実り多きドイツでの日々で得たもの 細貝萌が語る成長と葛藤の1年<後編>

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細貝にとって日本代表とはどんな位置付けなのか。そして欧州組の関係や来季への意気込みを語ってもらった 【スポーツナビ】

 細貝萌にとって、昨シーズンは日本代表でも苦戦を強いられたシーズンだった。アルベルト・ザッケローニ監督時代には多くの試合に招集されたものの、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会のメンバーから落選。ハビエル・アギーレ監督の時代にも、就任当初から起用されながら、アジアカップの選考メンバーから漏れている。

 それでも、「所属しているチームでしっかりと結果を残すことで代表につながる」と語る彼は、まずは所属するヘルタ・ベルリンで結果を残すことを第一に考えている。毎シーズン成長を実感するという細貝にとって日本代表とはどんな位置づけなのか。さらには共に欧州で戦う日本人選手たちとの関係や、来季への意気込みを語ってもらった。

まずはチームで結果を出したい

日本代表でプレーしたいという気持ちはあるものの、まずはチームで結果を出したいと語る 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――2014−15シーズンが始まる前にはW杯メンバーの落選という大きな出来事がありました。今季に影響した部分もあるのでしょうか?

 チームで充実していたので、その時はあまり。ただ、たくさんの方が応援してくれていたし、代表でプレーしているところを見たいと言ってくれていました。それを考えると申し訳ないなと思ったし、その人たちにプレーで恩返しできなかったことは悔しかったです。別にそれが原因ということはないですけれど、その後から明らかに流れが変わって、うまくいかない流れが来ているのは事実ですね。

――代表に招集された際に、クラブとの違いを感じることはあるのでしょうか。

 ザッケローニ監督のときは難しさを感じることもありました。チームでコンスタントに出場していて調子も良く、ドイツ国内でも評価してもらっていました。でも代表に行って自分の思うようにプレーすると、監督によく「そうではない」と言われていました。チームで「ナイスだ」と言われていたことを「ダメだ」と言われることが頻繁にあったので、思うようにできなかったというのが本音ですね。その違いにはすごく戸惑いました。

――アギーレ前監督時代には代表復帰を果たしました。アギーレ監督の印象はどうでしたか?

 最初はやりたいポジション(アンカー)ではなくて難しかったですけれど、(インサイドハーフで)使ってくれましたし、イメージは良かったです。その後、呼ばれなかったのもそれほど気にはしていません。

 いつも言うのですが、所属しているチームでしっかりと結果を残すことで代表につながるわけで、代表が先に来るわけではないと思います。今回みたいにチームで結果を出していなければ代表に呼ばれないのは当然ですからなんとも思わないし、まずはチームでしっかりと結果を残したいと思っています。チームで良いプレーを続けていれば、結果として代表に呼んでもらえると思いますし、呼んでもらえれば当然うれしいです。代表でプレーしたい気持ちも強いですけれど、まずはチームで結果を出したいという気持ちが強いですね。代表の試合はそれ以降あまり見ていないので分からないです。

――先日のイラク戦(4−0)ではチームメートの原口元気選手がゴールを決めましたが、それも見ていない?

 右足で決めたっていうのは聞きましたけれど、ゴールは見てないですね。でも(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督については、代表の選手たちと連絡を取り合っているので話は聞いています。

――試合を見ていなければ招集されたときにどんなサッカーをするのか分からないですよね? 選ばれたときに見ることはあるのでしょうか?

 代表メンバーとは電話で普段から話していますから、見るよりも聞きますね。でもザッケローニさんもアギーレさんも、こんな戦術をやるとかニュースで出ていた気がするんです。ハリルホジッチ監督はほとんど聞かないから、どんなサッカーをするのかは気になりました。

 元気もそんなことを言っていましたね。代表招集が決まって「どんなサッカーをするのか知っています?」みたいな感じです。「じゃあ調べたら?」って言って調べても体脂肪の話とか、厳しいとかしか出てこないので戦術が分からない(笑)。結局は実際に呼ばれないと分からないので、そういうイメージはないです。

欧州で戦う日本人選手たちとの関係

欧州組では同世代の本田(右)らとよく連絡する。プライベートの話ではなく、所属チームの選手や監督について話すことが多い 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

――欧州には日本人がたくさんいますが、相談したりはしますか?

 やっぱり同世代の選手とは電話でよく話します。(本田)圭佑や(長友)佑都、岡ちゃん(岡崎慎司)、香川真司や(吉田)麻也もそうですね。彼らが頑張っているのを見てすごく良い刺激をもらっています。

――海外で集まることもあるのでしょうか?

 ベルリンは皆が住んでいるエリアから少し離れているので、シーズン中はありませんね。オフに内田(篤人)選手とは日本で会いました。

――具体的にどんな話をするんですか?

 お互いにチームのことばかりです。みんなヨーロッパに行って何年も経っていますから、プライベートで苦戦しているとかはないです。同じチームの選手や監督との状況について話すことが多いです。監督はこう思っているけれど、俺はこう思っているみたいなのを話す感じです。僕も相談するし、たくさん話はしますね。

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