【神戸スティーラーズ特別連載第7回/RWC2023フランス大会〜神戸から夢の舞台へ】 PR具 智元、SO李 承信、W杯日本代表メンバーに選出!世界を沸かせ!

チーム・協会

【コベルコ神戸スティーラーズ】

8月15日(火)ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチが会見を行い、「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」に出場する日本代表登録メンバー33人のうち、30人を発表。コベルコ神戸スティーラーズからはPR具 智元、SO李 承信が選出され、LOサウマキ アマナキ、FB山中 亮平は落選となった。李は「これまで一緒に戦ってきた山中さんやナキの分まで頑張りたい」と語っていた。3週間後に幕を開ける夢の舞台。チームメイトの思いを力に変えて、両選手の活躍に期待するしかない。 (取材日:2023年8月14日)

ずっと一緒にいた山中さんの思いを背負って

内々での登録メンバーの発表は、フィジー戦の後に行われたという。
その時の心境を李は
「自分の名前が呼ばれた嬉しさよりも、辛さの方が大きかったです」と回顧する。
その瞬間、6月から一緒にきつい練習を乗り越えてきたメンバーの明暗が分かれた。
落選した選手の中には、チームメイトの山中やサウマキも。
李にとって山中は、昨年夏、日本代表入りして以来、テストマッチに臨む際の気持ちや合宿での日々の過ごし方などを教えてもらってきた恩人だ。
代表合宿前には灘浜グラウンドで一緒にトレーニングに汗を流し、移動も共にした。そして、試合ともなれば、スタンドオフ、フルバックでコミュニケーションを取りながらプレーしてきた。
「山さん(山中)の存在は大きかったですし、一緒にワールドカップに行くんだと思っていました…」
発表の後、山中からは「承信は自信を持ってプレーすればいい」と声をかけられたと話す。
「辛い状況でもそうやって力づけてくれて。山さんの分まで頑張らないといけないと思いました。それにナキ(サウマキ アマナキ)も。試合に出られない中でも諦めずにハードワークしてきた姿を見てきましたから。ほかにも一緒に頑張ってきたメンバーが落選して…。こんな感情になったのは初めてのことです。山さん、ナキ。二人の分まで頑張らないといけない。この思いをモチベーションに変えていきます!」
山中は、これまでフランス大会で代表引退を明言していたが、15日の夜、自身のSNSで
「この1週間いろいろ考えてこのまま諦めるのは性に合わないので、山中は2027年のワールドカップ目指します」と前を向いた。
サウマキは、残り3枠をかけて、16日から府中市で開催の代表合宿に参加している。
SNSで山中はこうも綴っている。
「代表メンバーのことが大好きです。選ばれたメンバーは怪我なく、いい結果を残せるように頑張って!」と。
李も具も山中の思いをしっかりと受け止めたはずだ。

「優勝」という目標に向かって良い準備ができた

9月8日、「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」が幕を開ける。
自身にとって初めての夢の舞台。
そこに立つ自身を想像し、李は、
「どんなにプレッシャーがかかるのか、どんなに緊張するのかわからないですが、それも楽しみです」と話す。
日本大会に続き、2度目のW杯メンバーに選ばれた具は、
「4年前に最高の経験をさせてもらって、今回またワールドカップに出るチャンスをもらったことを光栄に思います」とトレードマークである柔和な笑顔を見せる。
今大会でのチームの目標は、前回大会の成績を超える「優勝」だ。
しかし、これまでの日本代表の国内5連戦は1勝4敗と負け越し。
しかも、2試合でレッドカードが出てしまった。
「ワールドカップではなく、テストマッチで、レッドカードが出るという状況を経験できて良かったとポジティブに考えています。この5試合はアタックでたくさんミスが出ました。ジャパンのラグビーは、ボールを動かす分、ミスが出てしまう。日本の蒸し暑い環境で自分たちのラグビーにチャレンジし、ミスは出ましたが、精度を高めればいけるといい感触を掴みました」と李が言えば、
具も
「14人という厳しい状況でも自分たちがボールを持ってアタックすればトライまでいけると感じました。ただ、ボールが滑る状況で最後にミスが出てボールがつながりませんでした。試合にはなかなか勝てなかったですが、いい準備はできています。自信を持って大会に臨みます」と力強く宣言する。
スクラムに関しては、
「フォワードが一人足りないという状況でも、安定してスクラムを組めた場面もありました。フォワードの一人一人が自分の役割を理解していますし、4年前よりもスクラムの知識やスキルも上がっています。前回大会よりもスクラムは強くなっていると感じています」と具。
日本代表は、ワールドカップで頂点を目指すことをエベレスト登頂に例えている。
李は
「国内5連戦は、ワールドカップというデスゾーンに行く準備の段階で、そこでチームとして経験値を上げることができました。本番はワールドカップです。結果を残します!」と気合を込める。

