スペインから目指すワールドカップ=福田健二インタビュー
シドニー五輪に行っていたらダメになっていたかも
途切れたままになっている福田の代表でのキャリア。福田が再び青いユニホームに袖を通す日は来るのだろうか 【(C)宇都宮徹壱】
それはないですね。僕の場合、そういう(パラグアイやメキシコでプレーした)時期があったから成長できたわけだし、今の僕の糧になっていると思います。回り道とは思わなかったですね。とにかく、選択肢はそれしかなかったわけだし、パラグアイで結果を出さないと次がないとも思っていましたから。
ここから欧州に行ってやろう、というよりも、ここで何とかしようという気持ちの方が強かったですね。本当に、1日1日を大事に過ごしていく。その積み重ねがあって、それから代理人の協力もあって、メキシコやスペインにつながったんだと思っています。
――それでは、代表についてはどうでしょう。今のところ、福田さんの代表キャリアは、シドニー五輪最終予選で終わっています。五輪の本大会で落選したのは、やはり悔しかったのでは?
当然の結果です。名古屋のときには、ウェズレイとピクシー(ストイコビッチ)がいて、なかなか試合には出られなかったし。
――もし、シドニーに行っていたらって、考えることは?
逆にダメになっていたかもしれない。そういうところにいると、てんぐになっていたかもしれないですね。行かなくてよかったと、今は思いますけど。もちろん、今の自分から見ればですけど。
――その後、シドニー五輪に出場した高原(直泰)選手や柳沢(敦)選手は、A代表でも定着するようになります。彼らの活躍を、どう見ていましたか?
頑張っているなって感じですね。彼らは彼らの道で頑張っているし、僕は彼らに負けないくらい、いい経験をしているし、レベルの高いところでやっているんで。それに、代表に入るかどうかは、ほかの人が決めることだから。
――でも、やっぱり最近の代表の動きは気になるでしょう?
たまに映像が事務所から送られてくるけど、それより自分のことに集中しているというか……それが正直なところですね。ネットなんかも見ますから、大体のことは分かりますけど。でも、日本がどういうサッカーをしているかまでは分からないですね。FWに関しては、何でもできる、オールマイティーな選手が求められるような傾向を感じます。でも僕の場合「これだ」という武器があって、これまでやってきているので、ちょっと違うのかなとも思いますけど。
現役時代のゴールはW杯南ア大会
もちろん代表には入りたいですよ。チャンスがあれば(笑)。
――例えば今オフ、Jクラブからのオファーもあったと聞いています。いったん日本に戻って、そこから代表入りにアピールするという考えはなかったのですか?
ありましたね。それで結構、迷いました。代理人をはじめ、いろんな人と話しました。
――それでも、ほかのヨーロッパの1部でもなく、Jでもなく、やはりスペイン2部のクラブを選んだ。その決断に、福田さんがプロフットボーラーとして、何を一番大事にしているかが端的に表れていると思います。そこでぜひお聞きしたいのですが、福田さんが考える、現役時代のゴールは、どこに設定しているのでしょうか?
僕は30歳になったんですけど、32のときに(2010年の)W杯があるんです。僕はまだ成長というか、レベルアップしている段階なので、自分では33〜4くらいまではトップでいられると思っているんですね。ですから32歳で迎えるW杯というのは、自分の中では、日本のために十分力になれる自信はある。ぜひ、そこでやってみたいという想いはありますね。
――南アフリカの大舞台に立つ、福田さんの雄姿を見てみたいのは、決して私だけでないと思います
海外組の選手って、代表戦があると帰国して、日本語をすぐ思い出すじゃないですか。でも僕の場合、日本人と4年やっていないから、言葉とか出てこないですよね。正月なんかに地元に帰って初蹴りやるときなんかも、とっさに日本語で指示が出せない。いいプレーしたとき、日本語で何て言うんだっけ。「サンキュー」だっけ「オーケー」だっけ(笑)。
――なるほど(笑)。話も尽きませんが、最後の質問です。この4年間、海外でプレーしていく中で、福田さんが一番学んだことって、何ですか?
パラグアイ、メキシコ、スペイン、すべての国で大事だったのは、あいさつですね。
――あいさつ、ですか
そう、あいさつ。朝、最初に会ったときに、こっちから「おはよう」って。そうすると気持ちいいですし、自分の心が開いている状態なので、向こうからも話し掛けてくるし。そういうことって、とっても大事だと思いますね。
海外で活躍を続ける福田健二 【(C)宇都宮徹壱】
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