早大競走部 【連載】東京箱根間往復大学駅伝(箱根)前特集『UPSET』 第7回 山﨑一吹

チーム・協会
【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 佐藤結

 昨年に引き続き、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)のエントリーメンバー入りを果たした山﨑一吹(スポ2=福島・学法石川)。1年間を通して、繰り返される発熱や貧血に苦しんできたが、10月以降徐々に復調し、「全力で走れる体」を取り戻した。幼い頃から憧れてきた大舞台に向けて、心も体も、準備は万全だ。今回こそ、目標としてきた大学駅伝デビューへ。今シーズンを振り返るとともに、箱根に向けての意気込みを伺った。

※この取材は12月11日にオンラインで行われたものです。

貧血と発熱に苦しんだトラックシーズン

全日本大学駅伝関東選考会で走る山﨑 【早稲田スポーツ新聞会】

――まず、昨年に引き続きエントリーメンバー16人に選ばれた率直な気持ちを聞かせてください

 選ばれてシンプルにうれしいというのと、昨年からやはり(出走メンバーに)入らないとダメだと思っていたので、走るための通過点という感じです。うれしいけどそこまで「よっしゃー!」という感じではないですかね。

――昨年の箱根では付き添いをされていましたが、雰囲気はいかがでしたか

 やはり観客(の数)が高校の頃の駅伝とは全然違ったので、注目度は全然違うんだなと感じました。

――冬の間調子が悪く、そのまま2月の宮崎合宿に行ったとのことですが、具体的に教えてください

 貧血の状態で合宿に行って、全く走れず、ジョグしかできなくて、きつかったです。

――合宿明けの早大競技会では1万メートルで自己新をマークしました。改めて振り返っていかがですか

 正直あの日すごく体調が悪くて、その後熱が出てしまいました。体調が悪い中でもしっかり走れたので良かったと思います。

――コロナや発熱にも苦しんだとお聞きしましたが、春先はどのように過ごしていましたか

 特に変わったことはしなかったです。春先もコロナに1回かかって、ストレスなのかはわからないですが、熱も何回か出しました。とにかくもう病気にならないように心がけて生活していました。練習も強度を下げざるを得なかったので、苦しかったというか、思うように走れなくて残念だったと思います。

――トラックシーズンの目標はどのようなものでしたか

 やはり5000メートルをメインでやっているので、5000メートルで13分40秒を切りたいなという気持ちがありました。13分30秒台のタイムを出したかったのですが、結局13分57秒しか出せなくてすごく残念でした。1万メートルで全日本予選会(全日本大学駅伝関東選考会)に出してもらったのですが、それも思うような走りができなくて、力不足を感じました。

――トラックの練習で重点的に取り組んでいたことはありますか

 練習で本当に全力を出して、疲れてしまって熱が出るというのが多かったので、とにかくそういう状況をなくすために、 春から夏にかけてずっとウエートトレーニングをやっていました。

――4月には金栗記念選抜陸上中長距離大会、5月にはゴールデンゲームズinのべおかに出場しました。ご自身の走りはどのように評価しますか

 1年生の夏頃からずっと不調に陥っていて、調子も良くなかった中で久しぶりに13分台を出せたのは、その状況の中では良かったと思います。

――両レースとも外国人選手や実業団の選手につき、序盤は先頭の方で走っていましたが、どのような狙いでしたか

 とにかく先頭の人についていっていいタイムを出させてもらうという感じでした。自分で引っ張れるような力もないので、(最後まで)ついていきたかったのですが、やはり力不足の面が目立ったと思います。

――スピード感はいかがでしたか

 結構序盤から苦しかったので、スピードは実際そんなに速くなかったのですが、めちゃめちゃ出てるように感じました。

――グランプリシリーズを通して得られたことは何ですか

 不調の中でも走れたので、復調の兆しが見えたレースだったと思います。

――6月には全日本(全日本大学駅伝対校選手権)選考会に出場しました。8人に選ばれたときはどのような気持ちでしたか

 本当にフルメンバーというか調子が良い人が全員出たら、僕が選ばれない状況でした。走れたのはうれしいですが、自分が予備として走るレースだったので、素直に喜べない面も若干ありました。予選会をしっかり通過させることができたのはよかったと思います。

