大会を思い切り楽しもう! マラソンレース前後の過ごし方 

三河賢文

【三河賢文】

 こんにちは!“走る”フリーライターの三河賢文です。先日、初めてサンダルでフルマラソンを走ってみました。いつも以上に身体ケアを徹底して臨みましたが、レース後は思ったよりダメージなし。タイムも目標を大きく上回ることができました。

 レースに参加すると、各ランナーが思い思いの過ごし方でスタートを待っています。ウォーミングアップで走ったりテーピングを貼ったり、あるいは知り合いと会話して過ごしたり。中には、なんとなく周りに合わせて過ごしているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。逆にレース後は疲れていることもあり、すぐに着替えて帰ってしまう光景も目にします。

 レース前後の過ごし方については、プロ選手も含めいろいろな考え方があります。そこで今回は、私がいつもレースで実践している過ごし方を少しご紹介します。距離や気温などのコンディションによって若干異なりますが、参考にしてみてください。

実例を紹介! レース前の過ごし方

 まずは、レース前の過ごし方です。とにかく当日に力を発揮できるよう、トレーニングも状態やレース目標に応じて1〜2週間前から調整に入ります。強度を落としつつ疲労を抜くことで、当日のパフォーマンは大きく変わるでしょう。そのうえで、次のような点に気をつけながらスタートを迎えます。

レース当日、どんな準備をする? 【三河賢文】

・朝食はいつも通り ウォーターローディング実践中

 ランナーの中には、前日に炭水化物を多く摂取する“カーボローディング”を行う人もいます。あるいは、当日朝にたくさん食べるケースもあるでしょう。しかし、私はいずれもあまり効果的ではないと考えています。むしろお腹が痛くなるなど、体調面にマイナスとなるリスクがあるのではないでしょうか。もしカーボローディングを行うのであれば、1〜2週間という長い期間で、レース本番に合わせた食事調整を行うことをおすすめします。

 そのため、食事は“いつも通り”を心掛けています。目覚めのコーヒーに始まり、納豆ご飯にみそ汁、豆乳を飲んで終わり。ただし、水分は数日前からこまめに摂取。いわゆるウォーターローディング(試合前の一定期間、毎日1〜1.5リットルの水を少しずつ摂取することで、体の水分バランスを保ち、発汗による試合中の運動能力の低下を防ぐ方法)ですが、特に暑い時期にはおすすめです。

・サプリメントを飲んでいます

 食事の他にサプリメンテーションも実施。特にBCAA(疲労抑制、持久力向上に効果的と言われる)は欠かさず、6,000〜8,000mg摂取した状態でレースに臨みます。フルマラソンでサブ4(4時間以内で完走すること)を達成した頃から始めた習慣ですが、状態によってオルニチン(アンモニア分解により疲労回復に役立つとされる)やヘム鉄(鉄分補給のため)などを摂取することも。「本当に効果があるのか?」と聞かれれば、専門家ではありませんので分かりません。しかし気持ちの面でも、今はサプリメンテーションを行うと安心してレースを走れます。
※参照「タイミング別!ランナーにおすすめのサプリメント」
http://dosports.yahoo.co.jp/column/detail/201502090003-spnavido

・やりません! レース前のジョギング&ストレッチ

 ウォーミングアップに、ジョギングやストレッチを行うランナーは多いでしょう。しかし私の場合、いずれも行っていません。
 まずジョギングは、これから走るという段階で体力・筋力を使いたくないということがあります。よほど良い位置からスタートし、いきなりハイペースで走れるならば別でしょう。しかし多くの場合、最初の2km程度は他のランナーで混雑し、思うようにペースを上げられません。そのためこの「スタート直後の2km」をウォーミングアップと位置付けているのです。そうすると序盤ペースが上げられなくても、精神的に落ち着いて少しずつペースアップできます。

 またストレッチは、賛否両論あることでしょう。私の場合、「走る前に筋肉を伸ばす」ことを避けていることが理由です。運動する際、筋肉は伸縮します。しかし伸ばした筋肉は緩んだ状態となり、思うように力が発揮できないと私は感じているのです。

