イチローの盗塁哲学とは? 通算500盗塁、成功率84.1%の理由

丹羽政善
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4月29日にMLB通算500盗塁を達成したイチロー 【Getty Images】

「僕は成功率が半分とかばかな盗塁は基本的にしない。かなり確率が高いタイミングでしか行かない」

 MLB通算500盗塁を決めた4月29日(現地時間)の夜、そんな話をイチローはしたそうだ。 

 物理的にいって、二塁への盗塁の場合、投手が投球動作に入ってから捕手のミットに到達する時間と、捕手が二塁へ投げてボールが到達する時間を足したタイムよりも、自分のスピードが勝るなら盗塁は成功する。時間にして約3.3秒の攻防。モーションの早い投手で、捕手に届くまでの時間は1.1〜1.2秒。マイナーリーグでは1.3秒を切るように教えられる。1.4秒を超えるようなら、イチローがスタートを切り、成功する確率が高くなる。

 投資の神様として知られるウォーレン・バフェットの名言の中に、「いったん交わした契約は反故にできないのだから、サインをする前に考慮すべきことはすべて考慮しておきなさい」(『史上最強の投資家バフェットの教訓――逆風の時でもお金を増やす125の知恵』)というものがあるが、走者もスタートを切れば、後戻りはできない。データを冷静に分析し、成功すると確信を得た上で、スタートを切る。

 それはイチローなりの盗塁哲学ともいえ、過去500盗塁以上を決めたのはイチローが38人目だが、81.4%という高い盗塁成功率は4番目(※盗塁死の記録が正確に残っていない選手は除く)に高く、この数字は紛れもなく彼の盗塁哲学を裏付けている。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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