「過去の栄光は全部捨てている」 西田靖
【(C)BOATRACE】
1982年11月に平和島でデビュー。選手生活はやがて満40年になる。御年60歳だ。
1991年6月の第1回グランドチャンピオン(住之江)でSG初Vを飾ると8月のボートレースメモリアル(下関)でも栄冠を勝ち取り連覇を果たしている。
まだオーシャンカップは開設されていなかったのだ。(オーシャンカップ第1回大会は1996年住之江)
「モンスター」と称された野中和夫さんに公然と立ち向かっていく姿は雄々しく、「西田時代到来」とさえいわれたものである。
「今のモンキーターンに比べるとカッコ悪いね…」と当時の乗艇姿勢を振り返るが、実は独特で先鋭的なターンだった。
背筋を目いっぱい使う乗艇方法は、上体を棒のようにして突っ張り、ボートを押さえにかかるのである。
「モンキーターンでボートの特定部分を蹴る」と語る現代レーサーに共通するものがある。
【(C)BOATRACE】
さらに、「スーパーピット離れ」を実現し誰にも負けないイン戦士となった西田靖は、正真正銘の研究家である。
「なかなか特徴を出しにくい」今のモーターと向き合い、挑戦はなお続いている。
絶対的なイン志向だ。
そこには「相手によって取ったり取らなかったり、というのがイヤ」という人生哲学が存在している。
そしてもうひとつ、「過去の栄光は全部捨てている」のも人生哲学である。
でなければ「B級でいまなお走っていられない」とも言っている。
こだわりのない人物に、当然「忖度(そんたく)」はない。
正々堂々、すがすがしく、あとを引かないのだ。
あす26日の蒲郡ナイターはシリーズ3日目。
結果よりもプロセスを重視する西田靖がどういうレースをみせるのか、気になる向きも多いだろう。
ただひとつ言えることがある。
オール2連対をキープしにいく守りのレースはしない。
ピンロクを怖れないいつもの勝負があすも見られるはずだ。
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