いよいよ開始、MLBプレーオフ=ナ・リーグ展望
戦力がそろうカブスが“呪い”を解けるか?
カブスで36年ぶりのノーヒットノーランを達成したカルロス・ザンブラーノ 【Photo:Getty Images/アフロ】
最大の焦点は100年ぶりのワールドシリーズ優勝を目指すカブス。短期決戦でより重要となる投手陣が近年で最も充実している点や選手層の厚さをみても、“ヤギの呪(のろ)い”を解く可能性は十分にある。
本命に推してもいいかもしれない。先発には抜群のスライダーの切れをみせるライアン・デンプスター、球団36年ぶりのノーヒッターを記録したカルロス・ザンブラーノの両輪に加えて、3年連続15勝の左腕テッド・リリー、剛速球リッチ・ハーデンとそろい、ブルペンはセットアップのカルロス・マーモル、クローザーのケリー・ウッドにつなぐ中継ぎにも人材がそろっている。
打撃陣はトップを打つアルフォンソ・ソリアーノがカギを握る。昨年の地区シリーズでは徹底的にマークされて14打数2安打に終わり、ストレート負けの原因にもなった。また、今シーズンは2度の戦線離脱の間、チームの勝率は5割に落ち込んだ。それだけ影響力の大きいソリアーノのバットが火を噴けば、リーグトップの855得点をたたき出した打線は一段と威力を発揮することになるだろう。復活の兆しが見えてきた福留孝介のバットにも注目だ。
役者そろったドジャースがイチ押し
その原動力となったのが、7月31日のフラッグディール・トレードで獲得したマニー・ラミレスだ。移籍後、53試合に出場して3割9分6厘、17本塁打、53打点の超人的な大活躍。それまで長打力不足、得点力不足に泣いていたドジャースは生まれ変わったように打ちまくり、9月の1試合平均得点は過去5カ月の平均を1点以上も上回る5.4までアップした。
投手陣は強力。チーム防御率はリーグトップの3.68だ。黒田博樹は援護点に恵まれず9勝(10敗)止まりだったが、安定した内容でデレック・ロー、チャド・ビリングスリーとともに3本柱を形成する。右ひじ痛からカムバックした斎藤隆の存在も大きい。クローザーとしての役割なのか、8回を任されるのかは状況次第だが、ブルペンがますます強固になったのは間違いない。
ドジャースにはラミレス、ローのほかに、ノマー・ガルシアパーラが元レッドソックス。この3人とも契約問題で球団ともめて退団した“わけあり”選手。そして、チームを束ねるのが、この12年間ヤンキースの指揮官を務め、レッドソックスと激闘を繰り広げてきたジョー・トーリ監督。役者がそろったからには、ぜひともワールドシリーズでレッドソックスと対決してほしいもの。ドジャースは戦力的にみると対抗馬ということになるが、その因縁とチームの勢いであえてイチ押しにしておこう。
2年連続地区優勝のフィリーズも、昨年に比べるとクローザーにブラッド・リッジがいる分、戦力はアップしている。地区シリーズでは7月のトレードで移籍以来、11勝(2敗)をマークし、ラミレスに負けず劣らずスーパーマンぶりをみせたC・C・サバシアを擁すブルワーズと対戦する。そのブルワーズはプリンス・フィルダーとライアン・ブラウンという二門の大砲による劇的な本塁打でワイルドカード進出を果たしたが、肝心のサバシアが中3日の登板を3回も続けているだけに、状況的には苦しい。
本塁打、打点の2冠に輝いたライアン・ハワード中心のパワフルな打線を誇るフィリーズが有利な展開に持ち込むような気がする。
<了>
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