【夏】第4回 ビーチランはお尻で走る!? 砂浜を5分走れば弱点が分かる

青山剛

【青山剛】

 まだまだ暑い日が続いています。例年通りだと、9月20日すぎくらいまでは30度近い暑さが残ると思いますので、それまでのトレーニングはしっかりと頭も使わないといけません。

 これまでの連載では、いくつか「走らないトレーニング」を紹介してきましたが、逆に夏だからこそ走ってほしい場所があります。それは、砂浜=ビーチです。日本は海に囲まれた島国ですから、少し移動すれば皆さん海岸に行けると思います。

 この時期の海岸は海水浴シーズンで、多くの方が一度は訪れたことがあると思いますが、あの砂浜を走ろうということです。このビーチランがかなりのトレーニング効果を生んでくれるのです。

ビーチでは体幹を使えていないと進まない

【青山剛】

 ビーチランを上手にできる(快適に走れる)方とそうでない方との決定的な差は、「体幹を使えているか否か」になります。逆を言えば、ビーチランが上手にできるようになれば、体幹を使えてきた証拠となるわけです。

 では、ビーチランをした時に体幹を上手に使えていないケースとは、具体的にどういう状態なのか?

・砂を多く巻き上げる。
・よく足をとられて滑る。
・ふくらはぎが多く張ってしまう。
・前ももが多く張ってしまう。
・腹筋、お尻が張ってこない。
・肩甲骨周りが張ってこない。


 これらは、実は体に関しては普段シューズを履いてアスファルトを走る時のチェック項目とほぼ同じなのですが、ビーチランの素晴らしい所は「その弱点」が5分も経たないうちに分かってしまうということです。

 砂浜は「走りづらい」ですから、簡単に言えば正しく走れていないと(=体幹が使えていないと)、進まないのです。従って、体幹チェックにはかなり有効になります。

 普段、走りやすい平地、アスファルト、最新のシューズで走っていると、実は弱点が悪く言えば「誤魔化されている」可能性があります。その点、ビーチランは弱点発見にも役立ち、短時間で高負荷な上、この時期は暑くなったら海に入ってクーリングダウンもできるのでとてもおすすめです。

女性はヒップアップにも効果的

【Getty Images】

 ビーチランで体幹を上手に使えてきているか、のチェック項目がこちらです。

・拇指球(足の親指の付け根)にしっかり重心があれば、ふくらはぎも張らず滑りづらい。
・お尻でしっかり踏ん張り、地面を捉えていれば、お尻がとても張ってくる。
・肩甲骨を普段以上に大きく引いているので、背中が普段より張ってくる。
・砂が深い所や、波打ち際を走るには腸腰筋(股関節の奥、とても大事な筋肉)を多用するので、おなかプラスおなかの奥がとても張ってくる。

 などになります。

 体幹の中でも「おしり」が特に大切で、ビーチランは特に女性はヒップアップにも大変効果的です。

ビーチランのおすすめメニュー

【青山剛】

 最後に、ビーチランの色々なメニューを紹介します。トータル時間で60分も動いていたらすごい運動量になりますので、はじめは20分程度からスタートです。

・シューズを履いたまま、ゆっくり走る。まずはビーチランに慣れます。

【青山剛】

・裸足で走る(石やガラスなどに注意して!)。ゆっくり15分も走ればかなり効きます。

【青山剛】

・道具(ラダー・コーンなど)があれば、普段アスファルトなどで行っているメニューを砂浜で行ってみる。やりづらい=体幹が使えてないことが分かります。

【青山剛】

・波打ち際を走る。肩甲骨、そして腸腰筋の動きが悪いとつまずいてしまいます。

【青山剛】

・砂浜+波打ち際を走る。体幹のトータルチェックができます。
 泳げる方は、ビーチラン+スイム+ビーチランなどを組み合わせれば、最高です。もちろん、ただゆっくり砂浜を走るだけでも効果がありますので、夏は楽しくビーチランをしましょう!
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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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