【新日本プロレス】IWGP王者・内藤哲也、オカダへの提言「あの頃みたいに俺を焦らせてみろ」

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戦い方に関しては「あれが正攻法」

放り投げても戻ってくるIWGPのベルト。「位置関係が逆になってしまった」と話す 【スポーツナビ】

―― 一方で、内藤選手の戦い方に対して批判をしている方も多いと思います。その意見に対しては?

 納得していますし、ただ、今の俺にとってはあれが正攻法です。だって別に反則負けになってないですし、プロレスは5秒以内なら反則をしてもいいというルールもありますから。実際、反則負けになっていないというのは、確かに外の人から見たら悪いことをしているかもしれないけど、正式に悪いことをしたとは認められていないわけですから。反則負けになっていないですから。

――確かにレフェリーが反則という裁定を下していないです。

 なので、人にとやかく文句を言われる筋合いはないです。そもそも、戦い方であったり、ベルトの扱い方だったり、文句があるなら俺から取ればいいじゃん。ベルトを取って行けばいいじゃんと。それが一番簡単な方法ですよと。
 ベルトの扱い方に文句があるんだったら、俺を更生させることよりも、このベルトを取っていった方がいいし、戦い方に文句があるんだったら、きっちり俺を負けさせればいい話なんですよ。

――ベルトの扱い方に対してですが、もともと内藤選手は「30代になる前にIWGP王者になる」という夢を語っていましたが、その頃と今現在では、IWGPのベルトの意味合いは変わってしまったのでしょうか?

 俺はオカダであったり会場のお客様には笑われましたけれども、俺がこのベルトを夢見て、ベルトを取ることを夢だと公言して頑張っていました。まあ結局その時はダメでしたけど、4月10日の両国で勝つ瞬間まで、俺にとってこのベルトは夢でした。
 ただ取った瞬間に、俺がこのベルトを追いかけていたのが、持った瞬間、見た瞬間に、「このベルトより俺の方が上に行ってしまった」と感じたんで、放り投げました。
 チャンピオンになったら当たり前なんですけど、放り投げても放り投げても、こうやって手元にベルトが戻ってくるわけで。なので今現在は、俺が当時夢見ていたベルトとの位置関係が逆になってしまって、見方は変わってしまいましたね。

 あと、俺がIWGPを夢だと言っていた時に、オカダには「小さい」と言われたんですけど、確かに小さかったなと。それはこのベルトを取った今なら納得できる。ひとつの夢をかなえたら、新しい夢が出てくると思ってIWGPを夢だと語っていたわけですよ。

 そもそも俺が中学3年生の時に、新日本プロレスのレスラーになろうと決めた時、立てた目標が3つあって、まずは新日本プロレスのレスラーになること。それと、当時は武藤(敬司)さんが好きで、武藤さんが29歳でIWGPを取ったので、俺もそれまでにIWGPを取りたいと。結局29歳には間に合わなかったですけど、結局こうやってベルトを取っている。そして最後の目標が東京ドームのメインに立つこと。今のところ2つをクリアしているわけですから、直近の目標は東京ドームのメインなのかなと。この3つの目標が全部達成された時、また新しい夢が出るんじゃないかと思っています。

引退まで完成型はない

今が最高の状態だが、完成型ではない。これからも向上心を持って、成長を続ける 【横田修平】

――内藤選手の戦う原動力というのは、その夢を達成することでもあると?

 そうですね。とりあえずはそこですね。だから結局、いまだに中学3年生の時の夢を目標として語っているし、テーマ曲を変えていないですし、なんなら試合中に出す技もそれほど変わっていないですし、結局、俺はそこまで大して変わっていないですよ。変わったのは、会場にいるお客様だったり、情報を携帯やテレビで見ている皆様の反応だけで、そういう意味で、すごく「手のひら返し」を感じています。

――内藤選手としては、変わる必要がなく、完成型であると?

 完成型……。俺は今現在、今までのベストだとは思っています。ただこれが完成型だとは思ってないです。これが完成型だったらこれ以上はないということですよね?

