イチロー、8年連続200本安打を達成! 1世紀ぶりメジャー記録に並ぶ

吉川秀和

記録達成はショート内野安打

ロイヤルズ戦の8回、大リーグ記録に並ぶ8年連続200安打となる遊撃内野安打を放つマリナーズのイチロー=カウフマン・スタジアム 【共同】

 球足の遅いゴロがショートの前へ飛んだ。猛然とダッシュして打球を処理したマイク・アビレスの一塁送球より一瞬早く、イチローがベースを駆け抜けた。イチローがメジャーでまた新たな「歴史」を刻み込んだ瞬間だった。

 カンザスシティーのカウフマン・スタジアムで18日(日本時間)に行われたロイヤルズ戦、8回の先頭打者で迎えた第4打席、ロイヤルズのサウスポー、ロン・マヘイの投じた2球目の外角低めに沈む変化球をイチローのバットがとらえた。見逃せば「ボール」と判定されてもおかしくないような難しいボール。ボテボテの当たりがかえって幸いし、内野安打とした。

「あまりきれいな形じゃなかったので、打った瞬間は『あれっ、ヒットになっちゃう』みたいな勝手なことを考えていました」

 一塁に走り込んだときの思いをこう振り返ったイチロー。本人も「ボクらしいヒット」と認めたように、メモリアルヒットは自慢の俊足を生かしての内野安打となった。

「ICHIRO SUZUKI HAS TIED THE MLB RECORD WITH 8 CONSECUTIVE 200 HIT SEASONS」
 バックスクリーンに、イチローの輝かしい記録がこう映し出されると、スタンドのファンは偉業に気付き、拍手が沸き起こった。敵地にも関わらず、スタンディングオベーションで偉業をたたえるファンの姿も数多い。全力疾走の直後、一塁ベース上で両ひざに両手を付き、静かに呼吸を整えるイチロー。興奮の中心に立つ背番号「51」は、意外なほど冷静に見えたが、やがて右手でヘルメットを取ると、大歓声に応えた。

 今からさかのぼること100年以上、1894年から1901年にかけてウィリー・キーラー(当時オリオールズ)がつくった8年連続200安打のメジャー記録に並んだ。

今季151試合目での200安打到達

 前日までに大記録まであと3本と迫っていたイチローは、この日の試合もいつものように「1番・ライト」で先発出場した。ロイヤルズの先発ピッチャーは右腕ギル・メッシュ。初回の第1打席は四球で歩かされた。3回の第2打席には、外角低めの速球をジャストミートし、ライト線を鋭く破る二塁打を放った。5回の第3打席では、高めの速球に詰まりながらもサード後方へポトリと落とす内野安打。記録へ「王手」をかけた。

 そして、8回の第4打席、ピッチャーは相性の良かったメッシュから、2番手左腕のマヘイに代わっていた。

「きょう、あと1打席だけという可能性があったので、『何とかきょう』という気持ちがあった。明日の試合後は移動になってメディアの皆さんに協力できないですから」

 打席に入ったときの心境をこう明かしたイチロー。初球の速球を見送り1ボール。2球目の外角変化球に手を出した。ヒット性の当たりではなかったが、俊足でショート内野安打にして見せた。「王手」をかけてからの次打席に驚くほどあっさりと記録を達成し、「きょう達成できたことはボクにとっても大きい」と、晴れやかな笑顔を見せた。

 イチローが鮮烈なメジャーデビューを飾ったのが2001年。1年目のシーズンでは157試合目に200本の“大台”に到達した。それ以降の7シーズンは下記の通りである。

【イチローの200安打到達試合数/シーズン安打数】
・01年 132試合/242安打
・02年 156試合/208安打
・03年 155試合/212安打
・04年 126試合/262安打
・05年 160試合/206安打
・06年 148試合/224安打
・07年 136試合/238安打

 最も苦しんだのは05年シーズンで、残り3試合でギリギリの達成だった。開幕から全試合に出場している今季は、19日の試合を含めて「残り11試合」と、余裕を持っての大台到達だ。それでも、本人は「170本から180本の間はやっぱり予想通りちょっと重苦しい中でプレーしてましたけど、それを超えてからは、わりとノーマルな状態に戻った」と語った。

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