・ランニングドリルで“体の動き”チェック

 ジョギングやストレッチを行わないと言いましたが、何もしないわけではありません。動きのあるランニングドリル(ランニングだけでは動かしにくい部分を動かすトレーニング)を行い、体の動きを確かめるようにしています。股関節を回したり、スキップしたり。体を捻ることで、上体の動きも確認します。

 もちろん、ドリルは適度に。これで疲れてしまっては意味がありません。汗をかいて冷えるのも避けたいですから、あくまで確認レベルにとどめるよう注意しています。少しドリルとは異なりますが、走る前にプランク(腹筋を鍛えるトレーニング)によって体幹を刺激することもおすすめです。走行時に正しく体幹を使っているか、少し緊張させることで意識しやすくなります。

・レース展開をイメージしてリラックス

 一通り準備を終えたら、あとは静かにスタートを待つのみです。その際、私はよくレース展開を頭のなかでイメージするようにしています。良いイメージを持つことで緊張がほぐれ、レースそのものを楽しんで走れる気がするためです。集中したいときは、好きな音楽を聞くこともおすすめします。

レース後の過ごし方 ケアが大事!

 レースを終えたら、着替えてご飯! ビールで乾杯! 最高ですね。しかし翌日に疲労を残さないためには、ちょっとやっておきたいことがあります。

レース後のケアは大事です! 【三河賢文】

・入念なストレッチ&冷え防止も忘れずに

 走り終えた筋肉は疲れています。入念なストレッチでほぐしてあげましょう。膝や股関節なども、負担が掛かりやすい部位といえます。もし痛むようなことがあれば、アイシングしてあげると良いでしょう。
なお、ストレッチ前に上着を着るなど、寒くならないようにすることが大切です。レース直後は体が火照っていますが、すぐに外気によって冷えてくるでしょう。汗が冷えてしまえば、体調を崩す原因になりかねません。

・サプリメントで栄養補給

 レース後は、さまざまな栄養が体内に不足した状態となっています。すぐ食事できる場合は別ですが、なかなかそうもいかないでしょう。そのため、サプリメント等での栄養補給がおすすめです。
 私の場合、具体的には(乳酸分解を促す)非必須アミノ酸やヘム鉄、プロテインなどを摂取しています。プロテインはあらかじめシェイカーに粉末を入れて持参し、後から水を加えてシェイク。レース後は水分も不足していますので、一石二鳥です。

・会場近くの「お風呂場」を探そう

 ストレッチで筋肉をほぐしたら、お風呂でしっかり温めましょう。お風呂は温熱効果や水圧による圧迫効果などで血行が促進され、疲労回復につながると言われているのです。私はいつもレースに出場する際、あらかじめ近くに温泉施設(もしくは銭湯)を探しておきます。できれば水風呂のある場所で、水風呂から風呂の温冷交換浴を行いましょう。アイシング効果によって、さらなる疲労回復が期待できます。

 また風呂でゆっくりすると、気持ちもリフレッシュできるでしょう。レースで高ぶった気持ちを落ち着かせてくれます。走った後は全身汚れていますから、それを洗い流すだけでもすっきりするはずです。シャワーのみで済ませる方が多いかもしれませんが、できればお風呂に入ってみてください。

それぞれの準備をしてレースに臨むランナーたち。思い切りレースを楽しみましょう! 【三河賢文】

気になるものから実践を

 他にも靴ひもを締め直したり、早めにトイレを済ませたり、細かく見ればいろいろなことを行って過ごしています。レース前はパフォーマンスを高めるため、レース後は疲労を残さないために、さまざまな工夫があるでしょう。特にレース後は、あまり気を付けていないという人が多いのではないでしょうか。しっかりケアしてあげれば、翌日からまたトレーニングにも取り組めます。もし気になったものがあれば、ぜひとも実践してみてください。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント