【夏】第3回 夏はプールで走力アップ クロストレーニングで夏を乗り切ろう!

青山剛

【青山剛】

 前回は公園など不整地を利用して走る「ファルトレク」を紹介しましたが、やはり夏は暑いので、ランニングだけを続けていくとかなり無理が生じます。もちろん、これまで紹介してきたストレッチやスイッチ(体幹エクササイズ)を涼しい室内でしっかり行うことをおすすめしますが、それにプラスして今回は「クロストレーニング」を紹介します。

専門種目以外でトレーニング効果を狙う

【Getty Images】

「クロストレーニング」とは、専門種目以外で、その種目のトレーニング効果を狙うものです。例えば、スケート選手は夏に自転車競技をトレーニングに取り入れることがあります。自転車トレーニングを行うことでスケートのパフォーマンスを上げる、というわけです。

 私が行っているトライアスロンは、まさにクロストレーニングの王様です。特に私が指導している一般トライアスリートの方は、頻繁に環境の良い場所へ合宿に行けるわけではないので、季節に応じたトレーニングを行ってもらいます。

 冬の寒い時期は室内プールでのスイムと体が暖まるランニングをメインに。そして夏の暑い時期は、自転車で風を切り、海スイムも使ってパフォーマンスアップを目指していきます。それが自然とクロストレーニングとなっているわけです。ちなみに私はトライアスロンでなくランニングだけを行っている方にも、積極的にクロストレーニングをおすすめします。

良いこと尽くしのクロストレーニング

 クロストレーニングのメリットを、以下に挙げてみましょう。

・季節に応じたトレーニングが楽しめる(=だから続けられる!)
・単一種目では得られない、他種目ならではの刺激(効果)が得られる
・種目が分散することで、体の負担も分散し、ケガの発生を抑えることができる。
・もしその種目をケガなどでできなくても、他種目ならできる場合があり、トレーニングが継続できる

……など、実は良いこと尽くしなんです。

 今回は夏シリーズということで、この時期に最高のクロストレーニング「水中トレーニング」を紹介します。

水に入って動くだけで十分なトレーニング効果

 この水中トレーニングは、夏だけではなく1年中、積極的にトレーニングに組み込んでほしいくらいです。もちろん泳ぐことに越したことはありませんが、泳ぎが苦手な方でも「水に入って動く」だけで、相当なトレーニング効果が期待できます。

 まずは水中トレーニングの特徴です。

・水中は陸上の約10分の1の重力
→浮力があるため、足や腰に不安がある方でも負担が少なく動ける

・水中は陸上の約12倍の抵抗がある
→負担が少なく、短時間で負荷を与えられる

・水中は空気中の約1000倍の水圧
→水圧で血液循環を促すので、疲労回復効果も望める

・水中は空気中の約27倍の熱伝道
→体温を下げてくれるのでカロリー消費も上がり(体温を維持しようとして)、暑い時期はクーリングダウン効果もある

 これで夏の時期でなくても、1年中取り入れてほしい理由がお分かり頂けたかと思います。特にランニングを行った後にプールへ入ると、疲労回復を図りながらトレーニング効果も得られるので一石二鳥です。

 ちなみに私は海外でマラソンを走った後はホテルのプールでクーリングダウンを行い、帰国後も空港からまずはプールへ直行し、軽く泳いでストレッチしてから自宅に帰ります。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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