『Bリーグ・プレミア』参入を目指す京都ハンナリーズの「登ってる途中」【B MY HERO!】

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Bプレミアを目指して進化する京都ハンナリーズ 【(C) B.LEAGUE】

 こんにちは、B MY HERO!特派員、京都ハンナリーズブースターのデリックです。2022-23シーズンに続き今シーズンも特派員をさせていただくことになりました。何卒よろしくお願いいたします。

 今回はここまでのハンナリーズを振り返る寄稿です。

飛躍を期待するシーズンだったはずが…

地元の京都に帰ってきた岡田侑大はPGに挑戦 【(C) B.LEAGUE】

『Bリーグ・プレミア』への参入を目指すことを表明した今シーズン。開幕前には京都が生んだ若きスター・岡田侑大をはじめ、昨シーズンの横浜BC躍進を支えたチャールズ・ジャクソン、復活を期すシューター前田悟らの大型補強は話題を呼びました。前々シーズンの14勝から22勝へ勝ち星を伸ばしたロイ・ラナHC体制2年目、昨シーズン以上の飛躍を期待したファン・ブースターは多かったはずです。

 しかし、ハンナリーズは開幕から苦しい戦いを重ねることになってしまいます。

 大型補強が話題となった一方で、昨シーズンダブルキャプテンだった満田丈太郎(福井)、ジェロ―ド・ユトフ(横浜BC)、さらに久保田義章(三河)やシェック・ディアロといったスターティングに名を連ね続けた選手を残留させることができませんでした。チーム作りは1からのスタートとなり、継続性のある他チームと比較して後れを取ったのは否めません。開幕しても、個の能力が上がったことは感じられても、集団となるとよくて数人のグループ。コートの5人がチームとして機能していたようには見えませんでした。

 個の力で攻め切れているうちは良くても、相手ディフェンスの強度が上がると分断されターンオーバーを連発。リズムを崩すとディフェンスでも我慢することができず失点を重ねました。中心選手の苛立ちは不用意なファウルやさらなるターンオーバーを呼ぶ自滅の悪循環。その苛立ちをチームで解消することもできず、ベンチも苛立ちをぶつけるかのようなテクニカルファウルを取られ、そのフリースローの1点が致命傷となり敗れた試合もありました。

 ここまで3勝11敗という成績ですが、1Qに10点以上離されるBig quarterを作られてしまったのは敗れた11試合中、実に9試合。一度崩れたら止まらないハンナリーズの自滅の構造を一番よく表す数字だったと思っています。10月22日の秋田戦GAME2でようやく今季初勝利を挙げたものの、10月ラストに目の当たりにしたのは「アルバルク・ショック」ともいうべき手も足も出ない大惨敗の2日間。チームになれなかったハンナリーズの開幕1カ月はここに帰結したと思っています。

チーム構築が進み、次第にチームとして覚醒

青木龍史の活躍で信州に連勝 【(C) B.LEAGUE】

 だがしかしーーーその翌週、福山での広島戦GAME2あたりから、自滅やコート上から苛立ちの感情が伝わってくることが大分なくなってきたように感じます。

 その変化が見えてきたのは、チーム構築への気配。開幕から1カ月、相互理解が深まってきたのか、今季からPG専任に挑戦している岡田侑大を中心にボールが回るようになってきたように感じました。

 そして11月11日の信州戦では水野幹太のハッスルから流れをつかんでホーム初勝利を飾ると、翌12日は岡田侑大が22得点10アシスト、青木龍史がスリー9回中4回成功で17得点と信州在籍歴のある選手の活躍もあって連勝。チーム状況が上向きになっている気配を感じさせながらバイウィークに入ることができました。
 コート内の戦いでは苦しんだハンナリーズでしたが、Bプレミア入りへ最大の障壁と目されている観客動員については素晴らしいスタートを切りました。開幕節の横浜BC戦はなんと一般販売前に指定席完売というハンナリーズ史上前代未聞の“事態”!!

