めるチームは現れるか

新しいマスコットとした人気を集めることができるか、「フーピー」 【鈴木栄一】

 リーグ全体を見てみると、王者トヨタが3連覇を達成できるかが、最大の注目点だ。しかし、トヨタは今オフに桜井良太、折茂武彦が新加入チームのレラカムイ北海道、山田大治がパナソニックに移籍と、今年のアジア選手権(五輪アジア地区予選)日本代表3人がチームを離れた。先発5人は昨季と同じメンバーだが、彼ら3人の離脱で控えの層が一気に薄くなった。トーステン・ロイブルHCも、「チャレンジの1年であり、トヨタの将来がかかる年。3人が抜けたことで、昨年の王者というプレッシャーも抜けた」と語り、王者ではなく挑戦者としてシーズンを戦う。

 トヨタのライバルとしては、アイシンやパナソニックが挙げられる。チャレンジカップを制したアイシンは、佐古賢一、柏木真介、網野友雄、竹内公輔、桜木ジェイアールとアジア選手権の日本代表メンバーが5人もそろうタレント集団。パナソニックは、200センチの山田に、三菱電機から197センチの大野篤史が加入。大野を司令塔として起用することでリーグ1の高さを備え、チャレンジカップでトヨタを破った。しかし、リーグ戦は長く、どのチームにも優勝のチャンスが残されている。日本代表が過去最低の8位と惨敗に終わったアジア選手権をはじめ、日本バスケット界の停滞した雰囲気を打開するような新星が次々と誕生することを何よりも期待したい。

■日程

<レギュラーシーズン>
2007年10月11日(木)〜2008年3月2日(日)
8チームによる5回戦総当りリーグ戦/各チーム35試合
(原則としてホーム2回、アウエー1回、中立地1回)

<プレーオフ>
レギュラーシーズン上位4チームが出場
セミファイナル:2008年3月15日〜17日
ファイナル:2008年3月20日〜26日
(開催地:国立代々木競技場第二体育館)

<了>
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著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

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