26歳差の最強ペアはポテンシャル◎ | 火ノ玉JAPANインタビュー #8:BC3ペア 有田正行/一戸彩音

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【©︎日本ボッチャ協会】

現在開催中のパリ2024パラリンピック。ボッチャ日本代表「火ノ玉JAPAN」からは7名の選手が出場し、個人戦での戦いを終えました。本企画では、パリ2024パラリンピックに日本代表として団体戦に挑む選手たちのグループインタビューを通して、それぞれの関係性やペアとしての意気込みを聞きました。

今回は、BC3ペア戦に挑む44歳の有田正行選手と18歳の一戸彩音選手のインタビューをお届けします。歳の差なんと26歳というペアは、今年3月にポルトガル・コインブラで開催されたパラリンピック最終予選会を準優勝し、パリへの切符を獲得。ランプオペレーター(RO)はそれぞれ有田選手の妻・千穂さんと一戸選手の父・賢司さん。ROを含めた4人でのコンビネーションにも期待がかかるペアがいよいよパリでの勝負に挑みます。
※このインタビューは4月に収録されたものです。

26歳差のペアが迎えた史上最悪の誕生日と史上最高の誕生日

ー お二人の関係性を聞いていきたいのですが、まず誕生日がとても近いんですよね?
有田)パリパラリンピック最終予選が行われたコインブラ(ポルトガル)で二人とも誕生日(※有田選手が3月24日、一戸選手が3月26日)を迎えました。私が史上最悪の誕生日を、彼女は史上最高の誕生日を迎えました。私は誕生日に初戦でイタリアに負けまして、失望してました。
一戸)私の誕生日にスウェーデンとギリシャに勝利し、パリの出場権を獲得しました。史上最高の世界一最高の誕生日でした。
有田)自分にとっても2日遅れで最高の誕生日でしたね。彼女(一戸選手)がプレゼントしてくれました。出場権を獲得して、お互いに最高の44歳と18歳のスタートが切れました。

ー 誕生日は近いですが26歳という歳の差はどう感じますか?
有田)きっとそのコメント、結構長い間言われるでしょうね(笑)。親子なんていう感じだと思いますけど、彼女の若さをもらいながら、僕も逆にベテランの技を彼女に分けながら、良いペアリングで行きたいと思います。
一戸)有田さんはとても頼りになります。26歳差とは感じないくらい仲良くなっていると思います。
有田)よかったです。そう言ってもらえて(笑)。

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共にチャレンジャー精神で臨むパリでのペア戦

ー ずばりペアでのパリでの目標は?
有田)まだ彼女とペアを組んで大会に出るというのが、2022年のバーレーン(ワールドカップ)と3月のポルトガル(パリパラ最終予選)での2試合だけ(※このインタビューが行われた後にモントリオールでのワールドカップでは優勝)なんですね。ただその中でも、こうしてしっかりとペアの戦術であったり、コミュニケーションであったり、形ができているので、それをしっかりと継続する場所としてパリの大舞台で最後まで攻めてかっこいいボッチャを皆さんに見てもらいたいなと思ってます。最後まで皆さんにかっこいいボッチャを見てもらいたいなと思います。
一戸)私はペアの経験があまりなくて、その中で有田さんと2回目の国際大会で出場権を獲得することができました。お互いの頑張りでパリに行きたいという思いがあったから勝てたと思うので、気持ちを切らさずにボッチャを楽しんで最後までやり切りたいと思っています。

ー パリで戦う上でライバルになる国は?
有田)この前コインブラでパリの出場権を獲得したわけですけど、現在の自分たちのポジションというのは、やっぱり下から1番か2番っていうところだと思うんですね。だから全ての出場国が自分たちよりも格上だと思っています。それが現実だと思うんです。その中で自分たちがチャレンジャーとして、どこまで戦えるのか。「戦い切りたい」という気持ちを先ほど一戸選手も言ってくれたように「どれだけ自分たちが勝ちたいか」、「パリで最後まで試合をしたいか」という気持ちがやはり自分たちの技術以上のものを引き出せると思っているので、その辺りを二人の力でお互いを信じてやっていきたいと思います。
一戸)有田選手もそうですけど、私は初めてパラリンピックに出場するので、全ての国、全ての選手が自分たちより格上だと思っています。一戦一戦大切に楽しんで、かっこいい試合をしていきたいと思っています。

ー チャレンジャー精神が大事ですね。若いですし。
一戸)はい。そうですね(笑)。
有田)オッサンだけどチャレンジャーですよ(笑)。

ー 一戸選手は個別インタビューでパラリンピックに10回出たいと言っていましたが?
有田)10回!?初めて聞いたけど。10回出るの!?本当に!?見届けられるようにがんばります。

ー 10回だとこれから40年。58歳の時までですね。
有田)でもちょっと現実味がありますね、58歳だと。ここから僕は10回は出れないと思うので、あとは頼んだ。
一戸)はい。がんばります!

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有田選手、一戸選手のパリでの楽しみは?

