野杁が山崎を下しK−1王座挑戦をアピール 佐藤嘉洋が地元・名古屋で引退セレモニー=Krush

中村拓己

毎年恒例Krush名古屋大会で実現した野杁vs.山崎の注目の初対決は地元・野杁が延長判定勝利 【(C)Good Loser】

 22日 愛知・名古屋国際会議場イベントホールで「Krush.57 〜in NAGOYA〜」が開催された。
 2012年から毎年夏に行われてきたKrush名古屋大会。4年目となった今年も、会場は1850人満員(主催者発表)となり、「TOKYO×NAGOYA・5対5マッチ」として東京と名古屋のトップファイターたちが対抗戦という形で激突した。

注目の初対決は野杁がハイレベルな攻防を制す

日本人トップファイターのハイレベルな攻防に会場からはどよめき 【(C)Good Loser】

 豪華カードがずらりと並ぶ中、最も注目を集めたのが山崎秀晃vs.野杁正明の−65kgスーパーファイトだ。伝統派空手仕込みのハードパンチでKO勝利の山を築く“GOLEDEN FIST”(黄金の拳)こと山崎と、高校生の頃から“怪物”と呼ばれ世界の強豪を次々と撃破してきた野杁。日本が世界に誇るファイター同士による初対決は、スーパーファイトの名に相応しいまさに夢のカードだ。

 異様な緊張感が漂う中、開始のゴングが鳴ると、先に仕掛けたのは山崎だった。いきなり得意の右ストレートで飛び込むと、そのまま左右のフックを叩きつける。しかし野杁も冷静に山崎のパンチをブロックしてすぐさま右ハイキックを蹴り返して反撃。開始直後に訪れたハイレベルな攻防に会場からはどよめきが起こった。

 その後、両者は一進一退の攻防を繰り広げる。ガードを上げてプレッシャーをかける野杁が左ミドルや右ローを飛ばせば、山崎は距離を取りながら鋭い飛び込みでパンチをまとめる。本戦3Rでは決着がつかず、延長Rに突入すると、ここでも山崎はパンチ、野杁は蹴りで真っ向勝負。最後まで緊張感のある攻防が続いたが、ジャッジは野杁の蹴りを評価し、延長判定3−0で野杁が山崎とのハイレベルな技術戦を制した。

木村をバッサリ「ゲーオへの挑戦者は僕しかいない」

野杁は「ゲーオへの挑戦者は僕しかいない」とK−1王座挑戦をアピール 【(C)Good Loser】

 試合後、野杁は「ゲーオへの挑戦者は僕しかいない」と11月のK−1代々木大会で初防衛戦が決まっているK−1−65kg王者ゲーオ・フェアテックスへの挑戦をアピール。バックステージでも「今日の試合はKrushで、K−1とは違う舞台だけど、山崎選手に勝っていいアピールにはなったと思う」と改めてゲーオ戦を熱望した。

 さらに野杁は9.22K−1後楽園大会で試合を控える木村“フィリップ”ミノルについても言及。現時点で挑戦者の第一候補に目されている木村を「ベルトも巻いたことがないのに何でしゃばってんだよって感じです」とバッサリ切り捨て「僕は次の相手はゲーオ選手だと思っているし、もしそれまでに誰かと試合をするなら、そいつを排除するだけです」と改めてゲーオの挑戦者は自分しかいないと強調した。

65kg王者NOMANは辛くもドロー防衛

65kg王者NOMANは地元・名古屋の泰斗に大苦戦のドロー防衛 【(C)Good Loser】

 メインイベントでは第3代−65kg王者NOMANが地元・名古屋の泰斗を挑戦者に迎え、初防衛戦を行った。過去のKrush名古屋大会では3戦3勝(2KO)と無類の強さを発揮する泰斗にNOMANは大苦戦。1Rに飛びヒザ蹴りをヒットさせる場面があったものの、後半は応援団の大声援を受ける泰斗の右ストレートを被弾する場面も。最終的に延長判定1−1のドローで、NOMANが辛くも王座を死守したが「最低限の防衛という結果だけで、内容は批判しかない。必死に練習して頑張るだけです」と悔しさをにじませた。

 Krush新階級−53kgで再出発を図る瀧谷渉太は良輝から合計3度のダウンを奪って快勝。TOKYO×NAGOYA・5対5マッチは名古屋勢が3勝1敗1分で勝ち越し、4年連続で対抗戦に勝利する結果となった。

佐藤が引退のあいさつ「人との出会いがすべて」

地元・名古屋で引退セレモニーを行った佐藤嘉洋 【(C)Good Loser】

 第5試合終了後、K−1 MAXで魔裟斗と共に一時代を築いた佐藤嘉洋の引退記念セレモニーが行われた。佐藤は「愛を知る県、愛知県の佐藤嘉洋です」とお馴染みのフレーズであいさつを始め「僕のキックボクシング人生を振り返ると、人との出会いがすべてだったと思います」と両親、名古屋JKファクトリーの小森次郎氏らに感謝の言葉を述べる。

 現役中に自著を発売したことでも知られる佐藤は「プロとしてこのリングに立つことは今日が最後になりますけど、今後も何かしら自分の想いや考えを発信していく場はあると思いますので、どんどん発信していこうと思います」と文才を活かし、格闘技界に貢献したいとファンに告げた。
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著者プロフィール

福岡県久留米市出身。プロレスファンから格闘技ファンを経て2003年に格闘技WEBマガジンの編集部入りし、2012年からフリーライターに。スポーツナビではその年の青木真也vs.エディ・アルバレスから執筆。格闘技を中心に活動し、専門誌の執筆、技術本の制作、テレビ解説も務める。

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