大迫、設楽兄弟らの活躍が生む相乗効果 ニューイヤー駅伝から始まる新たな戦い
大迫、デビュー戦は「100点の走り」
前回の箱根駅伝をにぎわせた大卒ルーキーに注目が集まった今年のニューイヤー駅伝 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
その中でも特に、佐藤悠基、村澤明伸といったトップランナーが所属する日清食品グループに入った大迫傑は区間配置も注目されていた。結局は1区(12.3キロ)に配置。「12月20日に米国から戻ってきてチームの合宿に合流しましたが、今は1月の室内大会へ向けて、1マイルや2マイル、5000メートルの練習をしているので、最初から飛び出すのではなくて、トップでタスキを渡すことを目標にしました」と大迫は話す。
最初から、ラスト1キロを切ってからスパートすると決めていたという大迫は、集団の中で動く選手をしっかりとマークしてレースを進めた。そして「ラスト800メートルでスパートすればついて来られないなという気がしたので」と勝負をかけると、キッチリ区間賞を獲得。だが2位以下との差は思ったより離れず、プレス工業の梶原有高とSUBARUの阿久津圭司には5秒差、優勝争いをすると見られていたトヨタ自動車の藤本拓、コニカミノルタの野口拓也とはそれぞれ6秒と7秒差だった。
先輩たちに執念を見せられた結果になったが、「個人としては100点の走り」と実業団デビュー戦を評価していた。
4区はルーキー同士の競り合い
エース区間の4区ではコニカミノルタの設楽啓太(右)、トヨタ自動車の窪田忍(左)らが激しい競り合いを見せた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
タスキを受けた時の順位は、日清食品グループの村澤がトップ、4秒差にコニカミノルタの設楽啓。さらにトップと28秒差でトヨタ自動車の窪田が3位と続き、Hondaの設楽悠は1分55秒差の10位という位置だった。
設楽啓はタスキを受けるとすぐに追撃態勢に入り、1キロ過ぎで村澤に並んだ。
だがそれ以上の突っ込みを見せたのはトヨタ自動車の窪田。「前半、いけるだけいって早い段階で追いつければと思っていました」と飛ばし、3.8キロで先頭の2人に追いついた。そして「人について走るのが好きではないし、この場合、相手のペースで走るのはどうなのかなと考えて。自分の体も動いていたので、自分のペースでいった方がいいかなと思いました」と、すぐに前に出て先頭集団を引っ張った。
「最初の5キロは13分50秒くらいで入って、10キロは距離表示が多分手前だったとは思うけれど27分40秒だったので、『かなり速いな』と思いました。でも、体が動いたのでこのままいこうと。相手が誰というより、チームが優勝するために自分が今何をすべきかと考えて走っていました」(窪田)
この間、村澤が8.2キロ付近から遅れ始め、設楽啓との一騎討ちになる。13キロ過ぎで設楽啓がスパートをかけて窪田が遅れたが、その1キロ過ぎには再び追いつく意地の張り合いを見せた。しかしながら再び設楽啓が突き放した。
「体の調子が良かったので逆に動きすぎて、後半ばたついてしまったから課題は残りました。残り3キロから向かい風になったが、その前から脚が痙攣(けいれん)を起こしていたので、前との差が少ない状態でタスキを渡すことだけを考えて走っていました」(窪田)
こう話す窪田に対し、設楽啓も「最初から積極的にいこうと思っていてそれはできたけれど、後半は自分のレースができませんでした」と語るように、向かい風になってからは突き放せず、3〜4秒差のままで進み、20キロ過ぎでは再び追いつかれるデッドヒート。
結局、設楽啓がトップで中継したが、窪田は4秒差で続き、トヨタ自動車4年ぶりの優勝への執念を見せた。
さらに日清食品グループの村澤も「足の痛みもなくなって徐々に練習を積めてきている状態」と万全ではないながらも、向かい風に入ってからは先輩の意地を見せて追い上げ、窪田に2秒差の3位でタスキを渡した。