巨人ルーキー重信の隠された意外な話=50メートル5秒7の俊足の裏側には!?

清水岳志

大学通算39盗塁の俊足が武器

紅白戦初戦で3安打を放ち、高橋監督や松井臨時コーチからの評価を高めたドラ2ルーキー重信 【写真は共同】

 プロ野球のキャンプが中盤を迎えている。今年のルーキーの中では東北楽天のオコエ瑠偉、千葉ロッテの平沢大河の人気が高いようで、連日、メディアに取り上げられている。一方で早稲田大から巨人にドラフト2位指名された重信慎之介外野手の評価が実戦向きと上がってきている。チームの紅白戦にも全イニング出場(16日現在)。2試合で8打数5安打と好調だ。高橋由伸監督は「使いたくなる」とほおを緩ませ、松井秀喜臨時コーチからも「雰囲気があって目立っていた」と評された。

 重信は俊足を評価されてドラフト指名を受けた。武器は50メートル走5秒7というその俊足ぶりだ。東京六大学リーグでの通算盗塁は39個。現役六大学の選手の中ではトップだった。2番目が1年生からゲームに出ていてオリックスに3位指名され入団した立教大の大城滉二内野手の36個。重信は3、4年生の2年間で29個を記録している。

高校時代は盗塁のサインが…

 重信の強烈なストロングポイントだが、知られていないエピソードがある。
「自分の足の速さが武器なんだ、と気づいたのが大学に入ってからなんです。自分の足なのに、その価値を見いだせなかった(笑)。高校(早稲田実業)では盗塁したことがありませんでした。サインが出なかったですから」

 スマートで洗練された野球をする印象のある早稲田実業で、盗塁がゼロだったとは意外な話で、大学での2年間でその素質を開花させてプロ野球選手に上り詰めたわけだ。さらに、通っていたジムのコーチからは「フォームに特徴があって、磨けばまだまだ速くなる可能性がある」と言われたそうだ。

パンチ力ある右打席も魅力!?

 重信が注目されるようになったのは大学3年秋、4割4厘を打って打撃2位に入ってから。そのシーズンも面白い記録が残っていて、19本のヒット全てが単打だった。この頃から体型が似ていたことや、足を生かして安打を量産することを重ね合わせて、早稲田大の先輩、現米大リーグ・マリナーズの「青木宣親二世」と言われるようになった。

 早稲田大・高橋広監督は「シーズンオフ、青木が早稲田のグラウンドに自主トレに来ていました。それを見て憧れたり、参考にしていたでしょう。青木を目指せと言ってました」。そして、監督が言っていたもう一つのあまり知られていないこと。
「重信はスイッチヒッターなんですよ。右はパンチ力もある。もっとアピールすればいいのに。両方で打てるようになれば選手としての幅もできる」
 重心を低く、バットを短く持って、ガツンと当てるバッティングも特徴的だ。

 また、守りは高校時代は内野手だったが、大学では1年上に現千葉ロッテの中村奨吾二塁手がいたので外野に転向。肩も強く、ユーティリティーにこなす器用さがある。

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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