ハリルホジッチ「ばか正直すぎた」 キリンカップ決勝 キリンカップ決勝 ボスニア戦後の会見

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ボスニア戦後、ハリルホジッチ監督(左)は「FKで簡単にやられるのはばか正直すぎる」とコメント 【Getty Images】

 サッカー日本代表は7日、市立吹田サッカースタジアムでボスニア・ヘルツェゴビナ代表とのキリンカップサッカー2016決勝に臨み、1−2で敗れた。日本は前半28分に清武弘嗣のゴールで先制するも、直後の29分にミラン・ジュリッチに決められ、1−1で前半を終えた。後半21分、ジュリッチにこの日2点目となる逆転ゴールを許すと、その後に迎えたチャンスを生かすことができず逆転負けを喫した。

 試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は2失点したことについて「ナイーブで集中力を欠いていた」とコメント。特に2点目については「FKで簡単にやられるのは、ばか正直すぎる」と語った。

 その他にも、フィジカルの問題やFKを獲得できなかったことなどを課題に挙げ、「まだまだトレーニングしないといけないし、もっとずる賢くならないと」と気を引き締めた。

ナイーブで集中力を欠いていた

 がっかりしている。他の結果を出せる資格が、われわれにはあったと思っている。2失点に関しては集中力(の欠如)とナイーブさが原因だったと思う。1失点目は、われわれが決めた直後だった。得点をしてから5分間は失点に気をつけるように、今日のミーティングで言ったばかりだった。2失点目はFKからだったが、1つのパスで全員が突破された。何人かの選手は、すでに頭の中がバカンスだったのではないか。(それくらい)集中力が欠けていた。選手たちには「ブルガリアとは違う」という警告は出していた。

 後半には遠藤(航)を出して、デュエルのところでわれわれのパワーを出そうとした。後半はしっかり(ゲームを)コントロールできたと思う。ただし2失点目、FKで簡単にやられるのは、ばか正直すぎる。われわれは多くの決定機を作ったが、同点にすることはできなかった。ブルガリア戦では少しわれわれは情熱的になりすぎたが、現実に引き戻されたのはポジティブなことかもしれない。まだまだやるべきことがたくさんある。何人かの選手には、フィジカル的な部分でハイレベルになってほしい。

──前半に比べて、後半は活性化できたと思うが、最後のところで崩せなかった。相手の守備が粘り強かったと思うが、それを差し引いて何が足りなかったか?(田村修一/フリーランス)

 美しい決定機は作れたが、ちょっとした差だったと思う。最後のところで正確性が欠けていた。(後半のアディショナルタイムに)浅野(拓磨)がフリーで打った場面でも簡単に決められたと思うが、パス(の相手)を探した。まだ21歳だが、彼にはそれ以外にもたくさんの決定機があった。経験が足りなかったとは思う。

 相手はフィジカルパワーがすごかったし、ひとつのパスですべてを逆転させ、FWはすべてのデュエルで勝っていた。ものすごいパワーに対して、われわれは対抗できなかった。5〜6人が190センチ以上で、簡単ではなかった。ただし彼らは偶然でメンバーに選ばれたわけではなかった。かなりモチベーションは高かったし、しっかりと守備もしていた。(日本の)何人かの選手は、ブルガリア戦のようなイメージで、少し難しいプレーをやろうとして、結果としてカウンターを食らってしまった。ただ、良いレッスンだったとは思う。全員がトレーニングを続けて伸ばさないといけない。

われわれはパワーでは対抗できない

高さとパワーのあるボスニアに対し、ハリルホジッチ監督は「フィジカルの準備ができていない」と課題を挙げた 【Getty Images】

──この2試合を終えてW杯最終予選に入るが、本田圭佑と香川真司が使えない中での収穫は何だったか?

 収穫はもちろんあった。ボスニアはわれわれよりゲームをコントロールし、ほとんどの場面は彼らが支配していた。われわれは、最後の25メートルから30メートルで対応できず、決定機を作れなかった。ブルガリア戦は4〜5回は失敗したものの、決定力が高かった。しかし、こういった試合では4〜5回の失敗は許されない。相手はパワーがすごかったし、簡単ではなかった。そして(日本は)フィジカル的に準備ができていない選手が何人かいたし、疲労もあった。本当にきつい選手もいた。常にフィジカル的に100%でないと、われわれのプレーはできない。われわれはパワーでは対抗できないし、個人プレーでも打開できないだろう。

 われわれの長所は、しっかり組み立てをすること、流動性、そして最後はリアリストになることだ。この2失点は、正直にプレーしすぎてしまった。しっかりブロックを固めるとか。2失点目は1つのパスで全員が突破されてしまった。がっかりしているが、まだやるべきことがあるということが、あらためて分かった。「A代表でプレーしたければ、海外組もそうだが、もっとフィジカル的にいい状態になってほしい」というメッセージを送っている。100%の準備ができなければ、次の最終予選には呼べない。100回もチャンスを与えることはできない。みんなが努力してほしい。

 ブルガリア戦で素晴らしい試合をしたにもかかわらず、このような結果に終わってしまって残念だ。もちろん、ボスニアが相手では難しいと思っていた。違う結果になる可能性もあったが、ボスニアのほうがリアリストで、われわれは正直者だった。疲労による集中力の欠如もあった。頭の中がバカンスだったのか、たくさんのことが頭のなかで起きたと思う。ボールを奪うところもについても、ゾーンを敷いて前にいきたかったけれど、それができなかった。いろいろな分析をして、そこから忘れていけないことを導き出していくしかない。

 Aチームを率いて初めての敗戦となるが、それも受け止めなければならない。負けは大嫌いだが、すべての試合を勝つことはできない。最終予選でこのような敗戦をしないこと。私は(日本の)長所も短所も完璧に把握している状態だ。チームはそこまで悪いゲームはしていなかったが、やられてしまった。何人かの選手は疲労もあったと思う。そしてこの2失点は、ナイーブで集中力を欠いていた。

身長の高い選手を探す必要があるのかもしれない

──ブルガリア戦を含めて、ポジティブな要素は?(大住良之/フリーランス)

 2試合で8点取れたこと、そして2チームとも欧州の国だったことだ。ボスニアから4点も5点も取るのはあり得ないことだが、キヨ(清武)や浅野、宇佐美(貴史)が4〜5回の決定機を作ったのはポジティブなことだ。1試合目がこのような結果になるとは思わなかったし、ボスニア戦でも美しいアクションはあった。ただ、一番がっかりしたのは、フランス語で「ナイーブ」というのだが、つまりばか正直ということだ。

 CKとかFKとか、相手は6人の190センチの選手がいるので、こちらはしっかりプレーしないといけない。彼らにとってFKは決定的なチャンスだ。マンツーマン(マーク)を敷いたが170センチ対190センチということで簡単に勝つことができない。

 われわれは身長の高い選手を探す必要があるのかもしれない。このチームに足りないところは把握している。まだ全員が、フィジカル的に100%の準備ができていない。なぜ集中が足りなかったのか。疲労があるのは分かっている。あるいは、バカンスのことを考えていたのかもしれない。

 われわれは人間なので、10カ月もシーズンを送ったあとで休みたい気持ちは分かる。(今回は)フレンドリーマッチでもあった。ただし最終予選では、こういうことは許されないということは確実に言える。皆さんが目にすることができないチーム内部では、いろいろな準備が進められている。ここからは結果のみが求められる。すべての勝利は、しっかりした準備によってもたらされる。負けたということで、私がしっかり準備できていなかったのかもしれない。それでも今日の試合は、本当に勝ちたかった。

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