世界一のイチローファン―― イチメーターのエイミーさんが語る思い出

丹羽政善
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イチローが移籍してもイチメーターを準備するエイミー・フランツさん 【丹羽政善】

 先週、マリナーズ戦の試合前に行われたイベントに“イチメーター”でお馴染みのエイミー・フランツさんが参加した。

 捕手の二塁送球をイメージし、本塁から二塁ベース付近に置かれたロビンソン・カノの等身大パネルに当てる――だけならまだ簡単だが、グローブの位置に丸い穴が開けられており、そこを通せば、カノのサイン入りユニホームがもらえるという難度の高い企画で、残念ながらエイミーさんの送球はいずれもパネルからそれた。

「もうちょっとだったのに!」

 実際、1球はあと数十センチだった。

 それからフィールド裏の通路を並んで歩き、エレベーターの前まで来ると、その日のテレビ解説を務めるジェイ・ビューナー氏(元マリナーズ)もまた、エレベーターが来るのを待っていた。

「ジェイ! 元気?」

「エイミー! 久しぶりだなあ」

 もちろん2人は初対面ではない。エイミーさんの席はライトの最前列。かつて、目の前を守っていたのがビューナー氏。あとで触れるが、外野の最前列と選手の距離は意外に近い。かつては、挨拶し合う間柄だった。

 ビューナー氏らと一緒にエレベーターに乗り、エイミーさんが先に降りる。そのあと、ビューナー氏が苦笑しながら教えてくれた。

「彼女はマリナーズの一番のファンだ。“ダイハード(熱狂的な)ファン”とは、まさに彼女のことだよ」

 翌日、ライトのエイミーさんの席にお邪魔して話を聞いた。彼女は4つの年間指定席を持っている。隣の席が空いていたので座らせてもらうと、まず気づいたのが右翼手との距離だった。思ったより近い。
 
「そうよ。声を出せば選手に聞こえるわ(笑)」とエイミーさん。ビューナーと会話ができるわけである。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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