球場の雰囲気を変える右の大砲へ――プロ注目の大学日本代表の4番・大山悠輔
大学日本代表でも4番を務めた白鴎大・大山。プロ球団がのどから手が出るほどほしい補強ポイントである右の大砲として、ドラフト候補に名乗りを上げる 【写真=福地和男】
今春は8本塁打に打率4割超え
「実は、シーズン前のオープン戦でまったく打てず、試合に使ってもらえないのではないかと思うぐらいでした。でも、『打ちたい』と思えば思うほど凡打が増えていったので、とにかくリラックスして打席に入ることを心掛けました。そのためにやったのが試合前にあえて悪いことばかりを考えて緊張すること。これ以上ないくらいガチガチになっておくと、逆に試合では気楽に打つことができました」
安打は20本を数え、打率は4割超え。さらに、8本塁打はリーグのシーズン記録を塗り替えた。
「飛距離を伸ばすためロングティーに取り組んでいて、フォーム面では体が開かないように我慢し、下半身からスイングするようにしています。最近、ボールが当たってからバットに触れている時間を感じられるようになって、『いま、バットにボールが乗ったな』という感触も分かってきました。ボールを遠くへ飛ばすコツをつかみかけているように感じています」
また、20打点もリーグのシーズンタイ記録だった。
「チームに貢献するという意味では、一番価値があったと思います。前を打つ打者が作ってくれたチャンスですから、自分も後ろへつなぐ気持ちで集中力を持って打席に立つことができました」
メラメラと燃えて侍ジャパン合宿に合流
「これまでの野球人生では全国大会に出場したことも、日本代表に選ばれたこともなかったのですが、ジャパンでプレーすることは目標の一つでしたし、『チャンスだ』と感じていました。周りは東京六大学や東都の有名な選手ばかりでしたが、同じ大学生ですから『負けてたまるか!』という強い気持ちで、メラメラと燃えて、直前合宿から参加しました」
とはいえ、チームの雰囲気は良く「フリーバッティングでは、どんなテーマで振っているのかを聞いたりしました」と、選手同士で技術や道具について情報交換。また、「自分はフルスイングをするとバランスを崩すことがあるのですが、他のメンバーはどんなに振ってもフォームが崩れないので気をつけなければいけないと感じました。守備では、ショートに京田陽太(日大)と吉川尚輝(中京学院大)がいたので、球際の強さや打球への寄りの早さ、一歩目のスタートなどを見習って、少しでも近づきたいと思いました」と、大学トップレベルのプレーを見て刺激を受けるなど、優勝に貢献した代表での経験は大きな収穫になったようだ。