女性芸能人がしのぎを削るフットサル大会 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

芸能人女子フットサルの創成期

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 7月中旬から8月末にかけて、夏ならではのさまざまな催し物が各地で盛り上がりを見せた。テレビ局が主催する夏のイベントではライブやファッションショー、フードフェスタやスポーツ大会なども賑わっていた。そんな中、8月20日に芸能人女子フットサル大会、「a-nation cup2014」が行われた。出場選手は、各プロダクションに所属するタレントさんやアーティストなど。

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 最近は芸能界や音楽業界でもフットサルにハマる人は多く、Mr.Childrenの桜井和寿さんやGLAY、ナオト・インティライミさん、森山直太朗さんなど、著名なミュージシャンも多い。フットボール好きの音楽業界人・ミュージシャンや芸人によるフットサル大会「音蹴杯」は、さいたまスーパーアリーナを貸し切って毎年開催されるほど、規模も大きい(一般観戦不可)。

 芸能人女子フットサルは、もともとはサッカー協会がなでしこジャパンを応援するための企画として2003年に始まった。その後、各芸能プロダクションに所属するタレントやアイドル、アナウンサー、女性芸人、歌手らがそれぞれプロダクションごとにチームを結成し、05年には芸能人女子の公式大会「スフィアリーグ」が創設された(05年12月から07年8月まで実施)。大会やイベントには多くのスポンサーがついて、専門番組(『恋するフットサル』/フジテレビ)も制作され、定期的に大会が開催されることに。

 当初の参加チームは、ガッタス(ハロー!プロジェクト)、カレッツア(サンズ)、チーム ドリーム(エイベックス)、ザナドゥ(ホリプロ)など。各チームは監督やコーチにも著名人や元日本代表選手を抜てき。北澤豪氏(ガッタス/元サッカー日本代表)、大竹七未氏(ファンタジスタ/元サッカー日本女子代表)、安田大サーカス(蹴竹G)らが起用され、注目度と実力の両方を競い合った。

 そんな中、私が入ることになった「南葛シューターズ」はこの大会に2005年から参戦した。集英社の『週刊ヤングジャンプ』にかかわるグラビアタレントを中心に結成され、監督には『キャプテン翼』の作者、高橋陽一先生を迎えた。当初のライバルは講談社の『ミスマガジン』。2チームは出版社同士の代理戦争的な盛り上がりも見せた。

「絶対に負けられない」女同士の戦い

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 優勝すれば注目され、仕事のオファーにもつながる。出場するチーム・選手のモチベーションは、「勝ちたい」=「目立ちたい!」。女性芸人チームは笑いを取り、ヒール役に徹することも忘れなかった。最初は初心者ばかりで、大会もレベルは高くなかったけれど、「絶対に負けられない」女同士の戦いは熾烈を極め、どんどんレベルも上がっていった。

 当時の入場料はなんと4200円(!)それでも、3000人以上入る駒沢体育館が埋まったほど。元モーニング娘。メンバーも所属するガッタスのサポーターは圧倒的に多く、スタンドはチームカラーのオレンジに染まり、横断幕や好きな選手のタオルマフラーが舞った。ファンにとっては、悔し涙を流した選手たちが試合ごとに成長する姿も楽しみのひとつだったのだろう。

 結成時はパスが2本以上つながらなかった私たちも、頻繁に集まって「コソ練」(他のチームに知られないようにコッソリ練習して上達を目指す)に励んだ。フットサルコートがないために公園で練習したり、初心者のための「個サル」に参加したり。実家のある大阪から仕事で通っていた子は、フットサルを続けたくて上京した。時間を見つけては週に3〜4回集まることもあり、練習量だけはどのチームにも負けていなかったはずだ。それだけ、目標に向かって、それだけ打ち込めるというのはすごいことだと思う。まさに「青春」。
 私はチームで唯一のサッカー経験者だったので、強くなるために何が必要なのか、毎日頭を悩ませた。ただ、それだけ練習をしても、本番で緊張のあまりガチガチになって負けたり……悔しい思いを何度もした。それでも、積み重ねた練習は裏切らなかった。私たちは結成4年目の2008年、メルシートゥフェスタ(07年から09年まで開催された芸能人女子フットサルの大会)で念願の初優勝を果たして「勝ち方」を知ると、以後は強豪チームに成長していった。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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