奥深いフットサルの魅力 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

趣味40%、健康維持30%、コミュニケーション30%

フットサルチーム「南葛シューターズ」に所属。今年でプレー歴13年目になる 【松原渓】

 私は幼少時代、登山家でフリーの編集者でもある父のもとで、アウトドアや身体を動かすことについては、スパルタとも言える環境で過ごしてきた。毎週末は山に登り、日帰りサイクリングで世田谷から相模湖まで走ったり、小学校3年生の夏休みには自転車で北海道一周の旅もした。小学生のころ、私にとって身体を動かすことは食べることや寝ることと同じぐらい自然なことだった。そう考えると、子供の好奇心と体力は侮れない。以来、現在に至るまで、スポーツは多くのことを私に教えてくれ、人生を豊かなものにしてくれている。

 現在の私にとって、スポーツをする動機を割合で示すと、趣味40%、健康維持30%、コミュニケーション30%といった具合だ。何時間続けても苦にならないことや、それ自体がストレス解消になっている点では「趣味」だし、健康維持のためにもスポーツは欠かせない。また、仕事先の人と定期的にスポーツで交流する機会があり、コミュニケーションを図れる場でもある。

 サッカー、フットサル、自転車、登山、バイク、卓球――好きなスポーツの中で、特にプレーする頻度が高いのがフットサルだ。伝説のサッカー漫画『キャプテン翼』の作者、高橋陽一先生が監督を務める「南葛シューターズ」(http://ameblo.jp/nankatsu2005/)というチームに所属していて、プレー歴は13年目になる。

サッカーよりも手軽なフットサル

おしゃれなウエアやシューズもたくさんある 【松原渓】

 プレーをしたことがない人にとって、フットサルは「サッカーの小さい版」というイメージかもしれない。その通り、とも言えるし、一方で足でボールを扱うという共通点をのぞけば、ルールや戦術などを比較すると「まったく違う競技」とも言える。私の実感としては、初めてボールを蹴る方にとってはサッカーよりも始めやすい競技だと思う。

 サッカーと比べたフットサルの特徴を挙げると、以下のようになる。

・コートが小さい(サッカーコートの2分の1以下)
・プレーヤーが5人(サッカーは11人)
・交代は自由
・5人集まればチームが作れ、大会(初心者クラスの大会も多い)にも参加できる=初めてでも気軽に始められる
・ウエアは基本的に自由なので、お金がかからない=手軽に始められる(オシャレなフットサルウエアもたくさんある)
・オフサイドルールがないため、得点が決まりやすく、未経験者も楽しめる
・男女混合のミックス大会も多く、年齢性別関係なく楽しめる
・フットサルコートは駅ビルや都心のデパートの屋上などにあり、アクセスが便利(室内コートも多く、天候に左右されない)

初めてプレーしたときの驚き

プレーには人間性が表れるとも言われる 【松原渓】

 最初は趣味で蹴る程度だったのが、ここ10年間は週に1〜2回のペースでずっと続けている。チームの練習が週1であり、それ以外は仕事先の人から誘われるプライベートフットサルなどに参加している。

 小学校時代にサッカーをしていたため、フットサルもまったく抵抗なく始めることができた。サッカーを始めたのは小学校3年生のころだ。ちょうど1993年にJリーグが発足したのと時期を重ねるように、サッカーに夢中なった。一時はなでしこジャパン(当時は愛称がなく、「サッカー女子日本代表」だった)を目指したが、夢はかなわず、サッカーをやめて6年ほど経ったころ、仕事でフットサルに誘われた。

 初めてフットサルのゲームをした時の驚きは忘れられない。久しぶりに足の甲がボールの芯を捉える感覚を懐かしく思い出しながら、「初めて出会う人たちと、ボールひとつでこんなにも打ち解けられるものなんだ」と、驚いた。

 初対面同士でも、「ナイスパス!」「ナイスシュート!」と声を掛け合うだけで、他人とは思えなくなるから不思議だ。フットサルで出会って恋に発展した友人もいる。会社のフットサルチームなら、上司が部下のアシストでゴールを決めることだってあるだろう。女性は1ゴールで2点分になる特別ルールがあったり、優遇されることも多い。
 プレーには人間性が表れるとも言われる。そういう意味でも、フットサルは、コミュニケーションツールになり得るスポーツだ。

奥深いチームスポーツ

 これがチームとなると、また奥深い。目的をひとつにする仲間であるため、時には味方と「もっとこうしてほしい!」と厳しく要求し合うことも必要になってくる。私は人に要求することが苦手な性格なので、試合中はチームメートから「もっと声を出して!」と言われることも多い。ピッチに入れば、年下も年上も上司も部下も関係ない。でも、そうやって相手に自分の意志を伝えるということを繰り返していくうちに、競技への理解が深まり、さらに楽しくなってくる。それが仕事や人間関係の中でも良い方向に作用する。

 たくさん汗をかいた後、みんなでにぎやかに食事をする時間は至福のひとときだ。チームに入ってから、定期的にボールを蹴る機会ができた。週に1度の練習は、私の生活にひとつのリズムを与えてくれている。

 戦術も多彩で、知れば知るほど奥深いフットサル。『キャプテン翼』の中で、主人公である翼くんの「ボールは友達」という名ゼリフがあるように、一度ボールを蹴る楽しさを知ったら、文字通り病みつきになってしまうのだ。

 フットサルでゲームをするには最低10人が必要だが、1人でも始められる方法がある。それが「個サル」だ。「個サル」とは個人参加型のフットサルのことで、各フットサル場が主催している。1回2時間1000円〜2000円程度とリーズナブルだ。その日に集まったメンバーでゲームをしたり、簡単な技術をレクチャーしてもらえたりする。仕事帰りにふと思いついてでも参加できるし、「男女ミックス」「ビギナー」「経験者」とレベル分けされているので「ついていけないかも?」と悩む心配はない。なにより、初めて一緒にボールを蹴った人と友達になれるあの感覚は、何度でも味わいたいと思う。

 これから私のスポーツライフを綴っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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