世界一のイチローファン―― イチメーターのエイミーさんが語る思い出
イチローが移籍してもイチメーターを準備するエイミー・フランツさん 【丹羽政善】
捕手の二塁送球をイメージし、本塁から二塁ベース付近に置かれたロビンソン・カノの等身大パネルに当てる――だけならまだ簡単だが、グローブの位置に丸い穴が開けられており、そこを通せば、カノのサイン入りユニホームがもらえるという難度の高い企画で、残念ながらエイミーさんの送球はいずれもパネルからそれた。
「もうちょっとだったのに!」
実際、1球はあと数十センチだった。
それからフィールド裏の通路を並んで歩き、エレベーターの前まで来ると、その日のテレビ解説を務めるジェイ・ビューナー氏(元マリナーズ)もまた、エレベーターが来るのを待っていた。
「ジェイ! 元気?」
「エイミー! 久しぶりだなあ」
もちろん2人は初対面ではない。エイミーさんの席はライトの最前列。かつて、目の前を守っていたのがビューナー氏。あとで触れるが、外野の最前列と選手の距離は意外に近い。かつては、挨拶し合う間柄だった。
ビューナー氏らと一緒にエレベーターに乗り、エイミーさんが先に降りる。そのあと、ビューナー氏が苦笑しながら教えてくれた。
「彼女はマリナーズの一番のファンだ。“ダイハード(熱狂的な)ファン”とは、まさに彼女のことだよ」
翌日、ライトのエイミーさんの席にお邪魔して話を聞いた。彼女は4つの年間指定席を持っている。隣の席が空いていたので座らせてもらうと、まず気づいたのが右翼手との距離だった。思ったより近い。
「そうよ。声を出せば選手に聞こえるわ(笑)」とエイミーさん。ビューナーと会話ができるわけである。
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