運動不足も……サッカーW杯に熱狂! 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

“世界最大級のスポーツの祭典”に熱狂

3年前、女子W杯ドイツ大会にて 【松原渓】

 ここ3週間ほど、運動不足気味で体がなまっている。理由は……そう、“世界最大級のスポーツの祭典”とも言われるサッカー・ワールドカップ(W杯)!

 子供も大人も、多くの劇的ドラマやスーパープレーに熱狂した1カ月間だったのではないだろうか。私もなまった体とは裏腹に、頭の中は美しいプレーやスーパーゴールのイメージで満たされた。

 決勝は120分間の激闘の末、ドイツが1−0でアルゼンチンを破り、優勝。前回の2010年南アフリカ大会では、大会後、優勝したスペインの細かくつないで崩すパスサッカーが大きく取り上げられ、少年サッカーや社会人サッカーなど、カテゴリーに限らないブームをもらした。

 今大会で優勝したドイツのサッカーも、新たなトレンドになりそうだ。「パスで崩すスタイルとカウンタースタイルを使い分けた、合理的かつ柔軟なサッカー」という表現が私はしっくりくる。特定のスター選手に依存せず、誰が出ても流動性を失わないサッカーとも言える。

 ドイツの人たちの勤勉な国民性に、秩序と協調性、そして情熱が絡み合い、代表のサッカーに反映されていた気がする。11年にドイツで行われた女子W杯を現地まで見に行ったが、ドイツは女子サッカーも、世界トップクラスの環境とレベル、観客数を誇っている。

決勝のカードとドイツの優勝を予想!

【松原渓】

 ちなみに……私は決勝の対戦カード(ドイツvs.アルゼンチン)と、ドイツの優勝も予想していたので、まるごと的中したのは嬉しい! ただ、W杯の長い歴史の中で過去、アメリカ大陸で開催された7回の大会で欧州の国が優勝したことがないというジンクスがあっただけに、驚きもある。実際、ヨーロッパやアジアの国が時差や気候などのハンデを乗り越えるのはそれだけ難しいことなのだと感じていたし、私の周りでもブラジルの優勝を予想する人が大勢いた。

 ところが、何が起こるか分からないのがサッカーの怖さであり、面白さでもある。予想以上の躍進を見せたチームがあれば、期待を大きく裏切る国もあった。残念ながら、日本は後者となってしまったけれど……。

 W杯を通じて衝撃を受けたニュース&真似したいプレーベスト3(独断と偏見による)を、発表させていただきます!

W杯衝撃ニュース・ベスト3

1位:サッカー王国の歴史的大敗

 ご存知の通り、準決勝のブラジルvs.ドイツ戦は、ブラジルが歴史的大敗(1−7)を喫する衝撃的な結果に。ブラジルは3位決定戦でもオランダに0−3と屈辱的なスコアで敗れ、世界のサッカーをリードしてきたサッカー王国の威信が揺らいでしまわないかと、余計な心配もしてしまう。

 ただ、ファンは決勝では同じ大陸のライバル・アルゼンチンと対戦したドイツに大声援を送っていた。その負けず嫌いぶりはさすが! 今大会を飾ったスターの1人、ネイマール選手のケガは残念だった。

2位:ザックジャパン、グループリーグ敗退

 組織力以上に個人能力の差に愕然(がくぜん)とさせられた。「優勝できる」「ベスト8は行ける」など、現実を伝えるべきメディアが持ち上げすぎた責任はあると思う。私もいちサッカーファンとして、その耳障りの良い言葉ばかりを聞き、現実との境を見失ってしまったことを反省しているけれど、期待を持たせてもらったことには感謝したい。

 ザッケローニさんには4年間、攻撃的なサッカーで楽しませてもらったことに感謝したい。次の日本代表監督は、喜怒哀楽をぶつけ合えるという意味でも、日本人監督が良いと思う。過去19回のW杯では母国を率いた監督が優勝しているし、今大会もベスト4に残ったすべてのチームの監督が母国を率いた。そのデータに学ぶべきではないだろうか。

3位:跳んだり、転んだり、噛んだり(!?)

 グループDのウルグアイvs.イタリア戦では、ウルグアイのエース、スアレス選手がイタリアDFキエッリーニ選手の肩に噛みつくという事件が発生。スアレス選手の噛みつきは有名で、それまでにも多くの騒動があったため厳しい処分が課され、今大会から締め出されてしまった。

 さすがに噛むのはやり過ぎだけれど、個人的には審判が見ていないところでのさまざまな駆け引きも、“マリーシア”(ポルトガル語で「ずる賢さ」を意味する)という言葉が示すように、サッカーのひとつの側面だと思う。

 ただ、テクノロジーが発達し、あらゆる角度からのリプレーやスロー再生が可能になった今大会では、そうしたプレーやPKを得るためのちょっとした演技も、後から映像で見るとバレバレ。そのせいか、後半戦はぐっと減った。やってしまった本人が一番恥ずかしかったのかも……。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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