ナダル有利の予想を跳ね返したフェデラー 史上2位の高齢戴冠も「来年また会おう」
観客数は史上最高
フェデラーの5年ぶりのグランドスラム制覇で幕を閉じた今年の全豪。史上最高の観客動員数を記録した 【写真:ロイター/アフロ】
昨年のウィンブルドンから故障のために半年間コートを離れていたフェデラー。一方のナダルも左手首の故障で10月には戦列を離れていた。過去10余年にわたりテニス界を支配し、三十路を越えた2人がよもや再びグランドスラムの決勝で対決するとは、誰が思っただろうか。2人の活躍で、第1シードのアンディ・マリー(イギリス)、6度優勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を早々に失いながらも、大会は72万8763人という史上最高の観客動員になった。
トワイライトのセンターコートは、記者席までもが開始30分前には埋まり、歴史的な決勝戦はスタートから一打、一打、興奮の渦に巻き込まれた。戦前の優勝予想はナダル。これまでの対戦成績23勝11敗だけでなく、グリゴル・ディミトロフ(ブルガリア)との準決勝で片手打ちバックハンドへの強さをあらめて示していた。とはいえ年齢、経験、実績、どれをとっても予断を許さない。
ミスを重ねたフェデラー
ナダルとのラリー戦を嫌がったフェデラーは積極的なネットプレーを仕掛けたが、同時にミスも目立った 【写真:ロイター/アフロ】
第3セットのナダルは、フェデラーのサーブで始まった第1ゲームで40−0から40−40まで追いつき、逆に3本のブレークを握った。しかし結局ゲームを落として一気に攻め落とす機会を逃すと、直後の第2ゲームを失っている。フェデラーが再びリードした第4セット、今度はナダルが1本もブレークポイントを与えずに奪い返しフルセットに持ち込んだ。第4セットまでの獲得ポイントは110ポイントずつの同数だったが、ナダルが後手になりながらも押し気味の印象を与えていたのはミスの数の差。そこまでのアンフォーストエラーはナダルの19に対しフェデラーは48だった。
5年ぶりのメジャー制覇でトップ10返り咲き
世界ランキングのトップ10に、フェデラーが帰ってくる 【写真:ロイター/アフロ】
そんな予感のざわめきのなか、ナダルは第1ゲームから攻め込んだ。長い打ち合いに持ち込んで0−30からブレークに成功。続く第2ゲーム、反撃してきたフェデラーの3本のブレークポイントもかわしたが、それでもフェデラーは気落ちせず、最後まで攻め続けた。第6ゲーム、40−30とチャンスをつかむと、激しい攻防の末にブレークバック。続く第7ゲームをラブゲームでキープすると、むしろ、この辺からナダルの方に疲れが見えてきたようだ。
フェデラーの準決勝は3日前、ナダルは前々日。これまで9年間のデータでは、回復時間の短い方が5勝4敗とわずかに有利と出ているが、データは参考にならない。
「5時間試合のリカバーは難しい。その点では問題はなかったけど、いつもよりは少し足が動かなかったように思う。何より、ロジャーが最後まで超アグレッシブで、なかなか思うようなプレーをさせてもらえなかった。僕も良いプレーはした。最後まで闘志を失わずにやれたと思う」(ナダル)
第8ゲーム、フェデラーが40−0に追い込み、ナダルが40−40まで持ち込んでも、この日最も長い26本のラリーを制してブレークに成功。最後はフェデラーが2本のブレークバック・ポイントを凌いで、実に5年ぶりのメジャー優勝を手にした。
「ラファに勝てたことよりも、このオーストラリアでカムバックできたことがうれしい。(かつてのコーチでともにオーストラリア人の)ピーター・カーター、トニー・ローチにはいつも感謝しているからね。今日は、相手よりも自分のテニスに集中しようという姿勢だった。最後まで、勝てると思ってプレーすることができた。コートで『来年また会いましょう』と言ったのは、まだまだ自分の中にテニスの可能性が見えているから。来年、また来たい。それが今の夢だ」
優勝賞金は370万オーストラリアドル(約3億1820万円)で、週明けに発表される世界ランクで、フェデラーは10位に返り咲き、ナダルは世界6位に上がる。
文:武田薫
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