どこに行っても“高め合う”ブレサンファミリーの強さ…好調・川崎の強さに迫る【B MY HERO!】
盟友から強敵へ、立場を変えてなお高め合う仲間たち 【(C) あさみん】
前回に引き続き、大好きな川崎ブレイブサンダースについてお話しする機会を頂きました!バイウィークまで終えた時点で12勝2敗の中地区1位と絶好調、筆が乗りますね…!(笑)
そんな好調・川崎を象徴する試合と感じているのが、直近の群馬戦2連戦。今回は、その2試合を通して感じた強さの理由についてお話できればと思います。
"NICK THE LAST"という大きな戦い
リーグ全体を巻き込んで盛り上がるNICK THE LAST 【(C) あさみん】
長年川崎を支えてきたニック・ファジーカスのラストシーズンであるということです。
そんな特別な1年の中で迎える群馬戦は、共に幾多の勝利を掴んできた盟友・辻直人との再会の1戦。
共に「マイベストフレンド」と呼び合う両"友"の対決はさながら同窓会で、とても楽しみにしていました。
そしてそれと同時に…ちょっぴり不安でした。付け加えると、この1試合に限らず、NICK THE LASTそのものが不安でもありました。ニック自身は心配していないのですが、周りの選手にとっての重圧は計り知れないからです。
チームをずっと支えてきたKINGのラストシーズンへの想いは、良薬にも、猛毒にもなります。もちろん、みんなで有終の美を飾りたい、全てを出し切りたいという強烈な覚悟は、プラスにも働くでしょう。しかし、想いの強さはプレッシャーの裏返し。やらなきゃダメ、勝たなきゃダメ、負けたら終わり…そういった力の入る試合が、1年間ずっと続く。
試合を大切に思えば思うほど、硬くなり、力が入り、悔しい思いをする。そんな川崎の姿を幾度となく見てきたからこそ、マイナスに働くリスクを不安に思う気持ちも大きかったのです。まして、辻直人。誰よりも大切で、誰よりも最高の仲間で、だからこそ誰よりも負けたくない相手。和やかな雰囲気の裏でも、きっと強い気持ちがあるはず。力が入らないわけがありません。
"ツジーカス"のバトルがクローズアップ 【(C) あさみん】
新戦力の"喝"が引き締めたGAME1
1Q終了間際のスリーポイントに雄叫びを上げる野﨑零也 【(C) あさみん】
昨シーズン幾度となく経験した、あれよあれよと寄り切られていくパターンが胸をよぎります。
しかし、そんな流れに喝を入れたのは、今季新加入の頼れる4人衆でした。
先陣を切った野﨑零也は打てば入ると言わんばかりの3連続スリーポイントに、スティールからの速攻をぶちかます。
ロスコ・アレンも負けじと衝撃のエンドワン・ダンク。
途中詰め寄られる時間もあったのですが、そんな時間帯を支えたのもまた新戦力。
この日MVPのトーマス・ウィンブッシュは攻守に凄まじい身体能力を見せつけ、敵を寄せ付けない。
そして川崎の新・仕事人、飯田遼も限られたチャンスを沈めつつ、守備ではしっかり辻直人を苦しめる。
川崎に新しい風を吹き込ませる男たちの奮闘が、見事に21点差の快勝に繋がりました。積み上げたベンチポイントはなんと62。
これこそが今季の川崎の強さのひとつ、試合の中で代わる代わる現れるヒーロー達の存在です。
ひとりひとりが役割を発揮し、その日調子のいい選手がガンガンチームを引っ張る。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、本当に難しいことをやってのける職人たちの働きには、頭が下がります。
チームを引っ張る新加入組の存在 【(C) あさみん】
辻vs藤井が火をつけたGAME2
幾度も沈めた逆転ショット、貫禄のMVP 【(C) あさみん】
「辻がアシストしたかと思えば、藤井がアンスポーツマンライクファウルを辻から奪取」
「辻が派手にパフォーマンスしたかと思えば、藤井がタイムアウトセレブレーション」と火花散る激戦。
熱い展開、黙っちゃないのが川崎のシンボル。2人で楽しんでんじゃねえよ、と言わんばかりに篠山竜青が連続得点を挙げると、仕上げは連夜の爆発野﨑零也。31得点を挙げて3Qに突き放した川崎が見事に連勝を飾りました(入りはしなかったのですが、何度か長谷川技に打たせるセットを組んで繰り返しトライしたあたりが、何とも川崎らしいなと…そこも個人的な胸アツポイントでした)。
新旧キャプテンの躍動でGAME2を制す 【(C) あさみん】
「辻さんのおかげ」高め合う川崎の文化
