混迷必至のリオ五輪マラソン代表選考 今こそ「強くする」ための議論を

折山淑美
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選考基準は「絵に描いた餅」

男子マラソン国内選考レースが福岡国際からスタート。国内招待選手として川内優輝らが出場する 【写真:ロイター/アフロ】

 陸上競技もマラソンシーズンに突入し、来年のリオデジャネイロ五輪代表を争う戦いも再び開始された。だが、8月の世界選手権(中国・北京)に続く女子第2戦目のさいたま国際マラソン(11月15日)は有力選手が誰一人として出場せず、優勝したアツェデ・バイサ(エチオピア)に30キロ過ぎで簡単に突き離された日本勢は、吉田香織(ランナーズパルス)の2位も2時間28分43秒という平凡な記録にとどまった。さらに男子も12月6日の福岡国際マラソンは、出場する国内の有力招待選手は川内優輝(埼玉県庁)だけと、何とも盛り上がらない状況なのだ。

 7月2日に日本陸上競技連盟(以下、日本陸連)が発表した選考基準は、まず男女とも世界選手権8位以内入賞者で、日本人選手最上位の1名のみ。それ以外の3つの選考レースにおいて日本人3位以内の選手の中から、(1)2014年4月1日から16年3月13日までの間に日本陸連設定記録(男子2時間6分30秒、女子2時間22分30秒)を突破した者、(2)各レースの記録や順位、レース展開、タイム差、気象条件を総合的に勘案し、本大会で活躍が期待されると評価された選手から選考するが、その優先順位は(1)、(2)の順になるというもの。

 尾縣貢専務理事は違ったタイプの選手が選ばれることを望んでいる、と説明した。世界で実績を残した選手と、世界に近いスピードを持っている選手、そして安定感があり調整力の優れた選手をイメージしていると。また世界選手権で複数選手の入賞があった場合、例えメダル獲得でも2番目の選手には優位性がなく、2レース出場した場合は調整力のある選手を選考するため、1レース目のみを重視する。例外は日本陸連の設定記録を上回ったスピード型の選手のみと説明していた。
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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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