田中将大、悪くないピッチングも… 期待される“真のエース”への成長
6回に被弾した田中は「余計だった」と悔やんだ 【Getty Images】
4月5日(現地時間)のヤンキース対アストロズ戦。日本人としては2003、04年のドジャースの野茂英雄以来となる2年連続開幕投手を務めたヤンキースの田中将大は、3回までパーフェクトという絶好のスタートを切った。4回にやや不運な形で1点を失った後も、持ち前の丁寧な投球を続けていた。
6回も2死の時点で、2対1とヤンキースがリード。あと数個のアウトを奪えば、勝ちパターンのブルペン勝負に持ち込める。21歳のMVP候補、コレアに右翼席に運ばれたのは、そんな場面でのことだった。
「ホームランは余計だった」と悔しさも
試合後、田中本人のコメントからも詰めを欠いた悔しさがにじんだ。そしてエース降板後にブルペンが崩れ、ヤンキースは開幕戦を3対5で落としてしまう。
昨年10月、一発勝負のワイルドカードゲームでアストロズに0対3で敗れたのに続き、同じ相手へのリベンジに失敗。結果的に、田中個人も相手の大黒柱ダラス・カイケル(この日は7回2失点で勝利投手)に再び投げ負けた形になった。
内容的にも完敗だった去年の10月とは違い、今回の勝負は紙一重だった。戦況が悪い方に傾くきっかけになったコレアへの甘いスプリッターを、田中はしばらく悔やむことになるのかもしれない。
もっとも、トータルで見れば、開幕戦での投球は決して悲観すべきものではなかった。この日のニューヨークの気温は試合開始時で1〜2度。ヤンキースタジアムでのレギュラーシーズンとしては、03年以来最悪の寒さという尋常でない気候だったことも考慮する必要がある。
「今日はこういう天候でしたし、神経も使う状況ではあった。思い通りに投げられなかったのは、そういう部分が少なからず影響あったと思います」
試合後には田中もそう語り、容易な登板でなかったことを認めていた。控えめな言い回しだったが、粘り強く繊細な投球が信条の日本人右腕への影響は計り知れなかったろう。そんな条件を考えれば、5回2/3を投げて4安打2失点という最終結果は十分に及第点といえる。