「コリジョンルール」で何が変わった? ベースボール・グラフィック・レポート

 2016年のプロ野球において外せない話題がある。それは「コリジョンルール」について。導入前までは聞き慣れない言葉だったが、いまや頻繁にメディアで取り上げられ、ファンの中でも『あれはコリジョンだ』『いや、コリジョンじゃない』と意見を戦わせていることだろう。

 今回は「コリジョンルール」の導入で昨季までと変わったことはあるのか、検証していきたい。

【データおよび画像提供:データスタジアム】

 本題に入る前に、「コリジョンルール」とは何なのかを記しておこう。

 コリジョン(collision)とは“衝突”を意味し、同ルールは本塁での危険なクロスプレーを回避するためにつくられた。言い換えると、走者の激しい体当たりや捕手の悪質なブロックにより、選手生命が断たれないためのルールだ。MLBでは先だって一昨年から取り入れられ、NPBでも今シーズンから採用された。

「コリジョンルール」について、野球規則等に明文化されたのは以下のとおり(要約)。
1.走者の捕手または野手への体当たり禁止
2.捕手または野手の走者へのブロック、走路の封鎖禁止
3.送球が逸れる等やむを得ない場合、捕手または野手の走路侵入は許されるが、走者と激しい接触を避ける努力をする
4.球審が悪質で危険な衝突と判断した場合には、該当選手に警告または退場処分を下す

 以前は捕手が送球を待ち構えながら、走者の本塁侵入をレガース等で阻む行為(つまりブロック)が多く見られた。だが、「コリジョンルール」導入後はブロック禁止に。クロスプレーがきわどいタイミングになると、走者に直接ミットで触れて刺殺する必要が出てきた。

 このように、主に捕手の立ち位置と動きが大きく変わることから、同ルールは走者が本塁を狙う機会が増え、全体的に得点機も増えることが開幕前から想定されていた。

【データおよび画像提供:データスタジアム】

 では、同ルールの導入で、大きく変化したのは上記1〜3のどれだろう?

 1の「ランナー三塁から内野ゴロでホームイン」は、いわゆる「ゴロゴー」の場面。無死もしくは1死で走者が三塁にいたとき、本塁へ突っ込んで生還することを指す(なお満塁時はフォースプレーにあたるので、サンプルから除外)。コリジョンルールの導入により、走者は本塁へ突入する思い切りの良さをこれまで以上に求められ、打球をさばく内野手にはより素早く正確に本塁へ転送することが求められる。

 2の「ランナー二塁から外野へ単打でホームイン」は、走者状況が二塁、一二塁、二三塁、満塁のケースで、打者が外野へ単打を放ったときに二塁走者が本塁へ生還することを指す。この場合は二塁走者の脚力、外野手の送球の精度はもちろんだが、三塁ベースコーチの腕も大いに試される。

 3の「ランナー三塁から外野フライでホームイン」は、いわゆる「犠牲フライ」の場面。無死もしくは1死で走者を三塁に置いて、打者が外野へフライを上げたとき、走者がタッチアップから本塁へ生還することを指す。深いところまで運んだ打球はともかく、定位置より浅い打球において本塁突入の機会は増えそうだ。

 さて、以上の3つの事象のうち、今シーズンの数字が大きく変化したのはどれだろうか。

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