王者・山中「王者と挑戦者の差を見せる」=デビュー戦の辰吉Jr「必ずKOで勝つ」

松倉雄太

8度目の防衛戦に臨むWBC世界バンタム級王者・山中(中央)と辰吉丈一郎の次男でプロデビュー戦となる寿以輝(右)、セミファイナルに出場する中澤で3ショット 【松倉雄太】

 王者・山中慎介(帝拳)と挑戦者ディエゴ・サンティリャン(アルゼンチン)によるWBC世界バンタム級タイトルマッチ(4月16日・大阪府立体育館)の調印式が14日、大阪市内のホテルで行われた。また、前世界王者・辰吉丈一郎の次男でプロデビュー戦となる寿以輝(大阪帝拳)も会見に出席した。

 8度目の防衛戦を迎える山中は、「今回もいいコンディションを作れた。チャンピオンと挑戦者の差を見せるだけ」と自信満々。1年ぶりの大阪の試合で「テンションマックスで戦える。最高のパフォーマンスを見せます」と地元・関西の試合でKO劇を誓った。

 アンダーカードにかつて憧れだった辰吉丈一郎の次男・寿以輝が出場するということで、「辰吉さんが持っていたWBCのベルトを今自分が持っている。その前座で、息子が出ると言うのは縁なので、しっかり勝ってもらって、スッと帰らずに見てもらいたい」と語った

 アマチュア実績がなく、デビュー戦で異例の記者会見となった寿以輝は緊張気味だったものの、山中のコメントを受けて「めちゃくちゃうれしい。必ずKOで勝って後ろにつなぎたい」と闘志を燃やした。セミファイナルではスーパーバンタム級8回戦でアレキサンダー・カサレスと戦う5戦5勝(4KO)の中澤奨(大阪帝拳)が「いい形で勝ってメインにつなげたい」と意気込んだ。

神の左はマラドーナだけ!?

山中の武器である“神の左”を「神の左はマラドーナだけ」とうそぶく挑戦者サンティリャン 【松倉雄太】

以下は会見のコメント。

――ここまでの調整具合は?

山中 今回も本当にいいコンディションを作れましたので、試合が楽しみです。自信満々です。後は試合まで気を抜かず、大阪府立体育会館では最高のパフォーマンスを見せて、必ず自分が勝ちますので、見ていて下さい。

 ベルトを守るのはもちろんですが、目標へ向けての挑戦という意味合いが大きいです。もっともっと、注目されるような試合をしたい。とりあえずは、この試合に集中するだけです。

――挑戦者のサンティリャン選手、ベルトを見た感想は?

サンティリャン ベルトを前にしてとてもうれしい気持ちです。私はこのベルトを目にしてさらにモチベーションが上がりました。16日の試合で勝って、ベルトをアルゼンチンに持って帰りたいと思います。

――チャンピオンの山中選手は、『神の左』と言われるパンチを持っています。そのことについてどう思いますか?

サンティリャン 私が知る限り、『神の左』を持つ人はアルゼンチンのマラドーナだけです。アルゼンチン人が『神の左』を持つものです。まして彼はサウスポーです。

――中澤選手とカサレス選手、意気込みをお願いします。

中澤 今回はすごい調子がいいので、すっきり勝って、会場をしっかり盛り上げて、いい形で勝ってメインにつなげたいと思います。

カサレス 日本で試合するのは初めて。最高のパフォーマンスを見せたい。最高の練習を積んできたので、あさっては勝つだけです。

――デビュー戦を前に調印式に出席というのは異例ですが、この雰囲気はどうですか?

辰吉 緊張しています。

――明後日の試合へ向けて現在のコンディションは?

辰吉 いい感じです。

――大勢の方が注目される一戦になると思いますが、意気込みをお願いします。

辰吉 絶対に勝って、いい形で(後に)つなげたいと思います。

山中「辰吉丈一郎さんは憧れ」

プロデビュー戦となる辰吉寿以輝は「必ずKOで勝つ」と意気込んだ 【松倉雄太】

以下は質疑応答

――山中選手とサンティリャン選手、今回の試合のキーポイントはどこにあると思いますか?

山中 今回に限らず、自分のスタイルを貫くことです。後は自分には足がありますし、パンチもソコソコあるので、自分のボクシングができれば、問題なく勝ちます。

サンティリャン 私は闘志、戦う強い心を持っています。誰にも負けたくないという心を持っています。その日はマキシマムに自分の持ち味を見せて必ず勝利したいと思います。

――今回、辰吉選手のデビュー戦ですけど、お父様は憧れの選手だったと思いますが、あらためてどういう存在だったかということと、今回息子さんがデビューすることについてどう思いますか?

山中 辰吉丈一郎さんは本当に憧れの存在でしたし、その辰吉さんが持っていたWBCのベルトを今自分が持っている。その前座で、息子が出ると言うのは縁なので、しっかり勝ってもらって、スッと帰らずに見てもらいたいです。

――そのコメントを受けて、辰吉選手はどう思いますか?

辰吉 めちゃくちゃうれしい。必ずKOで勝ちたい。

――お互いの映像を見た印象と対応策は?

山中 一発、一発のパンチは威力があると思います。後は上体がやわらかいので、とりあえずは体に当てることを考えています。

サンティリャン ビデオで学習したことがそのままリングの上で通じるとは思っていません。リングには、さまざまなサプライズが待っている。私のパンチもサプライズで成り立ってます。その日、必ずサプライズのパンチで勝利したいと思います。

――山中選手への質問です。1年ぶりに地元関西での試合。それとKOに対するこだわりは?

山中 今回も地元関西でやらせていただくのは本当にありがたい。地元を中心に多くの応援団が来てくれるので、心強い。テンションマックスで戦える。KOに対するこだわりも常に持っています。チャンピオンと挑戦者の差を見せるだけです。
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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