【神戸スティーラーズ特別連載番外編/RWC2023フランス大会〜神戸から夢の舞台へ】 SO李 承信、日本代表として今年初出場の試合(ALL BLACKS XV戦第2戦)で見えた改善点とは
5本中5本のキックを成功させ、「みんながスコアするチャンスを作ってくれたので、全部決めることができて良かったです」と笑顔を見せていた。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
キック成功率100パーセントも、ディフェンス面は課題
スタンドオフとしてゲームコントロールを意識し、ピッチへ。
前半は風下に立つことから長いキックを使わずにショートサイドをついていくゲームプランだったと話す。
「近場でラインブレイクするなど良い場面もありましたが、イージーなミスが多く出てしまいました」
その言葉通り、日本代表は敵陣へと攻め込むもハンドリングエラーなどミスにより取り切ることができない。25分、ハーフライン付近から粘り強く攻撃し、FB松島 幸太朗(東京SG)がトライをマークするも、前半、日本代表はこの1本のみに終わる。
流れが一変したのは、後半11分。経験豊富なSH流 大(東京SG)が投入されると、日本代表は反撃の狼煙を上げる。14分、反則をもらうと、流が速攻を仕掛けて、そこからボールを継続し、最後はWTBセミシ・マシレワ(花園L)がトライ。さらに、5分後にも、敵陣ゴール前でのスクラムからフェイズを重ねてトライを取り切る。その後も日本代表は攻め続けるが、ここぞという場面でボールがつながらず、ラスト20分は互いにスコアが動かず、ノーサイドとなった。
「後半、テンポが上がり、勢いを作れました。ジャパンが目指すラグビーはこれだと思いましたし、逆に前半からこういうラグビーをしていかないといけないです」と李。
続けて、ジャパンのラグビーをするためには、「一人一人のプレーの精度を高めていかないといけません。それに、ボールを失った時のリアクションも相手の方が早かったので、早いセットを意識しないと。全員が早いセットをして、いいストラクチャーを作って、どんどんボールを動かせば、相手にプレッシャーをかけることができると思います」とも。
自身は、持ち味である正確なキックで、2本のペナルティゴールと3本のコンバージョンキックを成功させ、12得点を挙げた。
「合宿がはじまってからキッキングコーチやほかのスタンドオフの選手と一緒に練習し準備してきたので、100パーセント決めることができて良かったです」と安堵の表情。
しかし、個人として改善点も見えた。その1つが、以前から課題だと話すディフェンス面だ。
「セットプレーから1対1のところで2度3度抜かれるところがありました。ディフェンスの際のポジショニングが悪く、相手に対し斜めにいってしまっているので、正面にタックルに入るようにしないといけないですし、ほかにも修正しないといけないところがあります。ただ、周りの選手とはコミュニケーションが取れているので、そこはすぐに良くしていけると思います」
8月15日のワールドカップ登録メンバー発表まで、残り3試合。
22歳の若き司令塔は試合経験を重ねるごとに成長し、夢の舞台への切符を掴む。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
「リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ」※キャップ対象試合
●7月22日(土)14時50分
日本代表vsサモア代表(北海道・札幌ドーム)
●7月29日(土)19時30分
日本代表vsトンガ代表(大阪・東大阪市花園ラグビー場)
●8月5日(土)19時15分
日本代表vsフィジー代表(東京・秩父宮ラグビー場)
司令塔争いを勝ち抜くために「チームから求められていることをどれだけ精度高くできるかが鍵になる」と話す。 【コベルコ神戸スティーラーズ】
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