実り多きドイツでの日々で得たもの 細貝萌が語る成長と葛藤の1年<後編>

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今までのシーズンで一番得るものがあった

厳しいシーズンだったものの、細貝は今まで一番得るものがあったと話す 【Bongarts/Getty Images】

――ブンデスリーガでプレーする上での難しさとは何ですか?

 難しさを感じる場面はJリーグと違うのですごく多いですけれど、勝ち負けにはよりこだわるようになりました。僕はドイツしか知らないですけれど、試合は当然として練習でも勝ち負けにこだわるというのはドイツと日本の違いだと思います。練習でけんかみたいなのも頻繁に起こるし。日本では選手につかみかかるなんてことはないですけれど、向こうに行ったらそれがある。当然それに対して周りは良い気分ではないから、練習をやってられないってことから途中で中断になることもあります。それぐらい気持ちを入れて練習をやっているのはありますね。

――それはブンデスリーガの楽しさでもあるのですか?

 楽しいですね。今でもそうですけれど、練習でもまあ削られるんです。今でも元気は僕が削られることに驚いています(笑)。タイプとかもあって、いつも同じ奴にやられたりするから「あんなに削られてやばいですね」って言っていました。僕の中ではこっちに来てからはそれが普通なので、こういう環境でやれているのは楽しいことですね。それだけ熱い環境の中でやれているのは大きいと思います。

――細貝選手も激しくやるのでしょうか?

 どちらかと言うとそんなにやる方ではないです。ヘルタの中でも1〜2番にはやられるので、スイッチが入ればそうなるときもあります。その中でけがをしないということは自分の能力の一つだと思っています。

――ドイツは1対1の文化が重要視されています。そこで自分の強みは生かされていると思いますか?

 そこが評価対象の一つになるので、そこで評価されるのはすごくうれしいです。僕自身はJリーグのスタイルよりも、ブンデスリーガのスタイルが合っていると思いますね。

――細貝選手はドイツに移籍して何年目が一番成長した時期だと思いますか?

 毎年そうですね。今シーズンもすごく厳しかったですけれど、今までのシーズンの中で一番得るものがあったと思っています。数字は良くなかったですけれど、人として一番苦労したことで良いシーズンだったと今は思います。昨シーズンもヘルタでコンスタントに出てベストなシーズンだと思ったし、その前も強豪のレバークーゼンで良い選手に囲まれて一番良いシーズンだと思っていましたから。

――毎シーズン良かったと思えるのは以前からですか?

 今までもずっとそうですね。その当時は大変でしたけれど、それを乗り越えたら、いつも以上に自分にとって良かったなと。今シーズンも人としては間違いなく強くなったと思うし、成長できたと思いますね。

本能のままにやったらポジションはつかめる

来季も激しい競争が待っているが、細貝はポジション奪取に自信をのぞかせた 【スポーツナビ】

――来季に向けて移籍を考えたことはありましたか?

 僕はヘルタの選手として2年の契約が残っていますから、簡単に「どこかに行きたいから行く」というわけにもいきません。サッカー人生の後の人生もまた長いですから、充実した選択をしなければいけないと思っています。

――細貝選手が今一番やりたいポジションはどこですか?

 アンカーがやりたいです。ダブルボランチでもいいのですが、守備的な役割をやりたいです。僕が思うのはボールを待って奪うのではなくて、自分たちから取りに行くこと。守備をしているんだけれど、守備側から仕掛けるような守備がしたいと思っています。それは当然一人ではできません。でも待っているよりも、守備だけど攻撃的な守備、自分から仕掛ける守備を意識しています。

――それは昨シーズできていたプレーなのでしょうか?

 昨シーズンはチームとしてそれで行こうって話になっていました。前からプレスをかけて取りに行くことも多かったですし、役割がはっきりしていました。

――来季ポジションを取り返すためにはどんなプレーが必要だと思いますか?

 もっと勢い良くやらなければいけないと思いました。周りがどうこうというよりも自分のことに集中して、しっかりトレーニングしていきたいと思っています。

 守備力や気が利くところをアピールしていかなければいけないと思うし、自分の本能のままにもっとやっていったら、ポジションはつかめると思います。ずっと出ていたボランチの選手にも負けているとは思っていません。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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