現地で五輪観戦はいかが? 北京滞在者が教える宿泊の“裏ワザ”

朝倉浩之
 いよいよ北京五輪の開幕まで半年を切った。アジアで開かれるオリンピックをどう楽しむか。オリンピック観戦はテレビでゆっくり、というのもいいが、せっかくお隣の国で4年に一度の大イベントが行われるのだから、現地で観戦してみたいと計画を練っている方もいるだろう。ところが、中国から伝わってくるニュースは『物価が高い』、『ホテルの宿泊代も高い』、『チケットは入手困難』、それに昨今の食品問題などが重なる。やっぱり家で……と諦めムードの方も多いのではないか。
 今回のコラムでは、そんなあなたに、北京在住者だけが知っている「とっておき」の現地観戦のコツを一足早くご紹介したい。今回のテーマは「ホテル」。五輪期間中、とんでもない値上がりが見込まれている北京の宿泊施設だが、今からきっちり準備すれば、割安のホテル代で五輪をたっぷり楽しめるという『裏ワザ』だ。

高騰する北京の宿泊費

 誰もが想像するように、五輪期間中はホテルの確保が非常に難しくなる。有名どころのホテルは、ほとんどがすでに五輪組織委員会や企業、マスコミなどに押さえられている。例えば、日系のTホテルは大部分が日本の競技役員などに部屋を提供することになっており、その他も企業などの法人が押さえている。また割安な価格と良質なサービスで日本人旅行者に人気のSホテルは、すでに半年前から予約を受け付けており、すでに満杯。

 私が調査した限りでは、外国人専門の受け入れホテルとして歴史のあるYホテルはまだ空きがあるが、一泊ツイン3500元(約5万6000円)と普段の10倍近くに値上げしている。また、米国資本のSホテルは『まだ部屋はあるが、21日以上宿泊してもらわないと部屋は提供できない。料金は前払い』と、かなり強気な条件を提示してくる。大会期間中、一日でも部屋が埋まらなければ大損……というわけで、相当シビアになっているのだ。この状況を聞くと「やっぱり家でテレビ」ということになるだろうが、ちょっと視点を変えてみると、驚くほど安く宿泊できる方法がある。

コツ「その1」:北京を離れろ!

 北京をあえて離れ、お隣の都市、天津に宿泊する。天津や北京をよくご存知の方ほど、無理な話だと言うだろう。確かに、ほんの1〜2年前までは、天津は北京にとって『近くて遠い町』だった。列車は一日に数本しかなく、切符を買うのも面倒だったし、しかも1時間半あまりもかかって、日帰りさえも危うい感じだった。だが、それも今は昔。昨年12月半ば、レール敷設が完了した都市間高速鉄道が五輪直前に開通することになっている。時速300キロの列車が走り、北京〜天津間をなんと片道30分で行き来できるようになる。また設計上は3分に1本の運行が可能とされており、今後は、ひっきりなしに列車はやってくるだろうから、乗り過ごしなどでホテルに帰れなくなる……という心配もないはずだ。

 ビジネス都市の天津は、多くの日本人が住んでおり、商用客も多いため、設備の整ったホテルが多い。「如家酒店」や「速8酒店」といったビジネス系のチェーンホテルが増えていて、インターネットでも予約できる。やはり五輪向けに値上げはしているようだが、北京市内のホテルほどではなく、今から検討を始めれば、かなり割安に部屋が確保できそうだ。だが、それでも「わざわざ天津から往復するのは……」と二の足を踏む方もいるだろう。ただでさえ不安な海外、できれば競技場の近くで、しかも安く泊まれる方法はないか。そんな都合のいい方法も実はある。

コツ「その2」:安くて便利な青年旅舎

 北京市内には、数多くの「青年旅舎」、つまりユースホステルが点在している。一般的にイメージされるのは、大部屋でベッド貸しというタイプだ。だが、各ホステルにはシングルやツインの個室もあり、バス・トイレ付きのところや、外国人相手に非常に清潔さに気を使ったところも多い。しかも一般的に町の中心部にあり、交通アクセスが良いのが一般的だ。ちなみに、筆者が問い合わせたところ、北京駅前にある人気のユースホステルは10日以上宿泊という条件付きながら一泊ツイン750元(1万2000円)と、決して安くはないが、他よりはマシという値段であった。

 また筆者の知る限り、日本人経営のユースが市内には2カ所ある。慣れない北京旅行、地元の状況を良く知る日本人が側にいれば、これほど心強いことはない。そのうちの一つに尋ねたところ、何と五輪期間中も、今の格安の宿泊費を値上げしない予定とのこと。こちらは6月から予約開始とやや遅めだが、問い合わせてみる価値はあるだろう。

 以上、今回は現地観戦のためのホテル選びの“コツ”をご紹介した。なお、文中の具体的な価格等はすべて2月半ばに直接、ホテルに問い合わせたものである。問い合わせ時期や代理店を通すかどうかなどによって、変動する可能性があることを付け加えておく。今まで現地観戦に尻込みしていた皆さん、少し工夫して、『賢く』泊まって、4年に一度の世界最高の舞台を現場で楽しむことも検討してみてほしい。

<了>
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著者プロフィール

奈良県出身。1999年、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。2003年、中国留学をきっかけに退社。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする各種ラジオ番組などにも出演している。

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