【新日本プロレス】IWGP王者・内藤哲也、オカダへの提言「あの頃みたいに俺を焦らせてみろ」
6.19大阪城ホール大会を控えた内藤にインタビュー。オカダ戦、G1についてなど聞いた 【スポーツナビ】
新日本プロレスで“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”旋風を巻き起こし、その制御不能な戦いぶりで、悲願だったIWGPヘビー級王座を戴冠した内藤哲也。かつてはブーイングの嵐だった会場を、自身への声援と変え、その勢いのまま大阪城ホールのメインの舞台に立つ。
対戦相手は前王者のオカダ・カズチカ。前哨戦となる前シリーズでは、挑戦者のオカダに対し「変化」を求めていたが、その真意はどこにあるのか? タイトルマッチを控えた内藤に話を聞いた。
ブーイングから声援へ 全国で「手のひら返し」
ブーイングが声援へと変わることはうれしいが、「ブーイングをしていたみなさんはどこへ行ったの?」と話す 【横田修平】
現在ですか? 非常にオクパード(忙しい)な日々を過ごしています。でも、毎日毎日、大阪城に近づいているのを実感し、とにかく楽しみですね。
――どんな点が楽しみですか?
大阪という土地は、今まで「大きな歓声」という名のブーイングを送ってもらっていた地域で、俺はブーイングを全国展開もしていましたが、その全国のお客様が徐々に徐々に「手のひら返し」をしている中で、果たして大阪のお客様はどうなのかと。あれだけ激しいブーイングをしてくれた大阪のお客様には、俺に「手のひら返し」をして欲しくないなと思っているので、大阪のお客様の反応が一番楽しみです。
それぐらい自信があって、タイトルマッチに関しては不安に感じることはないです。
――やはり観客からの声援は、全国で変わってきているのを実感していると?
今年に入ってから、まったくゼロではないですけど、ブーイングがかすかに聞こえる程度にしかないので。もちろん応援されてうれしくないレスラーはいないのですが、応援されてうれしいという反面、あの時ブーイングをしていたみなさんはどこへ行ってしまったんだろうなという気もしていますね。
オカダが変わらなければ結果は同じ
挑戦者のオカダに変化を求める内藤。「変わらなかったら結果は一緒」 【横田修平】
俺にベルトを持っていかれた悔しさだったり、こんな早くにリターンマッチが組まれたということで、絶対に負けられない、連敗はできないという焦りはすごく感じるんですけど、でも俺が彼に必要だと思うことは“変化”。同じような戦いをしていたら結果は両国と変わらないよと。
それは気持ちなのかもしれないですし、技なのかもしれない。それが何かは分からないですが、やっぱりオカダは“変化”しなきゃいけないと俺は思っていたので、彼と戦っている中で変化を感じられるかなと思いながら、前シリーズを戦ってきました。結局、何の変化も感じることができなかったので、だから俺は彼に、彼の実力を認めているからこそアドバイスしました。「焦ったほうがいいよ」と。
――先日、オカダ選手にお話を伺った際は、自分自身は「変える必要がない」と言っていました。内藤選手としては、オカダ選手に変化した方がいい部分があると思っているのでしょうか?
あるかどうかは分からないですけど、でも結局、変わらなかったら結果は一緒になっちゃうんじゃないの?と。これだけ新日本プロレスが次のスターとしてオカダを前面に押し出しているわけで、オカダを推すお客様が多いのは知っているし、何よりもうちの木谷(高明)オーナーが「一押し」している選手ですから。それだけ大きな期待を背負っているわけだから、このまま変化がなければ、結果は両国と同じになっちゃうよと。これだけ期待しているみなさんを裏切ることになっちゃうよと。これは俺から、チャンピオンからの挑戦者に対するアドバイスです。
――そのアドバイスを送っても、オカダ選手からの反応がなかった?
なかったですね。でもまあ、彼は彼で変わらなくていいと思っているんなら、それでいいんじゃないですか? 俺がすべて正しいわけではないので。
――では内藤選手から言えるのは、大阪城でオカダ選手が変わらないと、結果は一緒だよということだけだと?
俺はそう思います。
オカダのプレデビュー戦から意識していた
木谷オーナー(右)へ矛先が向いたのは「2億円プロジェクト」を公言したこと が大きい 【横田修平】
なんせ、俺にここ最近負けた選手ばっかりですからね。なのに、試合後にリングに上がって「挑戦します」と言っただけで簡単に挑戦が認められてしまうこの「CHAOSびいき」は何なんだと。仮に俺が負けたとしても、俺が負けた後にすぐリングに上がれば挑戦させてくれるの? もしくはCHAOSの誰かが俺を倒そうものなら、終わってしまうのかと。まあ、おそらく俺の予想では、大阪城でオカダが勝った場合、終わると思いますよ。俺らのリターンマッチは認められない。となると、俺はいつまでCHAOSに勝ち続ければいいんだと。
3月のニュージャパンカップからCHAOSに連勝しているわけで、前シリーズの前哨戦でも大阪大会(5.29大阪市中央体育館・サブアリーナ大会)を除いて、全部俺らが勝っていますから。
あと5月の福岡大会(5.3福岡国際センター大会)で防衛した三夜明け会見でしたっけ? 俺は今IWGPの挑戦者にふさわしいのはEVILだと、言いましたから。でも結局オカダになってしまう。なので、今のところは変わらないだろうなと。
――内藤選手としては、そういう会社の方針などに納得がいかず、木谷オーナーへのアクションもあったということですか?
まあそうですね。ただ1番は「2億円プロジェクト」を口に出したことへの不満から始まったんです。
間違って欲しくないのは、「何でオカダに2億円もかけるんですか?」という不満ではなく、「何でそんなことをわざわざ口にするんですか?」という不満なんですよ。オカダについては、若いし、背も高いし、いろいろな経験もしているし、2億円をかけるだけの価値はある選手だと俺も分かっていますよ。ただ、それをわざわざ口にすることで、オカダ以外の選手が、「オカダよりも絶対に上にいけない」と思っちゃうことなんですよ。そんなので士気が高まる? そんな余計なことをわざわざ公言しないで、裏でオカダと話していればいいじゃんかと。そういう不満から出た「2億円」への批判なので、その批判の方向は間違って欲しくないですね。
――プロジェクトの内容やオカダ選手へではなく、木谷オーナーが公言したことに納得がいかないと。
それと、これは逆に、オカダがこれで一気に大スターになっても、それって木谷オーナーのおかげじゃんと言われちゃうよ。俺は何なら、オカダもフォローしてあげていて、このままじゃ「木谷オーナーのおかげで」って言われちゃうから。
――内藤選手としては、オカダ選手を認めているからこその言動であるということなのですね。
そうですね。俺はオカダが新日本に入ってきて、プレデビュー戦というのを、2007年8月に初登場した時にやっていて、その相手が俺なんですよ。俺はその時のバックステージで「オカダとはこれから先ずっと競っていく相手だと思う」とコメントしたんですよ。誰も聞いてなかったですけど、その時から俺はオカダを意識していましたし、彼が日本に帰ってきて(2012年)、一気にトップにのし上がっていく姿を見ていました。その姿にすごく嫉妬したし、彼をいつか引きずり下ろしてやると、追いかけていた部分もあったので、今現在、ベルトも、そして、存在感も俺が上回ってしまいましたけど、でも俺は彼には、俺が焦っていた頃の堂々とトップに立っている、その姿でいてほしいと思っていますよ。今の姿は非常にふがいないし、あの頃みたいに俺を焦らせてほしいですね。