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ベースボール・タイムズ

1軍レギュラーに近いのは「鷹のイチロー」

要注目は「鷹のイチロー」こと上林 【写真は共同】

 そんな中、チームは20日まで宮崎で秋季キャンプを実施した。そして懸命に汗を流す若鷹たちの中で、最も1軍に近いと思われるのが来季プロ3年目を迎える上林誠知である。

 仙台育英高から13年のドラフト4位で入団した上林は、以前からイチロー(現マーリンズ)に憧れ、入団時にもらった背番号も「51」。ルーキーイヤーは内野手に転向して2軍で主に三塁手として出場したが、今季は本来の外野手として登録され、5月21日のオリックス戦で代打として1軍デビューを飾った。

 その後、8月25日の千葉ロッテ戦の第1打席にプロ初安打を記録すると、満塁で迎えた第3打席にはイ・デウンからプロ初アーチとなる逆転満塁弾を放ち、一躍注目を集める存在となった。さらに9月30日の東北楽天戦でも、打った瞬間にそれとわかる2号本塁打を放つなど、1軍15試合出場ながら打率3割1分8厘、2本塁打、6打点を記録。また、ウエスタン・リーグでは首位打者(3割3分4厘)、最多安打(103安打)、盗塁王(16盗塁)の3冠に輝くなど、次世代のスター選手として大きく羽ばたこうとしている。

 その上林に対して秋季キャンプでも熱心な指導を繰り返した藤井康雄打撃コーチも51番の背中を強く押す。
「大きいのを打てる1番打者として期待できる。李大浩がいなくなれば、ポジションは空くわけだから、彼にとっては大きなチャンスだね」

タイプの異なる上林こそV3へのカギ

 上林本人も、自身に大きなチャンスが訪れようとしていることを自覚している。
「もしも一塁やDHが空けば外野のポジションが空く可能性もありますからね」と来季へ向けて目を輝かせている。

「今は来季を見据えて、体重を増やすこととバッティングのレベルアップを課題にして取り組んでいます。今年はホームランで注目されましたが、目標はシーズン200安打。そしてたくさん盗塁を決めたいです」

 秋季キャンプ終了後には、台湾で行われるウインターリーグ(11月25日〜12月21日)に合同チームのメンバーとして参加する。憧れのイチローもウインターリーグへの参加をきっかけに大きく飛躍しただけに、鷹の「51」も野球漬けの1年を台湾で締めくくり、来季のブレークを目指している。

「秋季キャンプで取り組んできたことを、すぐに(ウインターリーグの)実戦で試せるのは大きいと思います。そこから春のキャンプでの課題も見えてくると思うので」

 和田毅の5年ぶりの復帰、攝津正やサファテの残留など、投手陣の整備が順調なだけに、打線の再整備はV3に向けて不可欠な要素となる。松田や李大浩が抜けた穴を埋めるには、上林は大きくタイプが異なる。しかし、「鷹のイチロー」を新1番として固定できれば、打線のつながりは確実にアップする。

 15年シーズンとはひと味違う鷹打線を来季は構築すべし。そのカギを握るのは、20歳の若鷹・上林誠知の成長だ。

(文・藤浦一都/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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