――1組での出走でしたが、走りを改めて振り返っていかがですか

 夏頃から貧血の症状が出ていて、レースをしている中でも序盤からかなり苦しかったのですが、粘り強さを見せられたというか、強い気持ちを持って走ることができたと思います。

――トラックシーズン全体を振り返って、点数をつけるとしたら何点ですか

 60点くらいです。やはり(減点の)40点は体調不良が多かったということです。ケガはなかったですが、貧血や発熱があったり、コロナに2回かかったりということがありました。とにかく自己管理ができていなくて、思ったような結果を出せなかったので、そこが40点です。

憧れの箱根路で大学駅伝初出走へ

箱根前合同取材で箱根への意気込みを語る山﨑 【早稲田スポーツ新聞会】

――夏合宿はどのような目標や考えを持って臨みましたか

 とにかくずっと調子が悪くて練習もできない状況が続いていたので、みんなに置いていかれないように、自分のできる限りのことはしたいなという気持ちで取り組んでいました。

――調子が戻ってきたと感じたのはいつ頃でしたか

 9月は本当にジョグしかしていませんでした。10月から走り始めて、10月中旬くらいから思ったように走れるようになってきました。今は本当に調子がいいです。

――続いて、駅伝シーズンの話に移ります。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)と全日本では同期の長屋(匡起、スポ2=長野・佐久長聖)選手と工藤(慎作、スポ2=千葉・八千代松陰)選手が区間上位の走りを見せましたが、2人の活躍はどのように見ていましたか

 シンプルにすごいなと思って見ていました。生活を見ていても、やはり陸上を第一に考えて生活しているので、信頼がありました。期待している以上の走りをしていたので、やはり実力もあるし、努力もしっかりしているなというふうに思いました。

――出雲や全日本のチームの結果はどのように捉えていますか

 チームとしては、 みんな善かれ悪かれ定位置と言われる6位あたりでしっかり走ってきていたので、いつも通りの力が出せた中での順位だと思います。

――最後に箱根に向けて伺います。箱根を目前にして今どのような気持ちを抱いていますか

 シンプルにワクワクしています。昨年は正直走る見込みが薄い中で16人に選ばれて過ごしていたのですが、今年は走る可能性がある程度高くて、小さい頃から憧れていた舞台ではあるので、すごくワクワクしています。

――現在の調子はいかがですか

 調子はだいぶ良くて、久しぶりに本当に全力で走れる体になっています。

――箱根に向けた練習で特に意識している部分はありますか

 地面を強く蹴りすぎる癖があるので、あまり力まずに軽く走るようにイメージしています。

――走りたい区間がありましたら、教えてください

 今のところは6区です。下りに結構向いているかもしれないというのがあるので、6区を走れたらいいかなと思います。

――6区にはどのような印象をもたれていますか

 結構体を壊してしまう、ケガをしやすい区間という印象です。

――最初は山上りですが、上りは得意ですか

 上りも割と得意です。2キロくらいスピードでなんとかなるというか、きつくても頑張れるので、プラスに捉えてやっています。

――箱根ではどのような走りを見せたいですか

 ある程度良い区間順位で走って、みんなを勇気づけられるような走りをしたいです。

――箱根に向けて意気込みをお願いします

 区間賞を目指して頑張ります。

――ありがとうございました!

【早稲田スポーツ新聞会】

◆山﨑 一吹(やまざき・いぶき)

2004(平16)年7月14日生まれ。171センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部2年。ずっと欲しかったプレイステーション5を手に入れ、ゲームをするのにハマっているという山﨑選手。おこづかいをコツコツ貯めて買ったとのこと!この1年、発熱や貧血に苦しんできましたが、努力もコツコツ積み重ねてきました。努力や葛藤、さまざまな思いが詰まったその種を、新春の大一番に芽吹かせます!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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