吉か凶か…HRテラスの恩恵受けるのは? ベースボール・グラフィックレポート
東京ドーム並みに狭い球場となったヤフオクドーム
そんな中で今年、ホームランが激増しそうな“球場”がある。昨季の日本一・福岡ソフトバンクの本拠地、ヤフオクドームである。
【データおよび画像提供:データスタジアム】
今季、ホームランが倍増する!?
【データおよび画像提供:データスタジアム】
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ソフトバンクの孫正義オーナーは、20代の頃から企業経営に「孫子の兵法」を応用していることで知られていているが、その教えのひとつに「戦いにおいて地形をいかに利用するかが重要である」というものがある。ホームランテラス導入によって、戦場であるヤフオクドームの“地形”そのものが変わったのだ。
選手会長の松田宣浩も「(ホームスタジアムは)ホームチームが有利に戦えるようにしないと」と話していたが、メジャーリーグでは自軍のチーム事情にあわせたホームスタジアムを作ることはよくあること。たとえば2008年までニューヨーク・ヤンキースの本拠地だった旧ヤンキー・スタジアムは、圧倒的にライトまでの距離が短く極端に左打者有利の球場だった。1923年の開場当時、ヤンキースには左打ちのスーパースター、ベーブ・ルースが所属しており、このいびつな球場設計はルースの本塁打を増やすためだったとの説もある。
ソフトバンクは昨年、ホームで43勝21敗と圧倒的な強さを発揮した。ホームランテラスの新設はまさに鬼に金棒!……かと思いきや、実はそうとも限らない。
他球団の方が有利になる可能性も
【データおよび画像提供:データスタジアム】
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ホームランテラスを導入した孫オーナーの思い
野球の“華”であるホームランが増えるだけでなく、たとえば記者席のようにカウンターが設置されたライト側のシートでは、パソコンやタブレットでインターネットの動画中継を見ながらの観戦なども可能。新たな野球観戦スタイルも生まれそうだ。テーブル席が設けられたレフト側のシートでは、“鷹ガール”たちが球場女子会を楽しむ光景が見られるかもしれない。
孫オーナーといえば、ツイッターでユーザーからのさまざまな要望に対し「やりましょう」と返答し実行に移す、ユーザー目線の敏腕経営者として有名だ。今回のホームランテラス新設も、その恩恵を最も享受するのはファンなのではないだろうか。
(文:内野ムネハル、グラフィックデザイン:澤田洋佑)
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