ー お二人はパリには行ったことはありますか?
一戸)有田さんはあるんですよね。私はないです。
有田)僕は2011年にボッチャの前に電動車椅子サッカーという競技をしていて、そのワールドカップがパリでありました。今回はそれ以来13年ぶりですね。

ー そんな中でパリで楽しみにしていることは?
有田)パリっていう土地にそこまで何か思い入れがあるというわけではないのですが、やっぱりパラリンピックに出るということを長い間ボッチャを通してやってきたので、その舞台に立てるということが一番僕の中では楽しみですかね。
一戸)私は海外自体にあまり行ったことがないので、まずは楽しむ余裕があるかはわからないですけど、試合は楽しみたいと思っています。

ー 今大会は東京大会では見られなかった観客も入るのでそこも楽しみでしょうか?
有田)そうですね。たくさんのお客さんに自分のボッチャを見てもらえる、自分たちのボッチャを見てもらえるということはすごいことだと思うので、緊張するのではなく、しっかりと楽しんで、何回も言いますけど「かっこいいボッチャ」を見てもらいたいなと思っています。

ー 選手村の料理やパリの街並みなどは?
有田)一度行ったことがあると先ほどいいましたけど、メイン通りはすごく栄えていて、きれいな街並みでブランド物とかあると思うんですけど、一本入るとちょっと・・・なエリアもあるのを知ってるので。色んな国にこれまで遠征で行かせてもらいましたけど、食事などは自分には中東の方が好みが合うなと思っているので、パリはパリなりの楽しみ方があると思うんですけど、色々とまた今度は探そうかなと思っています。

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ランプオペレーターを含めたチームで戦うパラリンピックの舞台

ー ペアで戦う上での鍵は?
一戸)コインブラでの初戦イタリア戦なんですけど、二人とも床とかに不安があって、コンビネーションがあまり取れていなくて、間違えてしまったりということもあるので、そういうことが今回はないようにしたいです。本当にコンビネーションが合えば強いペア、チームだと思っているので、有田選手とのコンビネーションやランプオペレーター(RO)とのコンビネーションを合わせて、みんなで頑張っていきたいと思っています。
有田)いま一戸選手が言ってくれたことが全てだと思うんですけど、本当にRO含めて、みんながしっかりと力を出せれば、本当に強いペアだと思うので、バランスよく適材適所。しっかり見極めて落ち着いて戦えれば、きっとゲームを楽しくできると思いますし、声もしっかり出ると思います。そこをちゃんと練習通りに積み上げてきたものを出せればいい結果が出せると思っています。

ー ペアとしての決め事や掛け声は?
一戸)まだ決まっていないので、これからちゃんとRO含めて話し合って考えていきたいと思っています。
有田)本当にこのペアはこの前のコインブラ前に結成されたところなので、これからですね。これから色んなものを作り上げて、ピークをパリに持っていきたいと思っています。二人で「まだ決まってません!」という掛け声をいうかもしれませんね。

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団体戦は明日から始まります。和気あいあいとしたムードの中にも、アスリートとして貪欲に上を目指す姿勢を感じる26歳差のペア。初戦は明日9月3日(火)開催国のフランス戦です。是非、応援よろしくお願いします。

有田/一戸ペアの試合スケジュール

BC3混合ペア戦
9/3(火)17:00(日本時間翌0:00)vsフランス
9/3(火)20:10(日本時間翌3:10)vsオーストラリア
9/4(水)13:40(日本時間20:40)準々決勝(TBD)
9/4(水)20:10(日本時間翌3:10)準決勝(TBD)
9/5(木)13:40(日本時間20:40)3位決定戦(TBD)
9/5(木)21:00(日本時間翌4:00)決勝(TBD)

プロフィール

有田 正行(ありた・まさゆき)
生年月日:1980年3月24日
出身地:兵庫県
クラス:BC3
所属:株式会社電通デジタル

一戸 彩音(いちのえ・あやね)
生年月日:2006年3月26日
出身地:東京都
クラス:BC3
所属:スタイル・エッジ株式会社
出身校:東京都小平特別支援学校

ペアでの戦績
Bahrain 2022 World Boccia Cup - 6位(BC3ペア)
Coimbra 2024 World Boccia Paralympic Qualifier - 準優勝(BC3ペア)
Montreal 2024 World Boccia Cup - 優勝(BC3ペア)
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著者プロフィール

 日本ボッチャ協会は「一緒があたりまえの社会にする」を合言葉に、日本国内の肢体不自由児者を中心とした障がいのある方の競技力向上と、すべての障がいのある方、及び障害がない方に対しても、広く一般的にボッチャの振興と普及を図りボッチャを通じて障がいの有無関係が無いインクルーシブな社会を実現を目指します。更に、より密接に共生することのできるように様々な活動を通じて社会を創造します。  「パラリンピックにおける金メダルの獲得」。そして「ボッチャを国民的スポーツへ」。それが日本ボッチャ協会が掲げるビジョンです。

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