ワールドカップに向けてコンディションは万全だ。「強気で行け!」という長谷川 慎日本代表スクラムコーチの言葉をフランスでも体現する。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

さらに精度を上げて、ワールドカップへ

国内5連戦は、個人としても多くの収穫を得たという。
5試合に出場した具は、スクラムでの手応えとともに、試合を重ねるごとにゲームフィットネスが上がっていると感じた。
「ワールドカップまでにスクラムも、運動量ももっと上げていきます」
4試合に出場した李は、1試合1試合ゲームプランが違う中でそれを理解して遂行できたと言う。持ち味であるプレースキックについては、ALL BLACKS XV第2戦とサモア代表戦では100パーセントの成功率を残したが、花園で行われたトンガ代表戦では4本中1本と不発に終わった。
「あの日は前日練習から全然キックが当たっていなくて、そこでルーティンが崩れてしまい、試合の日も違うルーティンで蹴ってしまいました。あれから1週間で修正し、フィジー戦ではいい感じで蹴ることができました。あの経験は良い学びになりました。ディフェンスは、合宿でのハードなセッションを経て、サモア、フィジー、トンガと、フィジカルの強い相手に対して止めることができ、いい収穫になりました。これからワールドカップまで、キック、ラン、パス、タックルと、すべての精度をもう一段階上げていきたいです」
日本代表は、8月26日(土)、イタリア代表と最後の強化試合を行う。
イタリア代表戦はワールドカップの戦いを睨んだ重要な試金石だ。
「自分たちのラグビーをしっかり遂行し、いい手応えを得て、フランスに行くことが大切だと思います」と李。

神戸が世界で通用する選手を育てたことを示したい!

フランス大会では、日本(ランキング14位)は、プールDに入り、チリ(22位)、イングランド(6位)、サモア(12位)、アルゼンチン(7位)と対戦する。
「どの国も強いし、タフな戦いになると思いますが、楽しみです」(具)
「初戦(チリ代表戦)が大事になってきます。良い内容で勝って、勢いに乗っていきたいです」(李)
中でも両選手が心待ちにしているのがイングランド代表戦との一戦だ。
イングランド代表とは、昨年秋、敵地で対戦し13−52というスコアで完敗した。
この一戦で具は思うようなスクラムを組めず反則を取られた。
李は試合中、スペースがまったく見えず、個人としてもチームとしても何もできなかったと反省する。
リベンジができるチャンス。
両選手はそう声を揃える。
「強気で攻めていきたい!」と語気を強める具に、
李は「ワールドカップで見返してやりたい」と雪辱を誓う。
「優勝」という頂を目指す両選手に、最後に大会に向けて意気込みを述べてもらった。
「セットプレーでいいボールを出して、タックルやボールキャリーといったフィールドプレーでもチームに貢献します。グラウンドで全力を尽くして、結果を出します!」(具)
「チームのプランの中で、どんどんボールを動かして、自分の強みを出していきます!」(李)
さらに、李は、帝京大学中退後に声をかけてくれて、育ててくれた神戸スティーラーズへ感謝の思いを込めて、「全試合に出場して活躍し、神戸が世界で通用する選手を育てたということを示したい!」とも決意する。
神戸から夢の舞台へ。
両選手のビッグチャレンジがいよいよはじまる。

取材・文/山本 暁子(チームライター)

大学を中退した時には、想像もしなかったワールドカップという大舞台。W杯メンバーに選ばれた時は、育ててくくれた神戸スティーラーズに対し感謝の思いが溢れた。 【コベルコ神戸スティーラーズ】

今後の日本代表スケジュール
●8月26日vsイタリア代表戦(イタリア・トレヴィーゾ)
ラグビーワールドカップ2023フランス大会 
●9月8日vsチリ代表(フランス・トゥルーズ)
●9月17日vsイングランド代表(フランス・ニース)
●9月28日vsサモア代表(フランス・トゥルーズ)
●10月8日vsアルゼンチン代表(フランス・ナント)
具 智元 連載バックナンバー
李 承信 連載バックナンバー
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著者プロフィール

兵庫県神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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