――そうですね。伸び代がないという意味にも取れます。

 俺はそうはなりたくないですし、これからも新しいものを見つけて取り入れたい。要らないものを省いたり、試合をして何かしらいろいろなものを感じていけば変化もあるはずなので。なんなら引退まで完成型はないと思っています。
 逆に今が完成型だとしたら、もう向上心がないという話になる。それに、トップを取りたいと思う気持ちがなくなったら、俺はこのリングに立っているべきではないと思います。俺は新日本プロレスが大好きで入って、このリングに誇りを持っていますし、だからこそ、新日本のリングに上がるレスラーは向上心を持っていて欲しい。全員がIWGPを目指すべきだと思っていますので、俺にとっての完成型はないと思います。

G1でチャンピオンが優勝したらどうなる?

大阪城大会のメインはすべてオカダにかかっている。どんな結末が待っているかは、トランキーロ、あっせんなよ! 【スポーツナビ】

――さて、大阪城ホールの戦いが終わると、いよいよ今年もG1クライマックス(7月18日、北海道立総合体育センター北海きたえーる大会で開幕)が約1カ月後に迫ります。王者としてG1に臨むことになったら、どんな戦いを見せたいですか?

 G1クライマックスは1度優勝した経験があるので、G1制覇というのが、どれだけ大きいかは分かっているつもりです。それをもう一度味わいたいという気持ちもありますし、新日本プロレスを世間に届ける大きなチャンスでもあるので、そこは俺なりのプロレスで、みなさんに届けたいと思っています。
 ただ俺がひとつ疑問に思うのは、このG1クライマックスに優勝したら、東京ドームで「挑戦権利証」がもらえると。じゃあこれ、チャンピオンが優勝したらどうなるんですか、と。

――確かに今まで、IWGP王者が優勝したケースは少なかったですね。

 今年何人が参加するかは知らないですけど、チャンピオン以外が優勝したら特権がもらえるわけじゃないですか? じゃあチャンピオンが優勝したら、何がもらえるのか。それを開幕前にはっきりしていただきたい。じゃないと、俺のモチベーションは上がらないよと。俺がチャンピオンとしてG1に臨むに当たり、開幕前日までには、チャンピオンが優勝した場合は、どんな特権が与えられるかをはっきり示して欲しいですね。
 モチベーションが下がってしまったら、世間にプロレスをアピールできるチャンスなのに、「チャンピオンはこんなものか」と思われてしまう。それって、俺のモチベーションを下げているのは、新日本プロレスの責任じゃないの? そういうことになってしまわないように、俺のモチベーションが上がるような、チャンピオンが優勝した時の特権を開幕までに提示して欲しいですね。

――ちなみに内藤選手が「これだったら優勝の特権に見合う」というものはありますか? 例えば優勝賞金「2億円」というのもありますが……。

 いや、お金ではないですね。具体的には思いつかないですけど、今ぱっと浮かんだのは、1大会のマッチメークをやらしてもらうとか。それこそその舞台は小さい会場ではなくて、東京ドーム大会の全マッチメークとか。
 これはぱっと思いついたものなのであれですが、G1の優勝というのはそれぐらいのものがかかっていてもいいぐらいの大会だと思っています。

――そういう意味でも、大阪城ホールではタイトルを防衛したいところかと思います。最後に大会に向けての意気込みをお願いします。

 今回のタイトルマッチはチャレンジャーという立場もありますし、リターンマッチということもありますし、変わらないといけないのはオカダだと思います。このメインイベントの行方は、すべてオカダにかかっているんじゃないかなと、俺は思っています。

 まあ、会場に来てくださる木谷オーナー、そして会場に来てくださるお客様、新日本プロレスワールド、ライブ・ビューイング(全国の映画館12会場でライブ上映)、いろいろな形でこの大阪城ホール大会を見てくださる方々には、あなたの目で、あなたの耳で、今現在の新日本プロレス、そして、われわれロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンをしっかり感じていただきたいと思います。それと、この大阪城ホール大会、一体どんな結末が待っているか?
 その答えは、トランキーロ、あっせんなよ!

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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