運命共同体となりつつあるバスケ界に期待 “bjリーグの声”に対する世間の反応
注目が集まったbjリーグの反応
04年11月に独立プロリーグの立ち上げを発表し、05年11月からリーグ戦を開始したbjリーグ 【写真:アフロスポーツ】
今年2月27日、川淵三郎チェアマンはbjリーグの首脳ら4名と意見交換を行った。そのとき川淵氏が口にしたのは「あなた方が“うん”と言ってくれればすべてうまくいくんだから」という言葉だ。
2大リーグ統合の動きは2010年から断続的に行われてきた。「実は4年前にわれわれは統一するということで調印をしている」(中野秀光・bjリーグ社長)という経緯もある。しかしそこから先に進まなかった。bjリーグの中野社長は当時の経緯をこう説明する。「NBL(日本バスケットボールリーグ)の企画書を提出していただいたときに『難しいな』と思った。オーナーのいないチームが(NBLのプランでは)現状ではもたない。そういった球団がつぶれてしまうような懸念があるリーグ構想だった」(中野社長)。
もちろん彼らには22チーム(2014−15シーズン時点)を預かる責任があり、大切な理念もある。とはいえbjリーグが当時の新リーグ構想に同意しなかったこと、協会から見てコントロールできない存在だったことが、混乱の大きな要因だったことも間違いない。
一方で今起こっているのは国際バスケットボール連盟(FIBA)、文部科学省や日本オリンピック委員会(JOC)も巻き込んだ、より大きなうねりだ。それを座視していたら、bjリーグの存続はもちろん、日本バスケの未来が大きく脅かされることになる。
中野社長の意見に多くの人が好感
中野社長の意見に対してスポーツナビが行ったアンケートでは、多くのファンが「日本バスケの未来に期待がわいた」と答えた 【スポーツナビ】
日本バスケの未来に向けた中野社長の言葉に対して、今回スポーツナビが行ったアンケートでは50%以上のファンが「期待がわいた」という感想を寄せている。多くの回答をいただいたのですべてを紹介することはできないが、「ビジョンを感じた」「bj側は否定的な考えが定着していると思っていたので、社長が前向きで良かった」といったコメントが寄せられた。
一方で20%を超す方々が「不安になった」という感想も寄せている。もちろんすべての人がbjリーグのこれまでと、今後の“発展的解消”について納得しているわけではない。そして不安にもさまざまな形がある。例えば今の争点となっている地方球団の扱いについては「これまでbjがやってきた地域密着を重視して欲しい」「地域おこしに軸足が行き過ぎている」という裏表両面の意見があった。
加えてタスクフォース案とbjリーグの理念が完全に一致しているというわけではない。「『小さな会場でも街の人が待っているところに巡業方式で回ってください』という指導をしている」(中野社長)bjリーグに対して、川淵チェアマンが強調するのは十分な収容人員を持つ“ホームアリーナ”の重要性だ。
世界のプロスポーツを見れば、巡業方式で試合を行うチームは皆無に近い。川淵チェアマンは「ビジネスシートを売りやすくなり、ホームアリーナであるがゆえに醸し出せる雰囲気があって、初めてホームと言える」と説明する。一方でbjリーグ、NBLで集客的に成功しているチームは、巡業方式を取っているケースが多い。つまり“ホームを固定するメリット”を、日本のバスケットボールファミリーはまだ誰も実感していない。例えるなら移動販売、屋台を続けてきた飲食店の経営者が、「常設の店舗にすれば売り上げは必ず上がる」と説得されて、でも納得できていない。そんな状況だ。