川淵「サッカー界と協力して盛り上げる」 一般社団法人JPBL設立記念セレモニー
「一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグ」の独立記念セレモニーでは、24チームの代表者が加入申請を行った 【スポーツナビ】
日本バスケットボール協会(JBA)の改革を行う「JAPAN 2024 TASKFORCE(タスクフォース)」の川淵三郎チェアマンは「決意をしてくださったことを心からうれしく思います」と話し、新法人の設立を喜んだ。また「特に申し上げたいことがある」と前置きしたうえで「より良い競技団体を作るためにサッカー協会が支援してくれている」とコメント。「日本のさまざまなスポーツ競技団体が手を取り合い、助け合いながら日本のスポーツ界を盛り上げていくような動きが今後増えてほしい」と強調した。
本日、新リーグへの入会申し込みを済ませたチームは以下の通り。
【新リーグ入会申し込みチーム】(4月3日現在)
<NBL>
レバンガ北海道
つくばロボッツ
リンク栃木ブレックス
千葉ジェッツ
和歌山トライアンズ
兵庫ストークス
広島ドラゴンフライズ
<bjリーグ>
青森ワッツ
岩手ビッグブルズ
秋田ノーザンハピネッツ
富山グラウジーズ
金沢武士団
信州ブレイブウォリアーズ
埼玉ブロンコス
浜松・東三河フェニックス
滋賀レイクスターズ
大阪エヴェッサ
バンビシャス奈良
島根スサノオマジック
ライジング福岡
琉球ゴールデンキングス
<NBDL>
東京エクセレンス
アースフレンズ東京Z
東京八王子トレインズ
一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグ設立記念セレモニーの内容は以下の通り。
川淵「この10年はそれなりに価値があった」
セレモニー冒頭で新法人の設立を喜びつつも、いろいろなスポーツ競技団体が助け合う活動が増えることを願った川淵チェアマン 【スポーツナビ】
[JAPAN 2024 TASKFORCE]
川淵三郎(チェアマン/公益財団法人 日本サッカー協会 キャプテン・名誉顧問)
川淵 お忙しい中、たくさんお集まりいただきありがとうございます。タスクフォースには多くのマスコミの皆さんにお集まりいただきますが、途中からはあまり来たかいがない、中身が変化していないと不満に思っておられる方も多かったと思います。今日は4月1日に『一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグ』の設立を皆さんにご報告申し上げます。皆さんに発表できようになったことについて、うれしく思っています。
10年来と言いますか、6年前から2つのリーグが一つになるようにと国際バスケットボール連盟(FIBA)から強く言われていたにも関わらず、それぞれの立場が違ったことでなかなか実現しませんでした。FIBAからの国際試合の出場停止という措置を受けて、選手のためにも、日本バスケ界の発展のためにもリーグが一つにならなければならないという強い覚悟を持って、一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグができたことをうれしく思っています。
bjリーグは10年前にスタートして、いろいろないきさつがありましたが、10年のプロ生活の中でエンターテインメントのすばらしさ、地域に根差すチームのあり方、そして若手のチーム経営者がたくさん出てきたということは、それなりに価値があったことだと思います。企業を中心としたリーグは強力な選手が多く存在して、日本代表選手も輩出してきたわけですけれど、強いが人気がないチーム、かたや弱いが人気があるチームが、6年間なかなか一緒になれなかった。今回は、各チームの代表の皆さんが割り切って、なんとか一つになって日本のバスケットボールの発展に尽くそうという決意をしてくださったことを心からうれしく思います。
(リーグの)条件設定については、5千人収容のアリーナ(を用意してほしい)と初めに言ったらそっぽを向かれました。「そんなことできるわけがない」と。しかし、盛岡の試合を見に行ったときに、今日盛岡の市長に来ていただいていますけれど、「このアリーナを5千人のアリーナにするよ」とおっしゃっていただいて、僕は本当に勇気をもらいました。その言葉を聞いて、「これはいけるぞ」と思ったぐらいです。今日、1番初めに盛岡の市長が来ていただいたことも、本当にありがたいことだと思っています。行政サイドとの連携、行政が「ホームチームとして認めるよ」ということを言っていただかないと、税制面の優遇、アリーナの優先使用も含めてうまくいかない。また、bjリーグ発端のきっかけであった協会(JBA)とのあつれきから各都道府県協会との関係がぎくしゃくしていたこともありました。そういったことも、これをきっかけにお互いバスケットボール界の発展に尽くしていこうということで、今日20を超すチームにお申し込みをしていただきます。
バスケットボールは世界でもサッカーに次ぐ人気のあるスポーツです。日本でも選手の登録人数は野球、サッカーに次いで3番目です。3番目のバスケットボールリーグがマスコミの皆さんにほとんど取り上げられないという体たらくではどうするんだということを協会の評議員会や理事会で申し上げました。この新しい一般社団法人ジャパンプロフェッショナルバスケットボールリーグができたことで、これをきっかけに来年の10月に向けて大きく変わっていきたいと思います。現状では役員だけの、形だけの一般社団法人ですけれども、7月いっぱいにはチームの参加が全部決まりますし、方向性も決まります。そして、組織は今年の8月くらいに理事、委員会、その他いろいろな形がしっかりした組織になって、来年10月に向けて積極的に活動していけると思います。今までほとんど(マスコミに)書いていただけなかったバスケットボールを、ぜひいろいろ話題を提供したいと思いますので。秋田県知事の話題もありますし……(笑)(編注:秋田県の佐竹敬久知事は、自治体予算による5千人規模のアリーナ建設について「はりつけになっても反対」などと批判した経緯がある)。この辺もうちょっと笑ってもらわないと(会場笑)。前を向いて積極的に進んでいきたいと思います。
そして特に申し上げたいことがあるんです。僕はサッカー出身ですよね。今bjリーグの若手の経営者たちが、Jリーグや日本サッカー協会の関係者にいろいろな話を聞きながら、より良いリーグを作っていこうということで研さんに励んでくれています。サッカー協会は会長、(Jリーグは)村井(満)チェアマンを含めて、全面的にバスケットボール協会の発展に尽力しようとしてくれているんです。こんなことは今までの日本スポーツ界になかった。スポーツ界は縦社会で、横串はまったく刺されていない。お互い困ったときに知恵を出し合って、より良い競技団体を作るために協力すべきだ、という一番の模範をサッカー協会が示してくれているんです。僕の今の「サッカー協会最高顧問」(という役職)なんて名前だけですから、それでありながら全面的にバスケットボール協会を支援しようとやってくれているし、してくれています。そのようなことがいろいろなスポーツ競技団体に広がっていくことを僕は心から願っています。困ったときのサッカー頼みではないですけれど、お互いにこれから協力し合って、日本のスポーツ界全体が盛り上がっていくような動きがこれをきっかけに進んでいけばいいなと願って、社団法人結成のごあいさつとさせていただきます。