上原&田沢が支えるRソックス鋼の強さ

杉浦大介

守護神はプレーオフの大舞台でも安定した投球

地区シリーズを制し2度目の“優勝投手”となった上原(中)、あと2度同じシーンは見られるか 【写真は共同】

 米国時間10月8日のレイズとのアメリカン・リーグ地区シリーズ第4戦でセーブを挙げ、レッドソックスの上原浩治は今季2度目の“優勝投手”になった。その姿を見て、今秋中にもう1回、いやもしかしたらあと2回、こんなシーンを目撃できるかもしれないと感じたファンは多かったのではないか。
「別に何も変わっていない。いつも通りです」
 この地区シリーズの最中、上原はシーズン中から口にしていた言葉を何度も繰り返した。そして実際に、第4戦で伏兵ホセ・ロバトンにまさかのサヨナラ弾を許したわずか1球を除き、守護神はプレーオフの大舞台でも安定した投球を継続。同時に今季メジャー最高の勝率を残したレッドソックスも、これまで通りの鋼の強さを見せつけて来た。

“Relentless(執拗な、絶えることない)”
 レイズを3勝1敗で撃破したレッドソックスを、「スポーツ・イラストレイテッド」誌のトム・バードゥッチ記者はそう言い表していた。MVP候補になるような選手はいなくとも、攻守ともに実に層が厚いロースターを表現するのに確かに適した言葉と言えるだろう。
 ウィル・ミドルブルックスを除く全レギュラー野手が出塁率.333以上という強力打線は、地区シリーズ第3戦ではレイズ投手陣に合計169球、第4戦では163球を投げさせた。辛抱強いだけでなく、盗塁数メジャー4位(成功率86.6%は同1位)と走攻まで絡めて来るのだから始末が悪い。

「頭が良い打者が多く、球場によって僕たちの配球を頭に入れながらバッティングして来る。フェンウェイパークでの試合のときと、ここ(ヤンキースタジアム)で攻め方を変えなければいけない」 
 シーズン終盤の対戦後、ヤンキースの黒田博樹がそう語ってレッドソックス打線の適応能力を絶賛していたのを思い出す。今季得点数でメジャー1位の得点力はダテではない。投手レベルの上がるプレーオフでも、このチームを1試合に渡って封じ込めるのは並大抵の難しさではないだろう。

日本人投手デュオは世界一へ絶対不可欠

 投手陣にも絶対の軸はいないが、地区シリーズではジョン・レスター、ジョン・ラッキー、クレイ・バックホルツ、ジェイク・ピービーという4人の先発投手がそれぞれ試合を壊さずに役目を終えた。
 そしてブルペンでは、上原、田沢純一、クレイグ・ブレスローの3人が力を発揮。中でも上原、田沢の強力デュオは、日本人のひいき目を抜きにして、世界一を目指すチーム内でも絶対不可欠の存在となっている。

 前記通り第3戦でこそ久々の本塁打を許した上原だが、地区シリーズ中はそのロバトン以外の全打者を完封。サヨナラ負け後も、米メディア間では“上原が打たれたならレッドソックスは仕方ない”といった論調が多かった。それどころか、同点の場面でも切り札を投入して勝ちに行ったジョン・ファレル監督の采配を讃える声まで挙がっていたのは象徴的だったと言える。

 また、今シリーズに限って見れば、田沢の貢献度は上原以上だったかもしれない。チーム内で唯一全4試合に登板し、合計2回1/3を投げて1安打無失点。第2戦では2点リードの8回に登場し、シリーズ通算打率.421と好調だったユネル・エスコバルを96マイルの速球で2ゴロ併殺打に斬って取った。続く第3、4戦でも、走者を置いた場面でエバン・ロンゴリア、ウィル・マイヤーズ、マット・ジョイスといった相手の主軸を奇麗に片付けた。
「(真っ直ぐの走りは)そんなに悪くないんじゃないかなと。(シーズン終了からプレーオフ開始までの)4日間にしっかりケアしてもらったんで、やってもらっている人たちに感謝ですね」
 第2戦後、シーズン後半よりも勢いがあるように見えた速球について訊くと、本人からも元気な答えが返って来た。終盤戦では疲れも心配されたセットアッパーの好調は、守護神・上原の安定と同様に、レッドソックスにとっては実に心強い要素に違いあるまい。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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