坂道は頑張らずに賢く走る! 効率が良いフォームとペース

青山剛

【青山剛】

【Getty Images】

 すっかり秋めいてきました。例年以上に涼しくなるのが早いので、ランナーの皆さんにとっては、いち早く「ランニングの秋」到来といった感じでしょうか?

 これまでは主に「正しく走る方法」を指導してきましたが、この秋シリーズでは、さまざまなトレーニングメニューへの正しい取り組み方法なども取り上げていきます。

 今回は秋シリーズの第1回ということで、早速ラントレメニューを紹介していきたいところですが、そのメニューをこなす上で必ず必要となってくる「坂道の走り方」をまず先に紹介したいと思います。
 走り始めると、道路には意外と起伏が多いことに気づきます。平地はうまく走れていても、坂道になると途端に進まない方も多いのではないでしょうか? 実は坂道にはランニング技術のほとんどが集約されていて、「坂道を制するものがランを制する」といっても過言ではありません。

 では早速、上り下り坂の効率的な走り方を紹介します。

上り坂のフォームポイント!

【Getty Images】

平地より
・ひじの角度を広げる
・ひじを約5センチ多く引くイメージ
・体幹(上体)の前傾を深める
・少しテンポを上げる

下り坂のフォームポイント!

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・体幹(上体)が反らないように、前傾をキープ(地面と垂直イメージ)
・足の着地を真下、もしくは少し後方に着くイメージ
・オーバーストライド(大股)になり過ぎないようにする

基本となる平地のフォーム

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上り坂は頑張らず、下り坂は速度を落とさない

 上り坂も下り坂もこれまで指導してきた平地の走り方が基本となりますが、坂道は平地に比べて走りづらい分、真の体幹力(体幹で走れているか)が試されます。

 しっかりと腹筋やお尻が入っていて、肩甲骨が動いていなければ相当足にダメージがきてしまいますので、やはりこれまで指導してきた「体幹ストレッチ」「体幹スイッチ(エクサ)」をしっかり走る前に行いましょう。

 また、フォームの面以外で「坂道のペース」でのポイントもあります。それは「上り坂は頑張らず、下り坂は速度を落とさない」イメージで走るということです。

 練習や大会を見ていると、まだランニングが得意でない方ほど、「上り坂で頑張って心拍数が急激に上がり、下り坂で休もうとブレーキを掛けながら下りる」傾向にあります。これはエネルギー効率の面からも相当「燃費が悪い」走りになってしまいますし、結果タイムも上がらない場合がほとんどです。

 秋の走り込みでさまざまなメニューをこなす上で坂道にトライする時に、やみくもに頑張るのではなく、傾斜に対する体の使い方や正しいペースをイメージして走りましょう!

参考資料:「青山剛のランニング・コア・メソッド(新星出版社)」
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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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