広島の命運を握る4つの鍵 緒方監督が描く24年ぶりVのシナリオ

週刊ベースボールONLINE

(3)6人の助っ人をどう使う?

来日初登板で1安打完封勝利をマークしたジョンソン。今後もローテの柱として期待される 【写真=小山真司】

 今季外国人6人が在籍する広島は、投手3人、野手1人でスタートした。4枠の争いはロサリオの虫垂炎とエルドレッドの右膝半月板損傷というアクシデントで決着した。すでに2軍でロサリオが復帰し、1軍昇格への準備を進めているが、手薄な中継ぎ事情やジョンソンの出来を考えると、簡単に投手2人、野手2人にするのも難しい。状況によっては、投手3人を固定し、グスマンとの入れ替えも考えられる。

 外国人選手は“助っ人”であるため、チームのウイークポイントを補う意味合いが強い。ただ、彼らの出来は、チーム力を大きく左右する。昨季はバリントン(現・オリックス)が先発の一角を担い、ミコライオ(現・東北楽天)はクローザー。さらにロサリオとエルドレッドはいずれも打線の中軸を任され、エルドレッドは本塁打王を獲得した。

 力をつけてきたとはいえ、まだ若いチーム。助っ人の働きは欠かせない。過去の広島の優勝を振り返っても、ホプキンス(1975、76年在籍)やライトル(77〜82年在籍)など外国人の活躍があった。戦力を見極めながら、スタメンを含めた25人のベンチワークをどのようにするのか。6人いる外国人選手を今後どのようにコントロールするのか。緒方監督の手綱さばきに注目だ。

(4)長いシーズンを見据えた若手とベテランの融合

ドラ1ルーキー野間は開幕3戦目でスタメン出場を果たした 【写真=小山真司】

 投打の中軸が固まってくるシーズン終盤には、緒方野球の全貌が明らかになっているはずだ。

 指揮官は1年目のシーズンながら、周囲の大きな期待もあり「優勝」の2文字しか見ていない。それでも開幕1軍メンバーには、若手を登用した。自ら「ひと目ぼれした」というドラフト1位の野間峻祥や高卒3年目の美間優槻を開幕1軍に残し、足のスペシャリストの赤松真人、第3の捕手としても起用できるユーティリティーな中東直己らを外した。そして、若い2選手を開幕カードでスタメン起用する大胆な采配を見せた。

 目の前の戦いに集中しながらも、長いシーズンを見据えている。

「開幕戦がすべてではない。シーズンは長い。勝負どころの8月、9月を考えてやっている」(緒方監督)。

 緊張感のある優勝争いの中、いかに勝ち抜けるか。昨季はシーズン終盤まで優勝争いをしながら、9月2日からの巨人戦で3連敗。そのままズルズル後退した苦い記憶が残る。中軸の丸も「打たないといけないという力みが出てしまっていたけど、巨人は落ち着いていた」と振り返る。

 昨季の反省を踏まえ、昨秋からチーム力の底上げを目指してきた。チームを育てながら勝つ。緒方監督は指揮官として迎える初のシーズンでも、それを実行しようとしているのかもしれない。シーズン終盤になれば、ベテランの力が必要となるだろう。それは分かっている。ただ、開幕1軍入りした若い選手たちが13年ぶりとなる地元での開幕3連戦のグラウンドに立った経験は、今後どこかで生きてくるに違いない。当然、今季終盤になっても、彼らがベテランを押しのけてベンチにいる可能性も十分にある。育てながら勝つ緒方カープは、若手とベテランが融合して完成形となる。

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