レッドブルリンク、荒れた週末の理由 今宮純のF1第9戦インプレッション
フェルスタッペンの「レース力」とベッテルの悲運
メルセデス2台の後ろにつけ、2位をかすめとったマックス・フェルスタッペン 【Sutton】
背後に閉じ込められたのは、またもフェラーリのキミ・ライコネン。フェルスタッペンは15周目から長距離走行してきたソフトでベテランを抑え切る。「自分がミスをしなければ守れると思っていた」。このコメントの裏には「相手には抜けるだけの勢いはない」と見切ったフェルスタッペンの透徹な観察眼が潜む。18歳の“ベテラン”は、また銀の矢が折れて欠けると、すくいとるところに、ちゃんといた。
悲運だったのはセバスチャン・ベッテルで、無得点レースは非常に痛い。バーレーンGPは出走できず、ロシアGPリタイアに続き、今季3度目だ。それ以外の6レースで得た96点は昨年の同時期135点を大幅に下回る。せめてもの救いは首位ロズベルグとは57点差、昨年は首位ハミルトンと59点差と、ほぼ同じだ。フェラーリ陣営は惜しまずさらにトークンを使い、残りは3トークン。パワーユニットの開発に集中する一方でギヤボックスなど信頼性に陰りがちらつく。レース中に起きたタイヤ・バースト事故の詳細原因は、いまだ不明。いい流れに乗りそうで乗れない、モヤモヤしたフェラーリ。そして再び、ぎくしゃくしはじめたメルセデスをあざ笑うかのように、レッドブルは自分たちの庭で2位をかすめとった。
(Text:今宮 純/Jun Imamiya)