期待せざるを得ないADOの開幕戦 ハーフナーは2得点で勝利に貢献
開幕戦を3−0の快勝で飾る
開幕戦に3−0で勝利。ADOデンハーグは良いスタートを切った 【Getty Images】
だからと言って、今季のADOデンハーグに、それほど大きな期待がかかっているわけではない。昨季のチーム内得点王ハーフナー・マイク、オランダリーグアシスト王エドワルド・デュプランが(現時点では)チームに残っているが、それほど有名な選手が多いわけでもなく、選手層は厚くない。
かつてRKCワールワイクの指揮を執ったものの、ゼリコ・ペトロビッチ監督はオランダ1部リーグでは初采配とあって、その手腕はまだお手並み拝見のよう。昨季、ADOデンハーグは11位でフィニッシュしたが、今季の開幕前予想は大体12位から14位辺りに固まっている。
そんなADOデンハーグがゴーアヘッド・イーグルスに3−0で勝利するという開幕スタートを切った。
試合前日の練習最後に念入りにPKを調整していたハーフナーが16分、相手GKの逆を取るPKで先制。70分には右ウインガー、ルベン・スハーケンのクロスをファーサイドから走り込んだハーフナーがヘッドで決め、チームを2−0のリードに導いた(この時のスタジアムアナウンスは「ハーフナーがリーグ得点王争いトップに立ちました」というもの)。82分には途中出場のティロネ・エブエヒが頭で追加点を決め、ゴールラッシュを締めくくった。
3点目への未練は残るも、「良いスタートを切れた」
京セラスタディオンに駆けつけたサポーターも、新生ADOデンハーグのサッカーを楽しんでいた。スコアーボードは「1−0」のままで、時折相手のゴーアヘッド・イーグルスもチャンスを迎えるなど、スコアの動きだけを見たらジリジリする流れだった。しかしピッチの上で躍動する選手にサポーターは胸をときめかせ、テクニカルエリアに立ちっぱなしの指揮官ペトロビッチに、リスペクトのこもったチャントを贈ったのである。ADOデンハーグの3−0の勝利は正当な結果だった。
85分、ハーフナーが交代することになった。ゆっくりとフィールドを歩くさまは時間稼ぎというよりも、不満を鎮める仕草のように思えた。しかし、この交代は、ヒーローがファンからのスタンディングオベーションを受ける盛り上がりを狙ったものだった。ペトロビッチと握手するときには、ハーフナーの顔に笑みが戻っていた。タイムアップの笛が鳴る直前には、この日のマン・オブ・ザ・マッチがハーフナーであることが場内に告げられた。
「良いスタートを切れたと思います」と試合後のハーフナー。
昨季のPKキッカーはティモシー・デライク(現ズルテ・ワレヘム)だったが、今季は「(PKキッカーの座を)奪う奴もいない。みんな『お前が蹴れ、お前が蹴れ』と言ってくるので、『じゃあ、俺が蹴る』と(笑)。よかったです。個人的にPKで決めるのは好きじゃないのですが、今回はちょっとうれしかったです」とトークも滑らかだ。
ただし、「普通はストライカーにハットトリックを取りにいってほしいと思うんですけれどね。そういう意味では、交代させられたのは納得がいかないです」と3点目への未練は残った。
ゴーアヘッド・イーグルスは昇格チームとあって、単にADOデンハーグとの差が出てしまっただけの試合だったのかもしれない。選手層が薄いという現実もある。この1試合だけで過大評価してはならないだろう。それでも、この試合は決してハーフナーだけが目立ったわけではなく、ペトロビッチ監督はデュプランの活躍を褒め称えた。インタビューエリアではチームのムードメーカーであるセンターバック、トム・ブーヘルスデイクをマン・オブ・ザ・マッチに推す声も聞かれた。このように多くの選手が自身の平均点を越すパフォーマンスを見せたことなど、大きな収穫があったのは間違いない。
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