 その結果、GAME1ではハンナリーズ史上最多動員となる4315人を記録! 翌日のGAMEで4325人と最多をさらに更新しました。その後も指定席完売の試合は続き、現段階で平均観客数は4107人(7試合/システム障害があった大阪戦を除く)と目標の1試合平均観客数4000人をクリアしています。

 さらにファンクラブの最上級会員(プレミア会員)が定員締め切り、というのもハンナリーズ史上初だったはずです。先日発表された22-23シーズン決算によると売上は前シーズンより70%UPして10億円超え。Bリーグ・プレミアの基準となる売上12億円がいよいよ見えてきました。

ホームでは1試合平均4000人を超える入場者数を記録 【(C) B.LEAGUE】

運営面でも新たな兆しが続々と

 運営に関しても、ホームゲーム開催日にはプロキングと称し西京極総合運動公園の清掃活動を実施(清掃道具は京都市清掃局のものを使用、大型ごみが出ても産廃業者のスポンサーさんに引き取ってもらえるよう手配しているそうです)。開幕節で見せた「スポンサーさんの技術を使って体験型で楽しめる」イベントの数々は、試合会場が人と企業、あるいは企業と企業さえ結びつけるハブの役割を果たせる未来を感じさせました。

 その中で「コラボビールとリユースカップ」は地域活動とSDGsの観点から特筆すべきものだと思いますが、詳細はバスケットボールキングの記事・京都ハンナリーズ 「新生ハンナリーズが京都の街で『共に、登る。』」(前編)をご覧ください(宣伝)。

 また、グッズ売り場の購入待機列の問題が出れば、月末のホームゲームではレジの場所を別途一部屋確保して通路にはみ出さないように変更。いつしかキッズスペースに絵本が増えていたり。さらにバイウィークの11月18日(土)・19日(日)には、行楽シーズン真っ只中の河原町ガーデンで選手スタッフによるビラ配りを実施。ホームゲームの改善やより良くしていこうという動きが目に見えているのが頼もしいです。

チームの雰囲気も試合ごとに良くなっている 【(C) B.LEAGUE】

 12月になればリーグ戦も再開します。先日ステイシー・デイヴィス選手の契約解除が発表されました。記事を書いている現段階では未発表ですが、新たな外国籍選手の加入も予想されます。成績面ではまだシーズンは3/4残っており、5割、そしてCS出場もまだまだ可能性はありますが、残留争いも視野に入る状況だと思っています。

 松島社長は先日の22-23シーズンクラブ決算概要発表のコメントの中で「京都ハンナリーズは正しい方向に進んでおります」と述べましたが、運営面ではそれを裏付ける動きを見せていると思っています。それをさらに真っすぐ、Bプレミア参入その先の未来へ。成績面が付いてくればさらにそれは加速していくことでしょう。

「共に登る」というチームスローガンから言えば今は「登ってる途中」。まだまだ長いシーズンですから、登りの苦しみもあるでしょう。何が待ち受けているかはわかりませんが、今向いている「正しい方向」がぐらつかないように後押しできればと思っています。

デリック(B MY HERO!特派員)

【(C) デリック】

京都ハンナリーズブースターです。実は生まれも育ちも現在住んでいるのも大阪府ですが、京都には何かとご縁がありました。チーム創設の年にふらっと見に行ったところ、マクムード・アブドゥル=ラウーフのプレーとはんなりんに興味を惹かれて見に行くようになり、当時のブースターさんの動きを見て「ここで何か面白いことが起こりそうだ」と通うようになって早幾年。今ではホームもアウェーも行けるかぎり参戦中です。

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著者プロフィール

B MY HERO!は「あなたのヒーローを見つける1時間」をコンセプトにしたBリーグ公認の応援番組(毎週火曜18時~)です。番組特派員が推しクラブの模様やゲームの演出など、Bリーグの楽しみ方をレポートしていきます。

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