仲のいいライバル、だからこそ負けたくない! 【(C) あさみん】
「辻さんがいた頃の練習でやりあっていた気持ちを思い出した、それがプレーに出た」
2年前、辻直人が移籍した時には悲しみに暮れるばかりでこんな未来は想像していませんでしたが…大事な根っこは、ずっと変わっていなかった。ふざける時は全力で、戦うときも全力で、思いっきり笑って、思いっきり泣いて…。常にガチンコで高め合う川崎の文化。試合前の笑顔からも、試合中の鬼の形相からも、ひしひしとその一端を感じました。そんな川崎の真髄を、表舞台で見せてもらえる幸せ。心から「辻さんが移籍してよかった」と思えたのは、この日が初めてだったかもしれません。
ただ、それだけであれば今までの延長線上。今年の好調の秘訣は、今年の新加入選手たちをも巻き込んで高め合う姿が垣間見えることにこそあると感じています。
今季は選手同士が試合真っ向から意見をぶつけ合うシーンも珍しくないし、それこそGAME1のようにスターターが不調ならば試合の7割以上の得点をベンチスタートの選手が叩き出すくらい、「やらないなら俺やりますよ」と言わんばかりの激しい競争の空気を感じます。
だからと言ってギスギスしているわけではなく…「難しい男・長谷川技」と一瞬で距離を詰め、持ち前の英語力で外国人選手との橋渡し役もやってのける飯田遼であったり、ルーティンにセレブレーションにと在籍年数の長い選手に交じってチームを盛り上げる野﨑零也であったり、チームの和を自ら作ろうとする動きも見て取れます。辻直人が、藤井祐眞が練習で高め合ったように、彼らもまたチーム全体を巻き込んだ切磋琢磨のど真ん中で懸命に戦っているのではないでしょうか。移籍自体が大きな挑戦であるにもかかわらず、更なる重圧に触れようとも、自身の役割だけでなくチームの刺激としても貢献する彼らの姿は、今年の川崎の大きな強みです。
そして、そんな彼らが辻直人という川崎にとって大きな存在に触れたのが群馬戦2連戦。自らマッチアップし激しく戦いつつ、ずっと川崎を支えてきたメンバーがチームの垣根を越えて高め合う文化を肌身に感じ取った2日間は、大きなプラスになっているのではないでしょうか。
試合後には、在籍が被っているはずもないトーマス・ウィンブッシュと辻直人が笑顔で触れ合うシーンも見られ…笑顔の川崎にもまた、新旧入り交じり、新たな化学反応が生まれている様子。たとえ中心選手が移籍しようと、川崎というチームの大好きなところを変わらず見ることが出来るのは、この上ない幸せです。
NICK THE LASTという文脈があったからこそ、より一層熱が入り、クローズアップされた2連戦。得られた経験値も結束も、その熱に比例して大きくなっているように感じます。
ややもすれば大きなプレッシャーになりかねない"NICK THE LAST"。
それは今の川崎にとって、チームを超えて共に高め合いひとつになるための合言葉になっているのです。
新加入ながら、中心となってチームを盛り上げる飯田遼 【(C) あさみん】
そう、なんとニック・ファジーカスはこの2連戦8得点、6得点と彼にしてはかなり大人しいスコアだったのです。
だからと言って、低調なパフォーマンスか?衰えを隠せないのか?それはNOです。「こんな動けるって先に言うといてくれよ。」見事にブロックを食らった辻直人がそうぼやくほどに(笑)。
「ニック頼み」そう揶揄されることも少なくなかった川崎ですが、今季はその依存度をいい意味で下げることに成功しているように見受けられます。
…とはいえ、ファンというのはわがままで。"THE KING"ニック・ファジーカスの理不尽な活躍をまだまだたくさん見たい気持ちがあるのもまた本心です。
幸いにして、"ツジーカス"対決第3ラウンド、天皇杯の対戦が12月にまだ残っています。群馬に欠場者がいた11月の2連戦に比べ、更なる苦戦は避けられないでしょう。
だからこそ楽しみにしています。更に高め合った川崎の姿を見ることを。困ったときほど力を増す、キング・ファジーカスの有無を言わさぬ活躍を。
"NICK THE LAST"歓喜のフィナーレへの戦いを、引き続き全力で応援していきます!
"ツジーカス"ファイナルラウンドへ高まる期待! 【(C) あさみん】
あさみん(B MY HERO!特派員)
【(C) あさみん】
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