【2024年アブダビ世界柔道選手権大会】現地レポート(2:中間総括)
大会4日目までの日本選手団の成績は金メダル2個・銀メダル2個・銅メダル3個。
A強化指定選手(パリオリンピック代表内定選手)は60kg級の永山竜樹選手1名が出場しましたが、実質2番手の選手が出場している今大会。男子は90kg級田嶋剛希選手(パーク24)が優勝を果たし、同階級では2005年以来の世界チャンピオンが誕生しました。一方、女子は厳しい戦いが続いています。
【ヨーロッパ柔道連盟】
【若手選手の台頭について】
「パリオリンピックを約2ヶ月後に控える中、海外勢の攻めの戦い・姿勢が印象的です。本大会には、2023年ドーハ世界選手権大会で優勝した現世界チャンピオンが14階級中7階級出場しています。各階級、多少の差はありながらも各国の強豪選手が出揃ってきました。そのような中で、若手選手が中心の軽量級・中量級の日本は苦戦しているように感じています。」
結果をみても、60kg級を制したSARDALASHVILI選手(ジョージア)と81kg級第2位のARBUZOV選手(AIN)は20歳、決勝戦で出口クリスタ選手(カナダ)を破り優勝した57kg級HUH選手(韓国)も21歳。
【国際柔道連盟】
とはいえ、52kg級GIUFFRIDA選手(イタリア)は29歳、73kg級HEYDAROV選手(アゼルバイジャン)は26歳で中堅・ベテランも活躍しています。
【国際柔道連盟】
既にパリオリンピックの代表内定選手が決定している日本にとって、本大会は4年後のロスオリンピックを見据えた強化という視点では重要な大会としても位置づけられます。その意味で、「強化戦略プランの練り直しなのか、または新たな構想を進めることなのか、日本としてもしっかりと受け入れて検討しなければいけないと感じました。」と話しました。
【現行ルールの複雑化について】
今大会までのこれまでの審判の判定について、「柔道の魅力という、時にパワフルな、ダイナミックな、スピーディーな試合展開がきえないか不安を感じました。国際柔道連盟(以下、IJF)が、明確で公平なルール化を考えていることは理解しており、柔道の国際化はIJFの様々な取り組みの結果でもあることは認識しています。ただし、今大会では、『柔道の魅力すなわち技』という点において、反則に囚われすぎている状況があるのではないかという印象を受けています。」
日本という立場で、先述した「柔道の魅力を体現できるような選手を育成すること」また、「世界の柔道家と一緒になって、共にどうしたらより良い柔道界を作れるのかを考え、議論し、進めていくこと」この2つが今後の柔道界に求められる大事なことだと感じています。
パリオリンピックに向けて、各国・各選手がボルテージを上げてきている印象の今大会。
「誰が勝つのか予測できないほど、レベルの格差がなくなってきている。」
「軽量級のスピーディーな試合展開とは違う、重量級ならではの「豪快さ」に注目して観戦してほしい。」と話す井上団長。
日本代表は、全日本選手権を制覇した経験を持つ、100kg超級太田彪雅選手(旭化成)と78kg超級冨田若春選手(コマツ)に加え、若手選手の100kg級新井道大選手(東海大学)、78kg超級新井万央選手(日本体育大学)の大学生コンビが出場します。
「ロスのオリンピックに向けてぜひ活躍して盛り上げていってもらいたい存在の選手」でありながらも、世界から多くの注目選手が出場する重量級。
最終日は、日本の7連覇がかかる男女混合団体戦。
「国の威信をかけた戦いになる、団体戦は、個人のためではなく、国やチームのために戦うもの。良い意味でスポーツの魅力、面白さを引き出してくれる種目であり、多くのドラマがあり、新たな物語が生まれる、エンターテインメント性をもった戦いに注目してほしい。」
【国際柔道連盟】
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