進化する大谷翔平の直球にデータで検証 ベースボール・グラフィックレポート

開幕7連勝、大谷の進化するストレート

 2015年、「投手」大谷翔平(北海道日本ハム)の勢いが止まらない。5月終了時点で8試合に先発し、ここまで無傷の7連勝(リーグ1位)。防御率と奪三振数はいずれもリーグ2位。プロ3年目にして投手三冠も狙える位置につけている。

「投手」大谷の魅力と言えば、何といっても最速162キロの剛速球だが、実は平均球速も群を抜いている。

【画像提供:データスタジアム】

 昨シーズンのストレート平均球速152.6キロは、12球団の先発投手で断トツ。2位は藤浪晋太郎(阪神)の149.7キロ、3位はランディ・メッセンジャー(阪神)の147.0キロだった。今季も5月終了時点で、ストレート平均球速は152.7キロで、これは救援投手も含めた全体トップの数字となっている。

【画像提供:データスタジアム】

 大谷の球速は、プロ1年目の13年から、2年目の14年にかけて劇的にアップした。昨年6月4日の広島戦(札幌ドーム)で、プロ入り初の160キロをマークすると、その後、シーズン終了まで160キロ台を計20球マーク。10月5日の東北楽天戦(札幌ドーム)ではプロ野球最速タイとなる162キロを4球計測している。

【画像提供:データスタジアム】

 劇的な球速アップの背景には、ウエートトレーニングと食事管理による体重増があると思われる。大谷はプロ1年目の体重が86キロだったの対し、2年目の開幕時には93キロまでアップさせた。ちなみに自身の背番号「11」をかつて背負っていたダルビッシュ有(現レンジャーズ)も、すさまじい肉体改造によって、日本ハム時代の7年間で球速を大幅にアップさせている。

スピードが速く、かつ「バットに当たりにくい」

【画像提供:データスタジアム】

 1人、異次元のスピードを記録している大谷のストレートだが、一部では「速い割にはバットに当たる」といった声もあるようだ。たとえば昨年10月の楽天戦では162キロを4球マークしたが、4球ともバットに当てられている(1回表、榎本葵の3球目ファウル、4球目ヒット、同じく1回表、銀次の2球目で内野ゴロ。2回表、藤田一也の4球目ファウル)。実際のところはどうだろうか。

 上記のグラフィックは、平均球速と非コンタクト率(バットに当たらない確率)で、主要な先発投手をマッピングしたものだ。これを見ると、平均球速で群を抜いている大谷は、非コンタクト率もやはりトップクラスであることが分かる。「速い割にはバットに当たる」は、あくまでも印象に過ぎないといえよう。

 もっとも、大谷を上回る非コンタクト率をマークしている投手がいることも確かだ。20パーセント超えをマークしているのは、藤浪と前田健太(広島)の2人。さらには杉内俊哉(巨人)のように「球速は遅くてもバットに当たらない」投手もいる。ただ、基本的には「速いほどバットに当たらない」傾向はあり、大谷のストレートもやはり「バットに当たりにくい」結果となっている。

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